アリスイについて(キツツ目キツツキ科というけれど異なる生態)
鳥友からアリスイと一般のキツツキ類の違いについて質問をもらいました。手賀沼と沿岸ではこれから4月の期間と10月から12月に姿を見かけるアリスイですが、キツツキ科と分類されているにもかかわらず、生態、自分で巣穴を掘らない、木の幹の止まり方も違います。違いについて整理してみました。(1)アリスイはドラミングをしないなどキツツキ科の鳥たちと違う橋間・加藤(2015)がアリスイの生態や行動などの知見を整理し報告しています。報告では、「アリスイはキツツキ科の鳥類であるものの、いくつか一般的なキツツキ類とは異なる生態をもつ。ひとつは,多くのキツツキ類でなわばり宣言や求愛に用いられるドラミングをしない。繁殖期のアリスイは頻繁にクイクイクイと鳴き,これがドラミングと同様の役割をもつと考えられる.また,自身で新たに巣穴を掘ることはない。(中略)ただし既にある樹洞を拡張することはある。樹上での行動も特徴的である。キツツキ類は木の幹に縦にとまることが多いが、アリスイは一般の鳥類と同様に横枝に止まることが多い」と記されています。(2)アリスイの特徴アリスイは、キツツキ類が木をつついて穴を掘る、虫を捕食するなどの行動を行う構造が未発達です。・キツツキ類は硬い尾を突張って体を支えますが、アリスイは尾羽が柔らかく幹を突っ張る仕草を見かけません。・対趾足(前2本、後ろ2本の指)がありますが、足指が長く木を掴むのには向いていないように思われます。地上での採餌へ適応したのはこのためだと思われます。・嘴が細くて短く一般のキツツキ類のような尖った構造ではありません。・頭骨を吸収する構造が存在いないか、弱いと考えられ、木をつついたとしたら脳震盪を起こすものと思われています。(3)アリスイの声蒲谷(1996)が各地での観察と録音した結果を整理し報告しています。報告では「さえずりと地鳴きの区別は明確ではない。(中略)繁殖期には木に止まってクイクイクイあるいはキィキィキィと大きく高めの短い声を連続して鳴き、鳴き続けることが多い。(中略)モズの声にも似ているが本種の声の方が低く聞こえる」と述べています。(引用)蒲谷鶴彦.1996,日本野鳥大艦鳴き声333.上巻.p189.小学館.橋間清香・加藤貴大.2015.アリスイ Bird Research News Vol.12 No.8.p6-7.(写真)1枚目:2018年2月11日さいたま市で撮影。地面で採餌していた光景。2枚目:2021年10月14日印旛沼沿岸で撮影。枝に止まっていた姿。3枚目、4枚目、5枚目:2014年3月22日手賀沼沿岸で撮影。枝に止まっていた姿。6枚目:2012年2月2日埼玉県北本市で撮影、葦の中に止まっていた姿。