【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

フリーページ

2004年07月13日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
1999年に株式交換制度が法定化され、この制度を活用して少数株主を現金と交換に締め出すスキームが考案された。以降このスキームを利用したスクイーズアウトは増加傾向にある。

それ以前にも端株を用いたスキームや清算を用いたスキームなどが存在していたが、学者はおおむねこうしたスキームによって少数株主を締め出すのは多数決の濫用にあたるものであり商法が予定していないものであると考えていた。

その背景には、すべての株主は投資した企業について投資を継続するという正当な利益を有し、これを奪ってはならないという発想がある。こうした立場からは株式交換・移転制度を用いたスキームについても同様に締め出しは認めないという結論になるものと思われる。

一部の実務家は、株式移転交換制度を商法が認めた背景にはその制度を用いたスクイーズアウトも当然視野に入っており、それをも認める意思だったと解釈し、株式移転交換制度が認められた後はスクイーズアウトは可能になったと主張する。また、彼らは株式交換移転制度はひとつの企業に投資するという投資家の感情的なものを守るのを放棄した趣旨だという。

前出の学者の態度からすれば株式交換移転制度は直接スクイーズアウトについて言及したものではなく、この新制度を採用したことが必然的にスクイーズアウトを認めた趣旨だと解するのは議論が飛躍しすぎであるということになると思う。
また、仮にひとつの企業への投資を継続するという利益は守らないということになったとしても、現金と交換で締め出すということまでは認めていないという反論になるだろう。

結局、現行商法が「締め出し」を認めるか認めないかは、それがフェアなことかどうかというコンテントフリーな概念をどうとらえるかにかかっている。こうした問題は、法と経済学的分析によりルールの生み出す結果がどちらが良いかという観点か、または法律や判例で明確に決めてしまうかということをしない限り解決しない問題である。

こうした中途半端な状況が現行の状況であるといえる。これはアメリカにも過去に存在していた。エリオットワイスは彼のアーティクルの中で、アメリカのスクイーズアウトマージャーを四つの歴史的発展段階に分類している。

はじめの段階はすべての株主はベスティッドライツ(Vested Rights)を与えられているという段階である。どんな会社の組織的変更についてもどの株主もその変更を拒否することができるという立場である。たとえば会社の消滅期限が決まっている場合には、それを延長する場合にはすべての株主の賛成が必要ということになる。19世紀にはこうした考えが一般的であった。

2番目の段階は、こうしたベスティッドライツという発想からの撤退である。合併も多数株主の決議でできるようになった。しかし、まだ少数株主は継続的に一企業に投資を続けるという正当な利益を有しているという発想であった。締め出しを目的とする合併は裁判所で違法とされた。

3番目の段階は法律がキャッシュアウトマージャーを事実上できるよう認めているが、締め出しを目的とする場合にはそれはだめだと裁判所は判断した。裁判所は多数株主の票の濫用には敏感であり、少数株主にシンパシーを抱いていた。

4番目の段階は法律が正面からキャッシュアウトマージャーを認め、裁判所もこれをエンドースした時期である。20世紀の中旬から一般的になった。

こうして現在に至るというのがワイスの4分類である。
われわれはさしずめ3番目の段階にいる。株式移転交換が認められたときに2番目から3番目にきたが、引き続き少数株主の締め出しに対してはシンパシーを抱いている見解が多い。

江頭教授は締め出しも可能だという見解を示しているが、閉鎖会社の場合、少数側も締め出されたい場合があるのでそれは特に重要だという言い方をしており、締め出しは可能だという発想を正面から受け止めたものとは言いがたい。

産業再生法では3番目の更なる進展ともいえる法律が制定された。一定の要件のもと、政府承認があればキャッシュアウトが可能である。米国におけるキャッシュアウトはニューヨークの公益事業者に対して認めた政府承認付ショートフォームマージャーが最初だったようだが(1920年代)奇しくも日本のキャッシュアウトマージャーの夜明けはニューヨークの州法とかなりその法律のスキームが似ている。

2007年には商法改正で政府承認が撤廃されることになる。もともと政府承認はどこまで有効であるかは議論があってしかるべきだろうと思う。

現行の政府承認は、合併の前提となる計画認定の段階で、ROEなどが一定以上に向上することを確認することにしているが、これはまさにビジネス目的を政府が確認しているというに等しい。

また現金を株式の対価にしてキャッシュアウトする際には、現金の価額が「適切かつ必要」であることを政府が確認することになっているが、これはキャッシュアウトプライスを政府が事前に判断するということであり、事後的なアプレイザルレメディを事前に行うということに等しい。またはフランス法的にいうと、事前の強制検査システムの代わりを果たすものと言っても良い。

まずビジネス目的については、デラウェア州がこれを放棄したように、ある一定の能力を有するインベストメントバンカーにこうした条件を課するのはほとんど無意味に等しい。彼らはストーリーをいくらでもクリエイトできるからである。

キャッシュアウトプライスについてはいろいろ議論があると思う。日本ではあまり議論されていないようだが、私は前の日記に書いたようにキャッシュアウトプライスはマーケットプライスであるべきで、シナジーゲインの分配分は上乗せされるべきではないという立場をとる。(私は支配会社が存在するときには市場価格は抑えられているので市場価格は適当でないという立場はとらない(クラーク、ブラドニイはこうした立場である))したがって、マーケットがある場合には政府承認はあまり意味がない。しかし閉鎖会社的な場合、意味がある。事後的な裁判所でのアプレイザル手続きと事前の役所のアプレイザル手続きを比較してコストが安いほうがいいわけだが、フランススタイルの輸入法として検討に値する。少なくともアメリカ型のインディペンデンコミッティータイプは適切ではない。なぜなら、少数株主に必要以上にバーゲニングパワーを与え、シナジーゲインの一部分配を結果的に許してしまう可能性があり、価値創造的合併取引を萎縮するからである。なお、インディペンデントコミッティーの役割は米国州法では、少数株主を代表して可能な限りの高い価額を引き出すという役割を与えられている。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年07月13日 11時54分56秒


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ox8149

ox8149

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

 Mulberry Purse@ pqtmarcrnub@gmail.com Underwear model Vitalia Passley is inte…
 Mulberry Outlet@ cxaveolf@gmail.com Torrance-born Vitalia is addicted to &l…
 air jordan i@ staruaxmkd@gmail.com Delightful which i stayed at prefer to …
 cheap jordan shoes@ zquebjyci@gmail.com Post genuinely state studying in this a…
 air jordan shoes@ fvduedyk@gmail.com Highly towards anyone that consider the…

© Rakuten Group, Inc.