おはようツミ2025年観察記(10)
先週から今週にかけてのツミの様子のリポートです。雌が巣に座り込んでいる時間がほとんどですが、雄が小鳥を捕獲して帰還すると短く小さな声でクックッと鳴いて雌を呼び、巣から離れた枝で餌を受け渡して雄が巣に移動し雌にかわって座り込む姿を見かけます。ただし、ほとんど鳴き声は出しません。雌は、餌をたいらげた後、羽繕いをした後にしばらく枝で休憩しています。ただし、カラス、オナガが巣に接近した時は、雌が猛スピードで追い払っています。しばらくすると、雌が巣に帰還し雄と交代して、今度は雄が周囲の警戒にあたると周囲の雰囲気が一変します。巣の周囲10m前後の範囲であれば、猛スピード(*)で対象の鳥を襲撃しています。(写真)2025年5月15日撮影(*タカの飛翔得度について)なお、小型のタカ類の飛翔速度について、水平飛行時は時速約80km、急降下時に時速約130kmに達すると記述しているweb情報や文献を目にしますが、エビデンスが示されておらず、実測のデータなのか、計算上の速度なのか不明です。たとえば、ハヤブサの飛翔速度ギネス記録が389km/hと紹介されていますが、黒澤(2008)が「米国のデューク大学の研究者がおよそ294 km/hという実測値を出している」と引用文献とともに紹介しています。さらに、太田黒(2024)が「ハヤブサの急降下については多くの研究があるが、いずれも空気密度を⼀定と仮定した終端速度近似であり,大高度差の降下に対しては実大気との乖離が大きすぎる。高度差が2000mを超えるような急降下を現実的な飛行環境のもとで再現した数値実験を行い、この記録が力学的に妥当なものか検証する」と報告していることを考えると、実測の速度ではない可能性があります。(引用)黒澤 隆.2008.ハヤブサ Bird Research News Vol.5 No.12.p4-5.(Enderson, J. 2005. Peregrine Falcon: stories of the Blue Meanie.University of Texas Press, Austin, TX.)太田黒俊夫.2024.ハヤブサの速度記録のシミュレーション.バードリサーチ鳥類学大会2024 講演要旨集 ポスター発表 P-39.