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チョ・インソン~ジェミンに恋して

チョ・インソン~ジェミンに恋して

バリでの出来事~あらすじ8

        バリでの出来事~あらすじ8


あちこち歩き回っているうちに、一瞬イヌクとヨンジュが二人きりになると

「見てられないわ。」

ヨンジュが吐き捨てるように、イヌクに言った。

「ジェミンにあんなに低姿勢で接するなんて・・・プライドがないの?」

ジェミンに気を使っているイヌクに対して、ヨンジュは腹立たしさを押さえられなかった。

「P財閥の会長の息子だから?それとも私の婚約者だから?」

眉をひそめてイヌクが言った。

「両方さ・・・。」

「どっちにしても日和見主義ね・・・情けなくて、見ていられないわ」

そう言って、先に歩き出したヨンジュを追ってイヌクも歩き出した。

ジェミンはそんな二人の様子を、木陰でだまって見ていたのだった。


2005-04-17 15:35:41


やがて、昼食のためにスジョンが設定していたレストランの席に、ジェミンとイヌク

とヨンジュがいた。

「おもしろくないから帰るわ」

不機嫌なヨンジュが言い出した。

「昼飯くらい食べて行けよ」

ジェミンがすかさず言うと

「おなかもすいてないわ」

と、ふてくされたように答えた。

「せっかく休暇をつぶしてつきあってくれた、おまえの先輩に失礼だぞ」

と言うジェミンの声を聞かずに

「帰るわ」

とヨンジュが立ち上がると、イヌクがヨンジュの腕を力強く掴んで

「座ってろ」

と、静かに言った。

イヌクに押しとどめられて、黙って座り直したヨンジュを見たジェミンは、

顔色を変えてイヌクを睨みつけた。

イヌクはヨンジュにプライドがないのか・・と言われたことで、我慢してい

た何かがはずれたような気がしていた。

にらみ合うジェミンとイヌク・・・するとそこにスジョンが現れて

「もう、注文はおきまりですか?」

と聞いた。

「お嬢さん、この店は気に入らないな」

不機嫌なジェミンは、いきなりスジョンに八つ当たりした。

「そんなことはありません。この辺では評判の店ですよ。食べてみてくださいよ。」

スジョンが言うと

「おまえにわかるのか」

と、ジェミンはいらだたしく聞いた。

「ええ、韓国人の好みくらい簡単ですよ」

とスジョンが言うと

「じゃあ、おまえが選べ」

と言って、メニューをスジョンに向かって放り出した。

スジョンは色々注文し、わからないようにインドネシア語でウエイターにこう言った。

「お金をたくさん持っている連中よ。ぼっても良いから、後で私へのバックを忘れないでね」

cap004.jpg  


インドネシア語がわかるイヌクはそれを聞いて、思わず苦笑いをした。

「それでは、ごゆっくり」

と言って立ち去ろうとしたスジョンに

「一緒にここで食べないのか?」

と、ジェミンが聞いた。

「ええ、お客様のお邪魔はしないのが当社のモットーです」

と言うと

「そうか、じゃあこれで食べろ」

と言って、100ドル札を一枚スジョンに投げた。

「ありがとうございます。」

スジョンは100ドル札であることを確認するとぎゅっと握りしめて、もう一度振り返って

「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」

と、頭を下げた。

と、そのとき振り返りざまに靴のかかとが剥がれ、バランスを失い飲み物を運んできたウエイターとぶつかって倒れてしまった。

「きゃー」


cap069.jpg
頭からジュースなどをかぶり悲鳴を上げるスジョンを見て、3人はあきれたように見つめていた。


スジョンが化粧室で汚れを洗っていると、そこにヨンジュが来た。

「大丈夫?」

たいして気にもしていない聞き方で、ヨンジュが言った。

「えっ・・・ええ」


cap005.jpg


化粧を直し始めたヨンジュに、スジョンが聞いた。

「あの~、P財閥の御曹司ってどっちの人ですか?」

化粧する手を止めもせずにヨンジュが言った。

「さあ・・・どちらだと思う?」

「私は口数の少ない髪の長い方の人だと思いますが・・・」

それはイヌクの事だった。

ふんと鼻で笑って、まじまじとスジョンを見つめ

「それを知ってどうするの」

と、どちらとも答えないまま、ヨンジュは出ていった。

(嫌な感じの女だわ、本当に!)

スジョンはそう思った。



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