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2024/04/29(月)10:57

読み応え充分!「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」

読書(36)

「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」、2年以上前に発売された本なので新しい本ではありませんが、何かと話題の作品なので読んでみました。 主に英米文学の文芸評論家として活躍されていた川本直氏の小説デビュー作だそうです。 デビュー作で読売文学賞など多くの賞を受賞して話題になった作品です。 ちょっとネタバレでご紹介します。 妖しげな表紙が印象的で、猥雑感が漂っています。 思った通り、いきなりキワドイ描写から始まってビックリです。 このお話は20世紀のアメリカ文学を中心に活躍した人たちがたくさん登場しますが、虚実入り混じった内容に何が事実で何が虚構か、誰が実在の人物で誰が創作上の人物か判然としません。アメリカ文学に詳しくない私にとってはネットで確認しながらの読書となりました。 アメリカ文学史上最もスキャンダラスな作家のジュリアン・バトラーの一生を、陰で支えてきた友人で作家・評論家のジョージ・ジョンが書いた最後の作品「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」を川本直氏が翻訳して出版、というていで書かれています。 そのこだわりは徹底していて、時代背景や登場者の交友関係そして最後の参考文献の資料まで緻密に矛盾なく構成されています。最初に訳者前書きを川本氏が書いている所から虚構は始まっているのがとても面白いと思いました。本文も外国文学の翻訳調でその気にさせてくれます。 全体を通して、細かな会話やちょっとした事件、彼らの書いた作品の内容などが綴られていて冗長な感じがしないでもありません。読書マニアにはたまりませんが、苦手な人もおおいのでは?と感じました。 全部で380ページほどのボリュームで読み応えがあるのですが、最後の80ページ程が訳者のあとがきになっています。ここでこの作品で何を表現したかったのかを集約しているような気がします。 本文を読み進めている間は気が付かなかったことも、ここで明らかになり満足感をもって読み終えることができました。 なかなか難しい作品なのですが、読後の充実感はずっしりと感じます。 私は、毎日100ページづつ楽しみながら読み進めましたが、読み終えたら何だか寂しくて、もう一度初めから読み直してみたいという欲求がわいてきています。 読書好きなら、是非読んでみるべき作品と思います。 ​ ジュリアン・バトラーの真実の生涯

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