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チョ・インソン~ジェミンに恋して

チョ・インソン~ジェミンに恋して

バリでの出来事~あらすじ9

      バリでの出来事~あらすじ9


テーブルには、これでもかと言うほどたくさんの料理が並んでいた。

あまり食べないヨンジュに、イヌクが言った。

「口に合わないのか」

「うん」

「これなら食べられるだろう・・サテだ」

と言って、サテを一本とってヨンジュの皿にのせると

「うん、おいしいわ」

ヨンジュがすかさず食べてそう言った。


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ヨンジュは、ジェミンが気分を害しているのを察して

「ジェミンさんもどうぞ」

と言って、サテをジェミンの皿にのせ、気遣いをみせた。

不機嫌なジェミンは、いきなりテーブルにグラスを力一杯おいて

「あの女、頼みすぎだな」

と声を荒げた。

おもしろくないジェミンは、ナプキンで口を拭くと

「先に行ってるぞ」

と言って、さっさと苛立たしげに席を立ち、これみよがしに隣の席にある椅子を、

力一杯倒して出ていったのである。



残されたイヌクは、ヨンジュに言った。

「ヨンジュ、俺はいったいおまえの何なんだ」

「何だと思う?」

淋しげに笑うヨンジュを前に、少し間をおいてイヌクが言った。

「二人でどこか遠くに逃げようか・・・?」

ヨンジュは悲しそうに

「ごめんなさい」

と、言うのが精一杯だった。


ジェミンは店の前で苛立たしさを押し殺すように、うろうろ歩きながらふたりを待っていた。

(あの二人の関係は普通じゃないな・・)

ジェラシーが、心を荒立てていたのだった。

すると店の少し横に、スジョンの姿を見つけた。

ワゴン車の後ろのドアを開け放ち、車の床に腰をかけて葉で包まれている

お弁当食べていた。


スジョン


やがて食べ終わると片手に壊れた靴を持って、なにやら捜し物をしているようだった。

ジェミンは一瞬興味をひかれて、おもしろそうにそれを見ていると、スジョンは石ころをひとつつかんで

サンダルのかかとを、トントンとたたき靴を直し始めた。

裕福な女ばかりを見てきたジェミンは、不思議なものを見るようにスジョンのそばに行って

「おまえの親父さんは靴屋か?」

と、笑って言った。

そんなことはお構いなしに、スジョンはかかとを打ち付けながら聞いた。

「もう食べ終わりましたか」

「ああ」

何とかなおった靴を履きながら、スジョンは続けた。

「ねえ、あの人がP財閥の御曹司なんでしょ?」

と、イヌクの事をジェミンに聞くと、ジェミンは少し驚きながらも、すぐにいたずらっぽく笑って言った。


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「あぁ・・良くわかったな」

スジョンは満面の笑みで

「そうでしょ!!そうだと思ったわ。業界広しといえども情報に関しては誰よりも早いのよ。」

と、スジョンは嬉しそうに得意げに言った。

「おお、すごい情報力だな」

ジェミンは、わざとオーバーに感心したように答えた。

「ねえ、それであの女は何者?」

「婚約者だ」

「えっ、P財閥の御曹司の婚約者?」

「ああそうだ」

とジェミンに言われ

「あ~~あ」

と大きなため息をつくスジョンだった。

「午後の予定は?」

とジェミンが聞くと

「午後はウブドウでバリの芸術を・・・」

と、言いかけたスジョンに、ジェミンが口をはさみ

「それはもういいから飲みに行こう・・」

と、提案したのだった。

「これからですか?」

「ああ、そうだ」

すると、そこに丁度ヨンジュとイヌクが店から出てきた。



やがて4人は夕暮れの海岸でビールを飲み始めると、スジョンとジェミンはすでに酔いが回っていた。

「おまえ、バリに何しに来たんだ?」

ジェミンが、面白そうにスジョンに聞いた。

「稼ぎによ」

「おうそうか、それで稼げたか?」

「ええ」

自慢気にスジョンが言った。

「ほう、いくら稼いだんだ?」

「1000万ウオン」

「わ~~お。それはすごいなア~~」

ジェミンはわざと、オーバーに驚いて見せた。

「皆さんにしてみればたかが知れたお金だと思うけどね・・・そうでしょ?」

と、スジョンは財閥の息子だと思っているイヌクを見て言った。

イヌクが相手をせずに答えないでいると、ジェミンが言った。

「おい、お嬢さんが聞いているんだ。答えろよ」

むきになるジェミンの言葉に、気まずい雰囲気が流れた。

「先に帰るわ、ホテルまで送って」

ヨンジュはいたたまれないかのように、イヌクを見ながらいきなり立ち上がり帰ろうとした。

「待てよ」

と笑顔が消えたジェミンが、ヨンジュに言うと

「そうですよ。先に帰るなんて・・・」

酔ったスジョンもジェミンの意をかって言ったが、ヨンジュはまるで耳に入らないかのように先に帰って行った。

「送ってきます」

イヌクがそう言って立ち上がると同時に、ジェミンがビールを投げつけて怒鳴った。

「待てよ」

そう言うと酔ったジェミンがイヌクに突然殴りかかったが、酔ってないイヌクはそれを簡単に避けた。

「おまえら恋人なんだろ」

ジェミンは、イヌクを睨み付けながら言った。


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イヌクもまた意を決して答えた。

「ああ、恋人だ。それがどうした」

「なにお~」

ジェミンは、またもイヌクに殴りかかった。

スジョンはその光景を見ながら(どうしてこんな事になるのよ)と、おびえながら見守ることしかできなかった。

酔っていたジェミンはイヌクに何度も殴られて、ついに砂浜に倒れ込んだ。


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タクシーを止めたヨンジュはその光景を振り返って見ながら、一人で乗り込み

さっさと帰ってしまったのだった。。

イヌクは走り去るヨンジュの車を、空しそうに見送った。


スジョンは仕方なく、砂浜に倒れ込んでいるジェミンに肩を貸し、ジェミンをホテルの部屋まで

連れて帰ったが、部屋に入るとあまりの豪華さに驚き、もしかしたらジェミンが御曹司なのではないかと

思い始めていた。


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スジョンはジェミンをベッドまで連れて行って、横にさせた。

「水をくれ」

「は・はい」

豪華な部屋の隅々を確認しながら、飲み水をグラスに注ぎジェミンに持っていった。

(間違いない・・・この男がP財閥の御曹司なんだ)

水を飲み干したジェミンに、スジョンがしずしずと言った。

「それではごゆっくりお休みください。本日は誠にありがとうございました。」

ジェミンが苦笑いしながら

「どうした急にへりくだって・・」

と聞くと

「あ・あの、ガイドの本分を思い出しましたので・・・」

と、スジョンも気まずそうに言った。

するとジェミンは、帰ろうとするスジョンの腕をつかみ、ベッドの上に力ずくで座らせながら言った。

「今夜はここに泊まっていけ」


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