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チョ・インソン~ジェミンに恋して

チョ・インソン~ジェミンに恋して

バリでの出来事66

ジェミンはヨンジュの電話を受けたものの、気乗りしなかった。

しかし、イヌクの部屋にいると聞き、放っておくわけにもいかず仕方なく出かけた。

チャイムを鳴らすとイヌクがドアを開け、部屋にはいるとヨンジュが見えた。するとイヌクが「

早く連れて帰れ」と言うのだった。

ふと見るとスジョンもいたことに気付き、ジェミンはじっとスジョンを見つめた。

(できることならヨンジュより、スジョンを連れて帰りたい・・・)その衝動を抑えながら、

ヨンジュに「帰ろう」と言った。

するとヨンジュは「ちょっと待って・・」と動こうとしないので、ジェミンはヨンジュを抱きかかえるようにして、イヌクの部屋を出ていった。」

スジョンはジェミンの鋭い視線を、肌で感じていたのだった。

イヌクは、スジョンの心の中にジェミンの影を感じていた。


ジェミンは家に帰ると怒りもあらわに上着を投げつけ、イヌクの部屋においてきたスジョンを想った。そして、何よりもイヌクを憎んだ。

翌日の晩、ジェミンは兄の専務をバーに呼び出した。

「珍しいな・・・おまえが俺を呼び出すなんて」

「カン・イヌクと進めている投資家の話はうまくいっているのか?」

「ああ・・まあな」

ジェミンは会計資料を徹底的に調べた結果、資料自体に問題は見つからなかったが、あきらかに多額の資金を

使ったと見られる証拠を見つけたと言った。

「それはだな、ちゃんと株券を持っているよ」

兄は説明したが

「そんなものは形だけのものだ」

と、ジェミンが言った。

投資した先が倒産したものもあり、資料としてのつじつまが合ってはいつものの、まさしく資金を流用したものであった。

「あの会計資料はぬかりなくできていた。あれはイヌクが作ったのか?」

「もう良いじゃないか、どうせ流通部門はおまえのものになるだろう」

うるさそうに兄は言うと、ジェミンが言った。

「いいや・・俺はいらない。兄貴にやるよ」

「何だって?それは又どういうことだ」

「兄弟だからさ、もともと俺は興味がない」

「それで、俺には何をしてほしいと?」

驚く兄に向かってこういった。

「カン・イヌクを抹殺してほしい。再起不能になるまで。」

暫く考えて兄がいった。

「よし、わかった。再起不能にすれば良いんだな」


ジェミンはその足で、スジョンの家を訪ねたが、スジョンはまだ帰ってきていなかった。

暫く外で待っているとやがてスジョンが帰ってきた。

知らぬ顔をして行き過ぎようとするスジョンの腕をつかんでジェミンが言った。

「知り合いのふりくらいしろよ」

「何か用?」

「おまえは俺への当てつけでイヌクとつきあっているのか?そもそも、俺と知り合う前からイヌクといい仲だったんだろ?」

スジョンはジェミンを睨んだ。

「おまえ・・イヌクを愛しているのか?イヌクを愛しているのに、金のために俺と寝たのか?」

スジョンはぐっと唇を噛んだ。そして答えた。

「そうよ・・だからもう帰って」

「おかしいだろ・・・それなのに、俺がやったお金を返したのは何故だ」

スジョンは黙ってうつむいた。

「金額が足りなかったのか・・それならもっと・・」

と言ってジェミンは財布から小切手を出そうとすると、スジョンがジェミンの頬を思い切りたたいた。

ジェミンは我に返ったように言った。

「俺が離婚したら、俺と結婚してくれるか?」

スジョンは驚いた。

「俺なりに頑張ったが・・・毎日が地獄の日々だ。墓のことは何でも我慢できる・・おまえが怒るのも我慢できる。

でもおまえに背を向けられることだけは我慢できない。いいか・・イヌクとは結婚するな。

俺がすべてを捨てておまえを迎えにくるまで待っていてくれ。いいな。」

スジョンの頬に一筋涙が伝った。

ジェミンが帰りかけてふと見ると、そこにイヌクが立っていた。

「やぁ、代理。良く会うな」

そう言って、ジェミンは帰っていった。

「何かあったの?」

イヌクがスジョンに聞いた。

「いいえ・・何でもないわ」

「それなら、何故泣いているんだ?」

「部屋でお茶でもいかがですか?」

「いいや・・今日は帰るよ」

そう言ってイヌクも帰っていった。イヌクは先を歩くジェミンの後ろ姿を、じっと見つめていた。


酔ったジェミンが部屋に帰ると、ヨンジュが一人テレビを見ていた。ジェミンは酒とグラスを持って、横に座わりヨンジュに言った。

「いつまでこんな生活を続けるつもりだ」

「何の話し?」

「おまえ、人生終わった人間に興味がないんだろう」

「どういうこと」

「おれはもう、落ちるところまで落ちようと思っているんだ・・」

ヨンジュはフンと鼻で笑った。

「できるわけがないと・・・言いたそうだな。やるときはやるさ。」

「身を滅ぼしたいのならどうぞ御勝手に。」

「おまえと離婚したい。そして、スジョンと遠くで暮らすのさ。」

ヨンジュはそれでもジェミンを馬鹿にするように言った。

「あなたが、イヌクからスジョンを奪えるの?」

ジェミンは不敵に笑って答えた。

「イヌク?あいつはもうおいしまいだ。抹殺されるからな・・」

「どういうこと?ねえ、イヌクがどうなると言うの?」

ヨンジュは心配になって聞いた。

「おまえは知らなくても良い・・・。もしも、おまえが離婚してくれなくても、俺はスジョンの所に行く。わかったな。」

そう言ってジェミンは一人寝室に入っていった。




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