1300年間、宿主転換をしていないホトトギス
昨日、コウノトリを観察した野田市三ツ堀近郊は、びっくりする位ホトトギスの鳴き声、姿を観察できるフィールドです。滞在していた1時間半程度で合計4個体が7回も出現し、鳴き声はもちろん独特の飛翔スタイルもよく観察できました。波状飛行でヒヨドリの飛び方に近似しているような印象を持ちました。ホトトギスは宿主のウグイスの卵に似た赤い卵を産みます。上田(2016)が「万葉集にホトトギスがウグイスに托卵する習性を詠んだものがあり、万葉の時代から少なくとも1,300年間、ホトトギスは宿主転換をしていないということがわかります。カッコウのほうはたぶん何回か見破られて托卵相手を変えてゆく(以下。中略)、ホトトギスがなぜそうなったかというのはよく分からないのですが、ひとつ、ウグイスが1回目に繁殖する4月には、ホトトギスはまだ越冬地から渡ってきていないので、ウグイスは被害を受けない」と報告しています。一方、カッコウについては「戦前あたりまではカッコウは圧倒的にホオジロに托卵していました。ホオジロの卵は線状紋という糸状の模様がありますが、いま托卵しているオオヨシキリやモズやアオジの卵には線状紋はありません。ところがそういった種に托卵したカッコウ卵にも、ときに線状紋を持つものがあります。昔ホオジロに托卵していて、ホオジロが卵を捨てるようになったために宿主を変えたのだけれど、卵の模様にはホオジロの卵そっくりになっていたときの名残が現れるのではないかと言われています」と記しています。(引用)上田恵介.2016.第19回 山階芳麿賞 記念シンポジウム「子を他人に預ける鳥、カッコウ類研究の最前線」山階鳥研NEWS 2017年1月号.(写真)2023年10月13日千葉県松戸市で撮影