ユニバーサルデザイン最前線
(中)低床電車で気軽に外出高齢者の足に 富山市内を走る富山ライトレールの粟島駅。レジ袋と切り花を両手に持ち、買い物カートも引いた女性(80)が、新型の低床電車に軽々と乗り込んだ。ホームと電車の間は3~4センチ。「バスに比べて、荷物が多くてもすーっと乗れる。おかげで外出する機会が増えました」と上機嫌で話す。 ライトレールの前身は、JR富山港線。利用者減で廃止も検討された約8キロのローカル線は、車に乗れない高齢者など、「だれもが利用しやすい公共交通」として今年4月、第3セクター方式で再生した。日中の運行本数は1時間に1本程度から15分に1本に。富山駅北口近くの約1キロは路面電車化し、駅も増やした。 車いすでも乗りやすい次世代型路面電車「ライトレールトランジット(LRT)」は、都市交通のユニバーサルデザインとして欧米で新設が相次いでいる。日本での本格的な運用は、富山市が第1号だ。宇都宮市や堺市などでも新設を模索する動きがあり、熊本市、広島市などでは既存の路面電車に低床車両を導入している。 橋本昌史・帝京平成大学教授(交通問題)は「LRTは町中を水平移動するエレベーターのようなもの。歩くだけで日常の用が足せる街づくりが高齢社会には必要だ」と強調する。障害者の手で JR青森駅前の青森市新町商店街。午後2時過ぎ、台車を押した若者が商店に立ち寄り、客が店に預けた商品を次々と回収していく。客の自宅に配送するためだ。同商店街振興組合の堀江重一事務局長は「買い物帰りのお年寄りが雪道で転んだら大けがをする」と、宅配サービスを始めた理由を説明する。 新町商店街が目指すのは、だれでも利用しやすいユニバーサルデザインを活用した「福祉対応型商店街」だ。 専門家などの助言を受け、1997年、自転車と歩行者の通路を分けたアーケードを完成させた。高齢者のために100メートルごとにベンチを設置したり、電動スクーターを貸し出したりして自由に動き回れるようにした。子育て世代のために、子育て支援施設も運営している。 宅配サービスで商品回収を受け持っている若者は、実は精神障害者だ。彼らに働く場を提供するだけでなく、商店主が障害者と日常的に接することで意識を変えてもらうことも狙う。 「最も弱い立場の人に目を向けることが、すべての人に支持されることにつながる」。同組合の加藤博常務理事は強調する。恩恵は誰にも 国土交通省などは昨年度、ユニバーサルな街づくりのための実証実験として、0・4ミリ角の「ICタグ」4万個を、神戸市内の商店街と空港に埋め込んだ。携帯端末をタグに近づけると、道案内やトイレの場所、多言語の観光案内、レストランのメニューなど、様々な情報を得ることができる。視覚障害者や外国人、高齢者に限らず誰でも恩恵を受けることができる。 「エレベーターや障害者用トイレなどハード面の整備は進んだが、情報が伝わらなければ存在しないのと同じ」。実験を推進する坂村健・東京大学大学院教授は、情報のユニバーサル化の重要性を訴えている。 ライトレールトランジット(Light Rail Transit) 低床化され、揺れも少ない車両を使った新しい都市の公共交通。路面だけでなく地下や高架を活用したり、軌道敷への車の乗り入れを規制したりすることで走行環境を改善する。高齢化、中心市街地の空洞化への対応策として海外約70都市で導入されている。(2006年8月16日 読売新聞)ユニバーサルデザインって言うのは高齢者だけでなく誰にとっても使い易いものなんです携帯電話って最初はただ電話する機能しかなかったのがメールが出来るようになって聾唖者でも携帯が使えるようになりました特別メールは聾唖者の為に開発されたって事ではないはずですが結果的には誰にでも非常に便利なコミュニケーション手段になった訳です