アンニュイな小学生
会社からの帰り道、疲れきったような物思いにふけったような、死んだ魚のような目をした2年生くらいの女の子が電車に乗っていた。ものすごくアンニュイな雰囲気をかもし出していたので、私を含め周囲の人の注目を集めていた。きれいな革靴をはいて、フリルのついた靴下を履いてリュックを背負っていた。いいところのお嬢さんで、塾へでも行くのかな、と思わせる服装だった。でもぐったりしていて、曇った目をしていて、子供なのに疲れた大人の顔をしていたから、見ているほうは気になって気になって。。。声をかけようと思ったときに彼女は席を立ってしまった。営業の帰りに新宿を通った。ひと目でホームレスとわかる人が、紙パックから滴り落ちるジュースのしずくを舐めていた。ビジネスマンや個性的な若者、外国人や強面の人などひっきりなしに駅のコンコースを横切っていた。そんなお世辞にもいいと言えない環境に、私学へ通う小学生がランドセルを背負いながら電車を乗り換えていた。親の付き添いなどはもちろんない。一人で、だ。なんだか少し、切ない日だ。勉強して、私学へ行って、近所に友達もいなくて、塾へ行って、疲れて。。。そんな子供の生活を覗いてしまったような気がしてならない。私は中学校から私学だった。受験して電車通学して勉強もしたし塾にも通った。おかげさまで大人になった今、履歴書を書いたら、書類選考で落とされることは、まず、ない。でも学生時代、家の近所に友達もいなかったし、成人式の式典も寂しかった。私にとって「地元」とは、ただ実家のある地域のことをさすだけで、それ以上でもそれ以下でもないのだ。私学か。。。いいんだか悪いんだか。。。みーたんは何がほしいだろうか。近所のお友達か、大人になった時に有利な履歴書か。う~ん。。。中学校まで待って、みーたんに聞いてみよう。みーたんの人生だ。みーたんに選んでもらおう。私に出来るのは、彼女が選んだ道を、真っ直ぐ進めるように見守るだけなんだよな、きっと。