はっぴーふぇいす

　今日はとても嬉しかったので、久しぶりにかなくんのことを書きます。

　かなくんは毎日保育園から帰ってくると手洗いをします。
日課にさせるべく帰ってきたらとにかく洗面所に直行して手洗いをさせます。
自分から洗面所にふらふらと行くときもあれば居間に行ってしまうときもあります。
だから少しずつ体に覚えこませようと毎日毎日少しずつ少しずつ習慣になっていくように
気長に教えています。今日出来ても明日も出来るとは限らなくて、それは本当に気の遠い
積み重ねなんだけど、いつか必ずかなくんの習慣となるように頑張っています。

　かなくんはアパートの部屋に帰り着くまでに階段であちこちを触ってのぼってきます。
階段に落ちているホコリのようなものとか虫の死骸とか触ってほしくないものに触って
帰ってきたときはハンドソープで手洗いをさせます。泡で出てくるタイプのもので泡を
出してやるとなんだか楽しいらしく、いつもニコニコしながら私が手を洗ってやるのを
見ています。
　今日帰ってきて手洗いをさせたときにいつもどおり水で手を洗わせようとしました。
すると手を引っ込めて拒否するので
「手はちゃ～んと洗おうね～」
と手を蛇口に持っていこうとすると、なんとかなくんが自分からハンドソープに手を伸ばして
手を泡を受け取る形にしたのです！！

　えっ！　ハンドソープで手を洗いたいんだ！！

　私はビックリしてしまいました。
いつもは手を洗うのも、それ以外のことも淡々と受け身でいることの多いかなくん。
そのかなくんが自分の意思でもって「泡で手を洗いたい」と思い、そして泡がどこから出てくる
ものなのかを覚えていて、更に泡を受け止めやすいように救うような格好で手を差し出す・・。
これだけのことなんだけど、本当にたったこれだけのことなんだけどすごくすごく感動しました。
涙が出そうなくらい感動しました。大袈裟に聞こえると思いますが、本当に泣けてきそうでした。

　物事の意味を理解する力もほとんどなく、冷たく言ってしまえばその場しのぎのその日暮らしの
ような生き方をしているかなくんです。
生活全般全介護で思考力も社会性も乏しくどうかすると自分の内に籠ってしまいがちな子供です。
意思の疎通は計れず、いつもいつも一方通行のコミュニケーションしかとれず、それでもこの子なりに
頑張って生きていることだけは確かです。
だけどそういう子供と日常を共にして、生活を一緒にしていくことは根気もいれば忍耐もいれば
努力もいることで・・・。
　我が子ながら持て余してしまうこともまた事実です。
だけど毎日毎日のほんの小さな小さな積み重ねがある日思いもかけないカタチで今日のように
実を結んだりしてくれると本当に心の底から思うのです。

　あぁ～・・。
　　この子と生きてきて良かった。
　　　　また、頑張れる。　まだまだ頑張っていける。

　　だって、かなくん自身がこんなにもこんなにも頑張っているんだから。
　
　ともすると思考がマイナスの方向に落ち込んでいきがちな毎日だけれど、こんな嬉しい
サプライズが用意されているからこそかなくんとの生活はやめられない・やめるわけには
いかないのです。やめる気なんて元から毛頭ないんですけどね。
　でも毎日の中で恐ろしいほどの多動っぷりを全開してくれたり、困ったちゃんに早代わりして
くれたり、体調や発作などの悩みがつきなかったりするとどうしても辛くなってしまったり
苦しくなってしまったりするのです。
もう明日は頑張れないかも、今日はなんとか凌いで過ごせたけれど明日も凌げる気力がない
なんて日もあって昨日と同じ１日・今日と同じ１日をまた明日も同じ１日として過ごさなければ
ならないことがしんどくて仕方のないときもあるのです。

　だけど、１日として同じ日はないんですよね。
同じような１日にしか見えないけれど、かなくんの中では確実に着実に実を結んでいく「何か」が
あるんだろうなぁ。
　そして今日のようにある日いきなり「理解でき」て「行動に移せる」日があるんだろうなぁ。
そう思うと明日という日がとてもとても待ち遠しく思えてくるから不思議です。
たくさんたくさんしてほしくないことや困ったことをしでかしてくれて、そのたびにグッタリと
させられて時々は泣けてくる日もあって、そんな日の方が多いかもしれないけれどそれでも
今日のようなスゴいかなくんに出会えると思うとワクワクしてくる気持ちも事実です。

　こうやっていろんな気持ちにその時々で揺られながらも、やっぱりかなくんとの日常は楽しくて
愛しくて切なくてやめられないのです。
「大変だね」といわれればそのとおりなんだけど、それ以上に素晴らしいものを見せてもらって
感じさせてもらっています。

　『障碍児と共に生きる日常』は一口では言いあらわせられないほど時として過酷で時として
シビアなものだけれど、それと同じくらい、いえそれ以上にこの子の親としてものすごい感動を
味合わせてくれるものでもあります。

　凹む日々がこの先山ほどあろうとも、今日のような小さな出来事でも大きな感動があって
かなくんのかなくんなりの成長が本当に本当に嬉しいのです。
健常児からみれば取るに足らない小さなことだけど、その小さなことが出来るために何日も何日も
何倍も何倍も努力して体得していく小さな背中を見ていると勇気付けられます。

　あぁ、私も親として頑張っていかなきゃいけないなぁ、なんて思えたりして。



　私が感動に浸っている間に居間に移動していった愛すべきかなくんは部屋の中を一瞬にして
ゴミ箱にしておりました(涙)。

　　　　　　　　　
　　　倒れた本棚・散乱する絵本・・　　　　　　　　　　そしておもちゃも散乱・・・(涙)

　全くお恥ずかしい有様の我が家ですが、今日お友達のひろりんのブログに我が家と同じような
お部屋が映っていて、それがなんだかウチだけじゃないんだな～と嬉しくなりました。
いえいえ嬉しくなるところじゃないのは分かっているんだけど、それでも「グロッキー(死語？)
なのは私だけじゃないんだよね」なんて思えたことが少しホッとできたりして・・♪

　大変な毎日には違いないけれど、愛すべき毎日でもあります。
かなくんの母親としてかなくんとともにかなくんのペースで『ゆっくり生きていく』ということが
出来ればいいなぁと思っています。

　　　　これまでも、これからも、ずっとずっと・・・♪