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影男の屋根裏部屋

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Dec 15, 2005
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テーマ:闘病日記(4012)
カテゴリ:身辺雑記
母が倒れて病院に搬送された翌日。
会社には行ったものの、気が気ではなく仕事もまともに手につかない。

傍らに置いている携帯電話がいつ鳴るか。
関係の無い電話がかかってくる度に胆を冷やした。

父は昨晩からずっと付き添っている。病院内のことで、こちらからは連絡をとる術がない。
ようやく仕事を終え、家に帰った。嫁も子供を連れて実家から戻ってきている。

「親父から連絡あった?」
帰宅して早々に嫁に尋ねるが、まだないという。
じっとしていても仕方がないので、子供と風呂に入り、夕食を済ませる。
後片付けを終え、嫁が風呂に入ってしばらくして電話が鳴った。

父が病院の公衆電話からかけてきた。

母の容態は良くなっているわけではないが、状態は安定しており少なくとも悪化は
していない、とのこと。
依然予断を許さない状況であることに変わりはないが、いきなり変化する可能性は低い
という。
また、意識はしっかりしており、薬が切れて起きている間は話もできるらしい。

後からよく考えてみれば、大して良い情報でもないのだが、この時ばかりは少しでも
良い方向に考えることぐらいしか気持ちを落ち着ける手段はなかった。

父にはご苦労だが今夜もう一晩付き添ってもらい、明日の晩は私が交代する手筈と
なっていた。

旅行に行く予定ですでに休みを取っていた叔母は、私の後2日間付き添ってもらうことに
なっている。

正直、叔母の助けは本当に有り難かった。
父ははっきり言って頼りにならないし、子供がいる以上、嫁にも過度に負担をかける
わけにいかない。
私自身もそう会社を休むわけにはいかない事情を抱えていた。
勿論母の命には替えられないのだが、現在危篤状態に陥っているわけではないので無理は
言えない。これでも随分配慮してもらっているのは理解しているからだ。

家族が病気になるということはそういうことなのだ。

しかも普段はまったく病気と縁の無い者が突発的に重病に罹るということは、
慣れていない分無駄な行動も多いし、何より必要以上に不安になることは否定できない。

少なくとも治療に関して家族ができることなど皆無に等しい。
だからこう言いきかせるしかないのだ。

「なるようにしかならない」と・・・。

翌日の晩、会社から帰って急いで準備し、2日振りに母の病室を訪れた。
時間も遅いので父には早めに引き上げるよう電話で指示しておいた。
この上父まで身体を壊されてはどうしようもない、という考えもあった。

母は眠っている。

しかし相当寝苦しいらしく、ベッドの上で何度も身をよじる。
その度、くるぶし辺りに刺している点滴の管がからまってしまう。
何度か抜けたのであろう、シーツにこぼれた跡があった。

ベッド脇にあった簡単な丸椅子に腰掛け、母の手を握る。
入院したその日に比べれば状態はかなりましなようにも見える。
両手は注射か薬の影響かはわからないが、ところどころ痣になっている。
時折苦しそうにうめくので、背中をさすってやると、解熱剤のせいかかなりの汗を
かいている。

やがてうっすら目を覚まし、母は私に気付いた。
「調子はどう?」母は私の問いかけには答えず、
「お前、会社はどうしたん?」と言った。
「明日は日曜日やから心配せんでええよ、仕事はちゃんと行ってるし」
先の入院の際、自分のことで私に会社を休ませたことを気に病んでいるのはすぐに
わかったので、母を安心させる為にそう言った。
「そうか・・・○○ちゃん(嫁の名前)にもえらい迷惑かけてしもうたなぁ、子供は
 元気にしてるか?」
「うん、元気にしてるよ。もういらんこと気にせんでええからゆっくり休んで身体
 治さな」
普段の母からは考えられないほど弱々しい声で、聞き取るのも苦労した。

その晩はウトウトしたり起きたりの繰り返しで、しきりに水を欲しがった。
看護士さんが私に簡易ベッドを用意しましょうかと言ってくれたが、一晩だけのことだし
ゆっくり眠られるはずもないので断った。

定期的に見回ってくれる看護士さんに対して、導尿がつらいということと、身体中の
痛みをしきりに訴えていた。

他人の迷惑になることを何より嫌がり、少々のことでは弱音を吐いたことのない母から
は考えられないような状態であった。

それが何より病状の重さを如実に訴えている。私はまた涙が出そうになった。

長い長い夜が明けた。

病院の地下にはコンビニがあり、簡単な食事もできるらしいので、母が眠ったのを
見計らってエレベーターで地下に下りた。

サンドイッチと熱いコーヒーを買い、休憩スペースで食べた。

病室に戻ると担当医が診察をしてくれていた。
私は頭を下げて状況を尋ねた。
担当医によると、ようやく菌の種類が特定できたという。肺炎菌の一種で、さほど
ややこしい菌ではなく、現在投与している抗生物質にも充分効果は見られるらしい。
未だ危機を完全に脱したわけではないが、少なくとも命にかかわるようなことには
ならないであろうということだった。
ただし髄液を検査した結果の数値は、ある項目では基準値の6000倍近くもあり、
今まで見てきた中でも飛びぬけてひどい状態であったという。

このまま一週間程最適な抗生物質を投与し続け、再度髄液の検査をして数値が改善
されていればある程度回復の目処は立つとのこと。

ひとまずは安堵した。

最近の医師は責任逃れ、というわけではないだろうが考えうる可能性をすべて悪い方
から告知する傾向にあるらしい。

勿論適当に楽観視していて急に容態が変化して亡くなるというような状態はご免蒙りたい
が、する必要のない心配までさせられるのは如何なものかと思う。

しかし事態は良い方に向かっているので一旦は気にしないでおこう。

昼前に叔母と叔父が病院に来てくれた。
一緒に昼食をとりながら、先の医師の説明を報告した。
取りあえず命に別状はないことを知って叔母も叔父も安堵の表情を浮かべた。

叔母は着替えや身の回りの細々したものをひと揃え持ってきてくれていた。
叔母以外の母の兄弟についてはもう少し安定してから連絡した方がよかろうという結論
に達したので、連絡時期は母と相談して叔母に一任した。

取りあえずの危機は脱したが、人が長期入院することによって生ずる煩わしい事柄の
多くを処理せねばならぬことをこの時の私はまだ知らない。

父がもう少しまともであれば余計な仕事は増えなかったのであろうが、それはまた
次の機会に語ることにする。






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Last updated  Dec 15, 2005 05:16:14 PM
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