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チョ・インソン~ジェミンに恋して

チョ・インソン~ジェミンに恋して

告白2

憤りと不安を持ったまま、ジェミンはイヌクの部屋をあとにした。

『いいや・・・これも運命だ・・おれの気持ちを察して、神様が巡り

合わせたのかな。』

『スジョンを・・・おまえの女を、俺にくれないか』

いつまでもイヌクの声が、耳からはなれない。

ジェミンは漠然と暗雲が二人を包み込み始めている予感がし、スジョン

が待つアパートに急いだ。


「お帰りなさい」

ジュリがリビングでテレビを見ながら言った。

「ああ、遅くなってすまなかった」

「スジョンはずっと寝ているわ」

ジェミンはそっと寝室を開け、静かに眠るスジョンの顔を見て安心した。

「ありがとう・・」

立ち上がって帰ろうとしたジュリが、ジェミンに小さな声で聞いた。

「いったいあなた達に何があったの?スジョンはどうしたの?」

「何でもないよ。大丈夫だ・・。」

無理に笑って答えるジェミンを見て

「何かあったらいつでも言って。できるだけの事はするわ・・あっ、それ

からキッチンにピザがあるわ。さっきショーンがもってきてくれたの。食

べるときはオーブンで温めてね。それじゃぁ・・」

とジュリは言って帰っていった。


ジェミンはジュリを送り出すと、ソファに沈み込んだ。

イヌクにはもっと言いたいことが山ほどあったはずなのに、何故か言葉が

でなかった。

『ああ、わかっているさ。その変わり、P財閥の株をすべておまえに返

してやる。今の会社からも勿論手を引かせる・・。だから、スジョンの

前から姿を消してくれ。』

イヌクの言葉が重くのしかかってきた。

(今のあいつはおそらくそれだけの力を持っているに違いない。俺が捨

ててきたものにはなんの未練もないが、パクの会社は何とかしなければ

ならない・・。俺達のことで迷惑はかけられない・・)

そう思った時、スジョンが何故イヌクと会ったことを電話で告げなかった

のか理解できた。

(スジョンもきっと、同じようにイヌクに脅されていたのか・・。)

一人でどれほど苦しんだことだろうか・・・そう思うと、ジェミンは

スジョンが可哀想でならなかった。

(やはりもう一度あいつとは話さなければならないな・・・。)


そのときスジョンが目覚めた。

「起きたか?」

「ええ・・良く眠ったわ・・」

「そうか、良かった。ショーンがピザをもってきてくれた。食べようか?」

「ううん・・まだいいわ。」

ジェミンはベッドに腰掛けてスジョンの頬をなでた。

「スジョン・・・何があったか、話してくれるか?でも、もしも嫌なら

無理をするな。」

スジョンは目を閉じ、暫くじっと考えていた。

「もういいよ。無理するな・・・。」

ジェミンが言うと、スジョンはゆっくり起きあがって、ベッドの背もた

れに寄りかかった。

まっすぐジェミンを見つめながら、イヌクに出会ったことから話し始めた。

リジュンの名前で車に乗せられホテルのラウンジに行ったこと、どうして

良いかわからず、思わず橋から身を投げようかと思ったときにイヌクに止

められ、気を失って気がついたらイヌクの部屋にいたこと・・そして

ソフィアのこと。

ソフィアに呼び出され、そして連れ去られたことを話した。

そこまで話をすると、スジョンは泣き出した。

「もういい・・もういいよ。」

と言って、ジェミンはスジョンを抱き寄せた。

「スジョン・・・俺と、このニューヨークをでようか」

スジョンは涙をためた瞳で、じっとジェミンを見つめ、そしてゆっくりう

なずいた。


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