会計士試験の見直し案
すでに発表されている「公認会計士試験・資格制度の見直し案の概要」ですが、いろんな人から話を聞く限り、いろいろ問題がありそうですね。(個人的に注目したところを赤字にしています)―――――公認会計士試験・資格制度の見直し案の概要 ※ 今後、法案の検討の過程等において、下記内容が変わる可能性があることに留意。1.試験制度の見直し ○ 短答式試験の合格・論文式試験の科目合格の有効期間の見直し ・短答式試験の合格及び論文式試験の科目合格の有効期間について、(現行制度では短答式試験の合格又は論文式試験の科目合格からそれぞれ2年間となっているものを、)短答式試験の合格から1年間に短縮する。 ・一定の実務(例えば、資本金1億円以上の企業等における公認会計士等として必要な知識・技能の習得に資する実務)に従事している者については、上記有効期間を5年間延長する(有効期間は計6年間)。 ○ 試験制度の見直し ・3段階目の試験にあたる実務補習の修了考査を法律上位置付ける。 ・試験科目は変更しないが、幅広い知識や教養を問えるよう出題内容を工夫する。 ・年2回実施している短答式試験を年1回とすることについて検討する。 ○ 試験免除制度の見直し ・大学等の教授・准教授・博士に係る試験免除制度を廃止する。 ・会計専門職大学院修了者に対する短答式試験の一部科目免除方法の見直しを行う。 (注)現行では、短答式試験の免除対象となっていない科目(企業法)の合格は会計専門職大学院修了後であることが求められているが、これを修了前の合格も認めるよう見直しを行う。2.資格制度の見直し(1)「企業財務会計士」の創設 ○ 業務内容:1 財務書類の調製、財務に関する調査・立案・相談 2 監査業務の補助 ○ 資格要件:論文式試験の合格及び一定の実務・教育経験2年以上 (注)一定の実務・教育経験には、公認会計士の資格要件として認められる実務経験のほか、以下を含むこととする。 1 例えば、資本金1億円以上の企業等における会計実務 2 一定の会計専門職大学院の修了 ○ 登録:日本公認会計士協会が登録を実施 ○ 義務:継続的専門研修(CPE)、信用失墜行為の禁止、守秘義務 等 ○ 責任:登録抹消、業務停止等―――――結局、実務経験がいるのなら「企業財務会計士」も取れないのでは?資本金1億円未満の会社でも、実務に詳しくなるのにね。もしかして、中小企業いじめ(?)―――――(2)公認会計士に関する見直し ○ 資格要件の追加・変更 ・大学等高等教育機関での一定の科目履修を資格要件に追加する。 (注)公認会計士試験合格と大学等高等教育機関での一定の科目履修により、大学卒業相当の知識を確保。 ・実務経験の要経験年数を2年以上から3年以上に変更する。 ・実務経験となる業務に、例えば、(資本金5億円未満の)上場企業等における会計実務を追加する。 ・一定の会計専門職大学院の修了者は、その修業年限の2分の1(1年を上限)を実務経験年数に算入できることとする。 ・実務補習の見直し(監査・税実務の重点化、e-ラーニングの拡大等)について検討する。 ○ 継続的専門研修(CPE)の履修義務科目の明確化 ○ 協会による登録抹消の事由に、公認会計士等が一定期間所在不明である場合を追加3.会計の専門家の活用等 上場企業等に対して、公認会計士・企業財務会計士その他の会計の専門家の活用等の促進及びその状況の開示に関する規定を創設。―――――会計大学院を優遇してますねぇ。実務は実務、勉強は勉強だと思うんですけどね。別に、そもそも会計大学院は実務を勉強するところではないでしょう。何度か書いていますが、もはや公認会計士の資格に実務経験を求めるのはナンセンスな気がしています。実務経験のない弁護士はいますし、経営をしたことなくてもMBAは取れます。また合格者数については、『当面の合格者数については、金融庁としては、1,500人程度から2,000人程度を目安として運用されることが望ましいものと考える。』だそうです。合格者数は相変わらだと、監査法人への就職枠が広がる理由はないので、就職難問題は実質的に先送りです。ただ、最後の「会計士活用状況の開示」は面白いと思います。未就職者の企業への就職が有利になるという思惑はさておき、「私も会計士を取ろう」と思われる経理部の方も増えるのではないかと (・。・)y