ノビタキはどこから移動しどこへ向かう?
今月半ば頃になると、手賀沼沿岸でノビタキを見かけるようになります。ところが、どこから手賀沼沿岸に飛来しどこへ向かうのかは、標識回収が1例のみであり、しかも最長移動距離が7kmと標識を装着した近郊で回収された記録のため、どこからどこへ向かうのかは不明というのが現況です。(参照)https://www.biodic.go.jp/birdRinging/atlas/Saxicola_torquatus/Saxicola_torquatus.htmlただし、自然ガイドに従事していらっしゃる方がご自身のブログにて標識装着していた個体について報告しています。それによると、リング1H-96592を観察し山階鳥類研究所保全研究室に照会した結果、2021年4月23日に北海道新函館付近で標識を装着し放鳥した個体が、2021年10月23日京都府京都市賀茂川で観察された個体と判明したとありました。直線距離にして約900km、本州を経由して移動したものと思われる旨が記されていました。(引用)https://bird-kuge.com/(ノビタキの渡りルート)先崎(2016)は、ノビタキの生態や行動などの知見を整理し報告しています。その中で、「ジオロケータをつかって北海道石狩平野で繁殖するノビタキの雄12個体の秋の南下ルートを追跡したところ,10月初旬に繁殖地を発ち、直接大陸に渡り、沿海地方南部・ハンカ湖周辺に一時滞在した。その後、華北平原を通過し中国南部からインドシナ半島(ラオス,カンボジア,タイ,ベトナム)で越冬していた」と報告しています。あわせて、「北海道松前町白神岬と青森県龍飛崎では秋期を中心に渡りと思われる個体が見られることから、北海道と本州を渡る個体もいると思われる」と述べています。(手賀沼と周辺地域での観察記録)手賀沼と周辺地域では、9月から11月の間に姿が観察されています。最も多く観察されたのは2000年9月23日の10羽で、大半が1-2羽が田んぼの草むらで虫を採食しています。齢については、大部分が若鳥ですが、成鳥雌雄と若鳥4羽が2000年9月23日に記録されています。(引用)先崎理之.2016,本州を経由せず大陸に渡る石狩平野のノビタキ.Bird Research News Vol.13 No.10.p1-2.(写真)1枚目はノビタキ:2014年10月12日手賀沼で観察・撮影2枚目はノビタキ:2016年10月1日さいたま市秋ヶ瀬で観察・撮影