高齢者虐待:1万3335件に増加 加害者の86%が同居家族
07年度に確認された高齢者虐待の件数は1万3335件で、前年度より712件(5.6%)増加したことが、厚生労働省の調査で分かった。表面化する高齢者虐待は「氷山の一角」との見方があるが、厚労省は「自治体への相談や通報が前年度より1割近く増え、周囲が早期発見を心掛けるようになったことで発覚しやすくなった」とみている。 06年施行の高齢者虐待防止法に基づく調査で、今回が2回目。虐待確認件数は、家庭内が1万3273件(前年度1万2569件)、グループホームなどの施設内が62件(同54件)で、ともに増加した。殺人や介護放棄による致死、心中などの死亡事件は27件(同31件)。相談・通報件数は前年度より1687件増え、2万350件に上った。毎日ま 家庭内虐待の被害者は77%が女性で、約7割が要介護認定を受けていた。加害者は86%が同居の家族で、息子(40%)▽夫(16%)▽娘(15%)の順。前回調査と同様に、在宅介護の難しさが改めて浮かんだ形だ。本人の通報は13%にとどまり、42%が介護関係者、14%が近所の人や民生委員からの連絡だった。発覚後に一時入院などで高齢者と加害者を引き離したケースは約3分の1で、過半数はケアプラン見直しなどで同居のまま防止を図った。 また市町村の防止体制では、前年度は3~4割台にとどまっていた介護事業所への研修や、NPOとの間で情報を共有する「早期発見・見守りネットワーク」整備に取り組んだ自治体が半数を超えた。【清水健二】毎日jp