続 時空を超えて 第6章 11
カメリルの軍務刑務所で、カイルはイカサスの牢の前にいた。 看守が牢を開ける。カイルと看守が牢に入る。カイルの目の前にイカサスがいる。 イカサスはカイルがやって来たので、驚いたようであった。 「イカサス殿、お久しぶりです。」とカイル。 「カイルか、何の用だ。」とイカサス。 「いえ、用と言うほどでもないのですが、ご挨拶がてらに。何でこんなところにと、気になったものでして。」 「やられたんだ、収賄だとよ、トスカの野郎、ハメやがって。テメエだってやってるくせに、汚い手を使いやがって。」 (あなたもそれで大臣までのし上がったんでしょう。)とカイルは思ったが言わなかった。 「で、刑は何年?」とカイル。 「20年だとよ。出るときは、よぼくれてるよ。皆、トスカの顔色を伺ってやがる。」 「トスカ執政官の息子、名はトロルですか、彼とうまくやっていたと聞いていましたよ。なのに、どうして?」 「トロルは確かに可愛がってやった。でも、どうしてか分からない。」 (人間関係ほど脆弱なものはない。だからこそ、私は義理を果たしたのだ。)カイルはそう思った。 「ところで・・・セイルちゃん、いや、セイル外交官はどうしてました?」とカイル。 「お嬢様は見かけていない、郷里に帰省しているのだろう。トスカと肌が合わないみたいだった。」 「バジル殿は?」 「分からない、正義院には出席しているのだろうが、わしは正義院議員でないから。出れないから分からない。」 「正義院議会は大臣でも出れないのですか?貧民の出の私には分かりませんね。」 「名家でないと政策の決定はできない。大臣は案を出すだけだ。名家の大臣は別だが。カイル、何でそんなこと聞くんだ?」 「いえね、こんなところに長くいると、外のことを知りたくてね。皮肉なことに、質素な食事と運動で身体だけは元気になって、持て余しているのですよ。」 ・・・・・・・・・・ バジルはツール地方のユリネの家にいた。セイルが正義院議会に出ていないし、カーレンの官舎にもいないので、心配になって様子を見に来たのだ。 カーレンでセイルの上司であるゴンタ外務大臣にも、セイルの所在を尋ねたが、知らないと答えた。イカサス軍務大臣更迭投獄など政界に不穏な動きを察知したバジルは、セイルの身にも、もしやと思って確認にきたのだ。 病気のユリネにそのことを言うわけにもいかない。セイルが元気に働いているとユリネは思っているに違いないと、バジルは思い込んでいた。2か月や3か月帰れないことは、よくあったからだ。 「セイルがいないのですね。」とユリネ。 「えっ、どうしてそれが?」とバジル。 「兄さんの顔に書いてありますわ。そうでなければ、青い顔をしてここへ来るはずがない。あの子は二ホンですわ。」 「二ホン?」 ユリネはセイルに二ホン人であると告げた時から、セイルは二ホンへ帰るであろうことを予測し覚悟していた。まして、その時二ホン人がいたのだから、なおさらであった。注) 小説「時空を超えて」をハーメルンという小説投稿サイトに載せていますので、先にご覧ください。PCでもスマホでも「ハーメルン」と検索し、「時空を超えて」と小説検索すれば閲覧できます。もちろん無料で、ログインしなくても読めます。この拙い小説もハーメルンに投稿しています。