2008/11/24(月)17:49
「NHK音楽祭 2008」~魅惑のバイオリン 魂のコンチェルト
ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団
マリス・ヤンソンス(指揮)
BShi 11月 22日 (土) 22:00~「ハイビジョン ウィークエンドシアター」
BS2 12月 1日 (月) 00:40~「クラシック ロイヤル シート」
●ブラームス:バイオリン協奏曲 二長調 作品77
ジュリアン・ラクリン(バイオリン)
表向きは静かで、あまり感情を出さない人だとしても、
心の内にはたぎるような感情のエネルギーを持ち合わせている人がいる。
ブラームスの作品を聞くと、彼はそんな人だったんじゃないかと思う。
演奏されることが多いので、耳にする機会も多いこの名曲ですが、
今まで聴いてきた中で一番といってもよい演奏でした。
まだ30台前半なのに「熟成」という言葉が浮かんできたくらいの老練な演奏に震えた。
表現力のあまりの豊かさに、思わず知る限り(別名:ごく僅かw)のお歴々の名ヴァイオリニストの
演奏と比較してしまったくらい。
なんだこのヴァイオリニストは。震・撼。。。
正統派クラシックの中に、スラブ系音楽のようなグルーヴ感が混在していて
魂の奥底をくまなくさらっていく。
マリス・ヤンソンスは、オケを優しく包み、時には強く導くまるで父親のような愛に溢れた指揮で、
ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団はいわずと知れた滑らかで優美な音色に感涙です。
作品77の主題となるオーボエの演奏者が目を瞠る名演奏を聴かせてくれて、
これも筆舌につきがたいものでした。
アンコールはマジっすか?
バッハ 無伴奏バイオリン・パルティータ 第2番「サラバンド」
こちらはうってかわって1音1音を丁寧に演奏していて、
彼はいったいどれだけの表現方法をもちあわせているのかと薄ら寒くなった。
生で聴けた人の幸運をうらやましくおもいます。
最新の録音技術で録っているのだと分かっていても、やはり生で聴く音は全然違う。
録音では消されるような、耳に聞こえないくらいのノイズ(それも含めて音色が出来ていると思う)を
拾っているのか、空気の振動を肌で感じるからか。
それでも録画Vを聴きながら何度も涙しそうになった。素晴らしすぎて。
●ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
ある意味卑怯(笑
映画やテレビの挿入曲として使用される(第3楽章なんかそう)ことも多い有名なこの美しい曲を
ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団が演奏して、感動しないわけがないじゃないか。
旋律の美しさにただただたっぷり聴き惚れるこの贅沢。
マリス・ヤンソンスの指揮は、愛、だろ。愛。
●R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
曲のプログラムを見てびっくりしたのですが
演奏会の中心となりうる大曲が3本立てというずいぶんたっぷりの構成なのですよね。
ティルはその中でも軽めというか、明るいタッチの曲なんで、華々しく賑やかしく
そのままエンディングのアンコールへと繋がり
全体の長さを感じさせない終わり方でした。
もおーーーマリス・ヤンソンスに惚れますた。
今回の演奏曲と違った毛色の曲も聴いてみたい!
体調が悪かったとお聞きしてましたが、楽章の合間や演奏後はすごく辛そうに咳き込んでて、
すぐにお風呂に入れて、乾いた暖かいタオルでごしごししてあげたいくらい!
それでも観客の声援に、愛情こもったステキな微笑みで応えてらっしゃいました。
生演奏を聴けなかったのは残念だけど
録画とはいえこの演奏会を聴くことができたのは大きな幸せです。もちろん永久保存版(笑
解説が、大好きな黒田恭一さんなのも嬉しいです。
この方の解説&文章は小難しい専門的なものではなく、一般人に伝わる表現でなされています。
演奏者や楽曲に対しての深い愛情に溢れた姿勢に、勝手に「クラシック界の関根潤三」と読んでおります。。
常日頃、苦々しく思っていることなんですけど。
演奏会で必ずといって出没する「真っ先ブラヴォー野郎」と「真っ先拍手野郎」。
消えてくれ。
ほとんど演奏を聴いてないでしょ。バッカじゃないのと思う。
素晴らしい演奏であればあるほど観客は余韻に浸り、
少しのタイムラグができてから沸き起こる大きな拍手は
ますます感動を増幅させるものです。
1. バイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 ( ブラームス作曲 )
[アンコール]
無伴奏バイオリン・パルティータ 第2番 から
サラバンド ( バッハ作曲 )
2. 交響曲 第3番 ヘ長調 作品90 ( ブラームス作曲 )
3. 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの
愉快ないたずら」作品28 ( R.シュトラウス作曲 )
[アンコール]
ハンガリー万歳 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
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バイオリン : ジュリアン・ラクリン
管弦楽 : ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団
指 揮 : マリス・ヤンソンス
- 出演 -
黒田 恭一 (音楽評論家)
鎌倉 千秋 (NHKアナウンサー)
[ 収録: 2008年11月12日, NHKホール ]