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2021.03.01
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カテゴリ:カテゴリ未分類
※ この記事は『新宿会計士の政治経済評論』への転載を依頼しました。
(転載された記事はこちらです)

 本稿は、ゲーム理論の予備知識がない方にも理解していただけることを目標として、書いたものです。
 既にご存じの方には、「長ったらしいだけで内容が薄い」と、お叱りを受けると思います。
 予め、お詫び申し上げます。
 また、理解不足や誤り等あれば、ご指摘いただければ幸いです。

  • GameTheory2.jpg
    (【出所】著者 撮影)

目次
1. ラムザイヤー論文の核心となるゲーム理論
2. 韓国が日本に仕掛ける理不尽なゲーム
 2.1 ゲームの要素と利得表
 2.2 非韓三原則が当然の理不尽なゲーム
 2.3 支配戦略とゲームの解
 2.4 なぜ韓国は現金化し難い資産を差し押さえたのか
*** コーヒー・ブレイク ***
3. 戦略を操作する
 3.1 脅しと空脅し
 3.2 差し押さえが脅しや空脅しの可能性は低い
 3.3 利得表を変えた日本の制裁予告
  3.3.1 制裁予告後の利得表
  3.3.2 これは空脅しではない 韓国を怯えさせた輸出管理適正化措置
 3.4 利得表の上書きを狙った韓国
  3.4.1 制裁なんか吹き飛ばせ
  3.4.2 韓国が想定した利得表
  3.4.3 これは空脅しだ 自ら後頭部を強打した韓国
4. プレイヤーが変われば利得も変わる
 4.1 制裁予告後の文大統領の利得表
5. ゲームを終わらせるには


1. ラムザイヤー論文の核心となるゲーム理論
 ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が、3月に刊行される予定の「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」(International Review of Law and Economics)」第65巻に「太平洋戦争当時の性契約(Contracting for sex in the Pacific War)」と題する論文を掲載したことで、韓国が大騒ぎしています。

 「いわゆる慰安婦は強制された性奴隷ではなく、売春業者と売春婦が、与えられた条件下で各々が自己の利益を追求するゲーム理論に合致する行動をしていた」というのが論文の核心です。
 この論文をご存じない方は、教授ご本人の了承を得て、要約を産経新聞が公開していますので、そちら (世界に広まる「慰安婦=性奴隷」説を否定 米ハーバード大J・マーク・ラム ザイヤー教授が学術論文発表 (産経新聞 2021.1.28) ) をご覧ください。

 ラムザイヤー教授が用いたゲーム理論とは、どのようなものでしょうか。
 理論と言っても、相対性理論や量子力学のように理学部や工学部で扱われるものではなく、経済学部で扱われることが多いものであり、残念ながら、著者の専門分野ではありません。
 ただ、幸いなことに、ゲーム理論は難解なものでもありません。むしろ、「これが理論なのか?」と思うほど、直感的に理解し易いものなのです。
 有名な囚人のジレンマは、ゲーム理論の話をする際に登場する、代表的なものの一つです。

 ゲーム理論では、一回限りのゲームか、同じルールでゲームを何度も繰り返し行う「繰り返しゲーム」かも重要なポイントとなります。本稿では、一回限りのゲームを想定し、囚人のジレンマよりも簡単な例として、最近の日韓関係を、ゲーム理論の観点から論じてみたいと思います。
 繰り返しゲームについては、時間が許せば、「協調」という観点から、別稿として取り上げます。

 なお、ゲーム理論では、「ナッシュ均衡」という、ノーベル経済学賞を受賞したジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニア博士の名にちなんだ用語が通常用いられますが、本稿では、できるだけ専門用語を用いないようにしています。

 本稿が、読者の皆様にとって、ゲーム理論を理解する助けになると共に、日韓関係をより深く考える、きっかけになれば幸いです。


2. 韓国が日本に仕掛ける理不尽なゲーム
 日本は韓国から、歴史的事実に反する捏造や、国際条約や協定で解決したはずのことの蒸し返しにより、何度も何度も繰り返し、しつこく因縁をつけられています。
 直近では、
 ・いわゆる慰安婦問題
 ・自称元徴用工問題
などがあります(日本の立場では、これらは、朝鮮人売春婦問題・朝鮮人出稼ぎ労働者問題と呼びたいところですが、そこは堪えて、上の表現を使うことにします)。
 韓国がしつこく因縁をつけて来る理由を、ゲーム理論の観点から、改めて考えてみましょう。

2.1 ゲームの要素と利得表
 ゲームの要素の定義は、あまりにも当たり前のように広く用いられているため、これが最も適切だと言える文献を見い出すのは困難です。

 ここでは、「図解ポケット ゲーム理論がよくわかる本」(清水武治 著, 秀和システム 発行, 2018年11月15日, ISBN 9784798055787) 第18ページの「①ゲームの要素」から引用します。
「自分で手段や方法を選択することができる主体(プレイヤーと呼びます)、その行動(目的実現の一連の行動計画を戦略と呼びます)と、その結果を評価したもの(利得と呼びます)がゲームの要素となります。」
 これを箇条書きにすると、ゲームの要素は以下のようになります。
 ・プレイヤー 自分で手段や方法を選択することができる主体
 ・戦略 プレイヤーの行動計画
 ・利得 戦略の結果を評価したもの(利益に相当すると言ってもいいでしょう)

 また、各プレイヤーの戦略と利得を表にしたものを、利得表と呼びます(【表1】)。
 利得表は、一つの枠に両プレイヤーの利得を並べて記載することが多いようですが、本稿では、日本と韓国の利得が一目でわかるよう、両者を分けて記載します。

                  【表1】 利得表      
              |   プレイヤーBの戦略     |
              |  戦略3  |  戦略4  |
 | プレイヤー | 戦略1 |  利得(1,3)  |  利得(1,4)  |
 |  Aの戦略  | 戦略2 |  利得(2,3)  |  利得(2,4)  |

 利得(a,b) は、プレイヤーAが戦略a を取り、プレイヤーBが戦略bを取ったときの利得
 (【出所】著者作成)

2.2 非韓三原則が当然の理不尽なゲーム
 いわゆる慰安婦問題も自称元徴用工問題も、1965年の日韓請求権協定を始めとする国際条約や協定で、とっくに解決済みのことです。それどころか、韓国側が言う証拠は自称被害者の証言だけであり、本当に被害があったのかどうかさえ定かでない例も、少なくありません。
 「証拠」という観点では、著名な韓国人作家でありブロガーでもあるシンシアリーさんが、「韓国統一部長官、『証言とは、一部の証言者の一方的主張である恐れがある』と北朝鮮の人権状態を擁護 (シンシアリーのブログ 2021年2月23日)」という記事を書かれています。タイトルを見ただけで、「その言葉を、自称元慰安婦と自称元徴用工、ならびに、担当裁判官にこそ言って欲しい」と思うのですが、この件については、本論からはずれるので、指摘するに留めます。

 いわゆる慰安婦問題も自称元徴用工問題も、はっきり言って因縁でしかありません。
 ゲーム理論では、これらをどうとらえるべきでしょうか。
 これについては、「不毛な机上の空論を17回も続けた「韓日フォーラム」 (新宿会計士の政治経済評 2020/05/28 08:00)」 で、『「ゼロ対100」理論』と名づけられています。該当部分を引用します。
「重要な考え方が、「ゼロ対100」理論です。韓国は得てして「ゼロ対100」の割合で自分たちの側に問題があったとしても、これを「50対50」、あわよくば「100対0」に持ち込もうとします。つまり、彼らから見れば、
 ・勝てばプラス100%
 ・引き分けてプラス50%
 ・負けてもプラスマイナスゼロ
という勝敗表です。これを日本から見れば、
 ・勝ってもプラスマイナスゼロ
 ・引き分けてもマイナス50%
 ・負ければマイナス100%
というわけですね(日本にとってはたまったものではありません)。」

 これを、利得表にすると、【表2−A】と【表2−B】のようになります。
 表中、プレイヤーは日本と韓国とし、両国の戦略を
・折れる: 相手の言い分を認める
・折れない: 相手の言い分を認めない
で表わしています。
 また、利得は、「ゼロ対100」理論の数値から%を取り除いた値を用いています。
 ただし、「日本も韓国も折れない場合には、韓国は国際法も条約も無視して国内判決を優先し、強制執行する」と仮定しています。
 背景を     で塗った部分については後に触れますので、今は気にしないでください。

                【表2−A】 日本の利得表     
              |      韓国の戦略     |
              |  折れる  |  折れない   |
 | 日本の | 折れる  |    -50  |   -100  |
 | 戦略  | 折れない |     0  |   -100  

                【表2−B】 韓国の利得表     
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |   折れない 
 | 日本の | 折れる  |    +50   |   +100  
 | 戦略  | 折れない |      0   |   +100  
 (【出所】著者作成)

 ゲームとしては、両プレイヤーの利得の合計が常にゼロとなる、いわゆるゼロサム・ゲームであることがわかります。日本が譲った分を韓国が一方的に奪って行くことを端的に表現したのが、「ゼロ対100」理論ですから、ゼロサム・ゲームであるのは当たり前ですね。
 こういう、日本が得をすることはなく損ばかりで、韓国は損をすることがなく得ばかりの一方的なゲームだからこそ、韓国は何度も何度も因縁をつけ、ゲームをしかけてくるのです。

 これまで、日本は韓国に対して、アジア通貨危機時の日韓通貨スワップを初めとして、何度も助けてきました(通貨スワップ後には、「助けるのが遅い」と恨まれました)。半導体産業や自動車産業等のノウハウを、惜し気もなく教えてきました(教えた後の韓国の態度は、「もうわかった、お前は邪魔だ」という類いのものでした。シャインマスカットや苺の苗など、盗まれたものも多々あります)。それなのに、この有り様です。
 本当に、韓国は、助けても、教えても、かかわってもいけない国です。
 「韓国を助けるな、教えるな、関わるな 古田博司氏に聞く「東アジア3カ国との付き合い方 (JB Press 2015.4.4)」」に記されている非韓三原則を、今では政治家でさえ口にするのも、理解できます。
 このことは、韓国側の耳にも入っているようで、「最悪の韓日関係の中でも…韓国外交長官「ツートラック原則」ばかり反復 (中央日報日本語版 2021.02.19 08:02)」において、
「朴振(パク・ジン)国民の力議員も「日本の政界では韓国を助けない、教えない、関わらないという『非韓3原則』が出ている」とし」
と報じられています。
 否定的なことも、はっきり言わないと都合よく勝手な解釈をしがちな韓国に、日本側の雰囲気がストレートに伝わっているのは、よいことだと思います。

2.3 支配戦略とゲームの解
 話をゲーム理論に戻しましょう。

 もう一度、【表2−B】を御覧ください。
 日本が「折れる」「折れない」のどちらの戦略を取った場合でも、韓国は「折れる」という戦略よりも「折れない」という戦略を取る方が、利得が大きいことがわかります(背景を     で塗った部分)。
 このように、相手プレイヤーがどんな戦略を選ぼうと、自分は特定の決まった戦略を取れば、他の戦略を取るよりも大きな利得を得られるならば、常にその戦略を取るのが得策だとわかります。この、相手プレイヤーの戦略にかかわらず決定できる戦略を、支配戦略と呼びます。

 次に、【表2−A】を御覧ください。
 韓国が「折れる」という戦略を取ると仮定した場合、日本は「折れる」という戦略を取るよりも「折れない」という戦略を取る方が、利得が大きくなります。
 一方、韓国が「折れない」という戦略を取ると仮定した場合には、日本の戦略は「折れる」であっても「折れない」であっても、利得は同じで、-100 になります。
 このようなときは、相手プレイヤーの戦略に関係なく自分の戦略を決められるよう、戦略の単純化を図ります。
 【表2−A】では、韓国の戦略が「折れる」である場合に日本は「折れない」戦略を取る方が利得が大きいので、韓国の戦略が「折れない」である場合も、それに合わせて、「折れない」を日本の戦略として採用します。
 論理回路の設計をしたことがある方には、カルノー図で、どちらでもいい部分は Don't care として、回路の簡単化を図るイメージと言えばわかり易いでしょうか。
 このようにして決まる、日本が取るべき戦略「折れない」も、韓国の戦略にかかわらずに決定できるので、支配戦略となります(背景を     で塗った部分)。

 支配戦略とのうち、【表2−B】の韓国の戦略のように、支配戦略の利得が、全て不等号で有利である場合を強支配戦略と呼び、【表2−A】の日本の戦略のように、一部に等号 (カルノー図で言えば Don't care) を含む場合を弱支配戦略と呼びます。

 そして、全プレイヤーが各々最善の戦略を取った場合に、戦略が合致するところを、ゲームのと呼びます。
 全プレイヤーに支配戦略が存在するならば、各プレイヤーの支配戦略が重なる部分が、解となります。

 【表2−A】と【表2−B】のゲームの解は、日本と韓国の戦略は、どちらも「折れない」。
 そのときの日本の利得は -100、韓国の利得は +100 となるわけです。
 釈然としない結果ですね。
 しかし、日本と韓国の両プレイヤーが、お互いに最善の戦略を取るならば、必然的にこの解に行き着くことは、ご理解いただけると思います。
 それでも、やっぱり、釈然としませんね。
 大丈夫。ゲームを引っくり返す手段はあるのです。

2.4 なぜ韓国は現金化し難い資産を差し押さえたのか
 ゲームを引っくり返す手段を考える前に、もう一つ検討しておきたい問題があります。

 現実の韓国の行動を思い出してください。
 自称元徴用工問題では、2018年に韓国大法院は日本企業に賠償を命じ、原告はその後、日本企業の知的財産権や合弁会社の株式を差し押さえました。
 しかし、これらを現金化するのは容易ではありません。
 流動性が高い、市場で流通している有価証券や現預金を差し押さえる方が、よほど簡単に現金化できるはずです。

 最初から、流動性が高い資産を差し押さえることを想定していれば、判決前も、判決が確定した後も、韓国は「このゲームには、必勝法がある」と断言し、平然と構えていればよかったはずです。判決に先立って、韓国は、強硬な反日政策を取る文大統領肝入りの、大法院長を新たに任命したのですから。
 にもかかわらず、なぜ、わざわざ現金化し難いものばかりを選んで、差し押さえたのでしょうか。

 ここからは、憶測になります。

 韓国は、本当は、双方が「折れない」という解を目指していたのではなく、内心では、日本と韓国が互いに「折れる」ことを望んでいたのではないでしょうか。
 これを裏づけるように、韓国側は、再三再四、話し合いによる解決を日本に呼び掛けています。

 過去においては、日本が事なかれ主義で、お金で済むならばと、話し合いに応じて簡単にお金を払ってしまったことも、背景にあるのでしょう。
 他にも、事前にしっかりと資料を揃えていたにもかかわらず、「韓国への愛はないニカ?」と言われ、譲ってしまったこともありました。
 そうした成功体験が、「日本は話し合いに応じて、賠償金を支払うはずだ」と、韓国に信じさせてしまった面があることは間違いないでしょう。

 それでも、なお、韓国が強支配戦略を最初から放棄したかのように、話し合いによる解決、すなわち、日本も韓国も「折れる」戦略に導こうとしていることには、違和感を感じずにいられません。特に今回は、文大統領が自ら大法院長を任命し、必勝体制を整えて、審理を再開したのですから。

 本当の理由は、韓国にしかわかりません。
 しかし、利得が一見少ない話し合いによる解決を選びたい理由が、韓国にはあるのでしょう。逆に考えれば、100% の勝ちにはしたくない理由が。
 こう考えたとき、韓国の思惑が見えてくる気がするのです。
 「100% 勝ってしまっては、問題を蒸し返すのが難しい。それよりも、目先は 50% の勝ちに押さえておき、「まだ完全に解決した訳ではない」と、お代わりを何度も要求する方が美味しい」と。
 考え過ぎでしょうか。
 もちろん、ここで述べたことは推測であり、可能性の一つに過ぎません。
 他の可能性については、後にもう一度考えたいと思います。


*** コーヒー・ブレイク ***
 本稿は、かなり長いので、ちょっとコーヒー・ブレイクを入れましょう。

 冒頭で紹介したラムザイヤー教授の論文は、韓国と在外韓国人の間で非難の的になっており、査読も通った論文を撤回せよと要求したり、ラムザイヤー教授個人への罵倒・人格攻撃が行われるなど、感情的な反応が続いているようです。
 封殺を目指すのではなく、論文には論文で反論するのが、世界の常識です。
 常識的な声は、「反日種族主義」の著者である李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学教授など、韓国内からも出ているようです。
 ここでは「<W解説>ハーバード教授の「慰安婦=売春婦」論文、韓国タブー「貢女論」で韓国大学の教授2人が異例の擁護 (WoW! Korea 2021/02/22 13:14)」にて報じられた、韓国に在住する外国国籍教授の話を取り上げておきましょう。
「2人の教授は自分たちを「韓国に基盤を置いている学者たち」と紹介し、ラムザイヤー教授の論文について、「非難ではなく、議論を促す」と話を切り出した。」
と記されています。学者らしい、立派な姿勢です。

 また、同記事には、
「教授らはまた「韓国政府は高麗(918〜1392年)王朝と朝鮮(1392〜1910年)王朝の時、当時の韓国は数万人の「かわいい女」(貢女)を中国に送った」とし<中略>
韓国歴史のタブーである「貢女論」まで言及したことで」
ともあり、韓国が触れて欲しくない「貢女」にまで、話が及んでいるようです。

 「貢女」については、例えば、朝鮮日報日本語版の以下の記事などにも記されています。感心がある方は御覧ください。
高麗・朝鮮王朝時代の「貢女」の実態とは(上) (朝鮮日報日本語版 2011/04/24 11:57:57)
高麗・朝鮮王朝時代の「貢女」の実態とは(下) (朝鮮日報日本語版 2011/04/24 11:58:01)

 他にも、「終韓論」 (黄文雄 著, KKベストセラーズ 発行, 2014年11月25日, ISBN 978-4-584-13602-7) 第92ページには、
「半島の歴代王朝が宗主国に送った「貢女」以外にも、性奴隷を外交手段として利用していた。大韓民国になってからも、それは変わっていない。<中略>
アメリカの連邦議会や地方議会で盛んに「反日」を主張する政治家がいるが、たいてい韓国政府から提供された韓国人の愛人を抱え込んでいる。」
という記述もあります。
 戦時下における売春婦を性奴隷と呼んで、日本を貶めようとするのは、韓国と韓国人の自己投影なのかもしれません。だからこそ、ラムザイヤー教授の論文が学術誌に掲載されることを、心底恐れるのかもしれませんね。


3. 戦略を操作する
 日常生活で、決してよいことではありませんが、本人の意思に反する行動を取らせるために、「何々しろ」と要求し、「さもなければ、XXするぞ」と言って強制しようとすることを、脅しと言います。
 要求を明言することなく、暗黙の要求がされることもあります。この場合には、単に「XXするぞ」と言うだけで、脅しなります。
 ゲーム理論にも、脅しはあるのでしょうか。

3.1 脅しと空脅し
 ゲーム理論にも、「XXするぞ」と通告することにより、相手プレイヤーに、こちらが望む戦略を取るよう仕向ける概念が、取り入れられています。

 いわゆる脅しが効果を持つためには、「XXするぞ」が、本当に実行できると、相手に信じさせる必要があります。
 実際にはできないことを、言ってはならないわけではありません。しかし、できないと見透かされれば、相手にされず、自らの信用を失うだけで終ってしまいます。
 いわゆる、こけ脅しと呼ばれるものですね。

 ゲーム理論では、本当に実行できる場合だけを脅しと呼び、こけ脅しの方は空脅しと呼んで、区別しています。

 脅しも空脅しも、相手プレイヤーに情報を伝えることにより、両プレイヤーの利得表、もしくは、相手プレイヤーが想定する利得表を、書き換える試みと解釈することもできます。

3.2 差し押さえが脅しや空脅しの可能性は低い
 脅しと関連して、「なぜ韓国は現金化し難い資産を差し押さえたのか」について、再度考えてみたいと思います。

 【表2−A】と【表2−B】に示したゲームの解は、日本も韓国も「折れない」戦略を取り、その際の利得は、日本が -100、韓国が +100 というものでした。

 ただし、この解は、「日本も韓国も折れない場合には、韓国は国際法も条約も無視して国内判決を優先し、強制執行する」ことが前提でした。
 この前提に含まれる「強制執行する」が、脅しまたは空脅しであった可能性はないでしょうか。
 順に、検討してみましょう。

 最初に、脅しであった場合、わざわざ現金化し難いものを差し押さえるでしょうか。
 本気で強制執行するつもりなら、現金化し易いものを差し押さえたはずです。
 しかし、そうはしませんでした。
 脅しの可能性は低いでしょう。

 次に、空脅しはどうでしょう。
 空脅しが効果を生むためには、相手プレイヤーに、空脅しだとバレるようなことをしてはいけません。
 そのためには、やはり、現金化し易いものを差し押さえたはずです(いつ現金化するかは別として)。
 しかし、そうはしませんでした。
 空脅しの可能性も低いでしょう。

 このように考えるとき、差し押さえは、韓国の戦略に組み込まれた脅しでも空脅しでもなかった。そう判断せざるを得ないのです。

 すなわち、韓国は、日本が話し合いで解決することを前提として裁判を進めた。しかし、日本が話し合いに応じないため、判決が下されるという予想外の事態に至ってしまった。今更引き返せず、原告が求める通り、何かを差し押さえざるを得ない。けれども、日本が強い姿勢に出ているので、強制執行するのは恐く、腰がひけてしまった。仕方なく、わざわざ現金化が難しいものを差し押さえて、その場を取り繕った。
 そう勘繰りたくなるのです。

 さらに言えば、文政権の間は現金化を避け、問題を先送りして、責任を次の政権に押し付けようとしているのではないかと。

 遡って考えるなら、提訴そのものも、大法院長の交代も、日本を話し合いの場に引きずり出すための空脅しだった。

 そう見るのが、著者には、最もしっくりくるのです。

3.3 利得表を変えた日本の制裁予告
 いよいよ、お待ちかね、ゲームを引っくり返す手段の話です。

 韓国が日本企業の資産を差し押さえると、日本政府は、すかさず、「日本企業の資産を現金化すれば、制裁する」と通告しました。
 その際に上げられた制裁の例は。実行すると決めさえすれば、実行できるものばかりでした。
 ゲーム理論で言う脅しです。

 制裁が発動されれば、韓国経済は破綻してしまいます。
 韓国は、政治判断で判決を引っくり返してでも、発動条件が満たされないようにしなければなりません。

3.3.1 制裁予告後の利得表
 日本の制裁予告により、ゲームの利得表が変わったと解釈することもできます。
 制裁予告により、日本と韓国がどちらも折れない場合の利得が変わり、利得表は、【表3−A】と【表3−B】のように変化しました。

        【表3−A】 日本の利得表(日本が制裁する場合)  
              |      韓国の戦略     |
              |  折れる  |  折れない  |
 | 日本の | 折れる  |    -50  |    -100   |
 | 戦略  | 折れない |     0  | -10〜+500 

        【表3−B】 韓国の利得表(日本が制裁する場合)  
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |  折れない  |
 | 日本の | 折れる  |     +50  |    +100  
 | 戦略  | 折れない |      0   |   -1000   |
 (【出所】著者作成)

 【表3−A】で、日本も韓国も折れない場合の日本の利得を、-10〜+500 と幅を持たせているのには、理由があります。
 韓国経済が破綻すれば、一部の日本企業は悪影響を受けざるを得ないでしょう。しかし、それは、訴訟の裏に韓国国民全員が新たな原告として控えていることまで考慮すれば、微々たるものです。そう考えて、利得の最悪値を、仮に -10 としました。
 一方、日韓関係が断絶に至って、理不尽な因縁をつけられることが今後なくなり、非韓三原則を達成できるなら、その利益は計り知れないと考えることもできます。その利益は、目先の経済損失よりも遥かに大きいかもしれません。そう考えた時の利得の最大値を、仮に +500 としました。この値が大き過ぎるか小さ過ぎるかは、判断が分かれるところでしょう。
 いずれにせよ、このときの日本の利得が、-100 よりはプラス側に変化したことだけは間違いありません。

 日本が「折れない」という戦略は、弱支配戦略から強支配戦略に変化しました。

 制裁予告が、日韓間のゲームという観点を離れて、世界に対して発っせられた面は当然あると思います。
 何の予告もなく、突然制裁すれば、「日本が弱い者いじめするニダ」と韓国が被害者面して喚き散らし、日本が悪者にされてしまう恐れがあります。
 予め、状況を世界中に発信することにより、制裁を発動しても、正当な行為だと理解してもらえるでしょう。

 韓国の状況は深刻です。
 日本も韓国も「折れない」という戦略を取り続ければ、経済が破綻してしまいます。
 このときの韓国の利得を、仮に -1000 としたのが、上の【表3−B】です。

 【表3−B】において、韓国には支配戦略がないことにお気づきでしょうか。
 韓国が取れる最善の戦略は、日本の戦略に応じて変わってきます。
 日本が「折れる」なら、韓国は「折れない」。一方、日本が「折れない」なら、韓国は「折れる」。
 それが、韓国が取り得る最善の戦略になります (背景を    で塗った部分)。

 しかし、日本には強支配戦略が存在し、それは「折れない」です。
 双方が最善の戦略を取るならば、合致する戦略は、日本は「折れない」で韓国は「折れる」しかありません。
 国益だけを冷静に考えれば、韓国側が折れることで解決すべきです。

 それでも、双方の利得は 0 なのですが。

3.3.2 これは空脅しではない 韓国を怯えさせた輸出管理適正化措置
 韓国が折れないまま、時間だけが過ぎるなか、韓国を怯えさせる事件が発生しました。
 日本が韓国を「り地域」と指定して旧ホワイト国からはずし、グループBに格下げした、輸出管理適正化措置です。

 輸出管理適正化措置は、韓国に輸出されたフッ化水素が多量に行方不明になっていたことで、日本が輸出管理上の責任として行ったものです。
 フッ化水素は、半導体製造工程で使われるだけでなく、核兵器に用いられる高純度ウランの生産や、サリン・VXガスといった毒ガスの原料としても使用可能な、危険な化学物質です。
 用途を確認できた企業にしか輸出しないことは、世界に対する日本の責任です。

 しかし、フッ化水素も、共に輸出管理が強化された他の2品目も、韓国経済を支える半導体産業にとって、なくてはならないものです。これらが途絶えるだけで、韓国経済は危機に直面します。
 下手をすれば、李氏朝鮮時代の世界最貧国に戻ってしまいかねません。「大韓民国」が「大貧民国」に、「り地域」が「李地域」になってしまいます。

 韓国は、日本の制裁が空脅しではなく、本気で発動する気だと、さぞかし怯えたことでしょう。

3.4 利得表の上書きを狙った韓国
 日本の制裁予告に対して、韓国は、利得表を更に上書きしようと試みました。
 経緯を振り返っておきましょう。

3.4.1 制裁なんか吹き飛ばせ
 日本の制裁予告に韓国は反発し、国を挙げて No Japan 運動を繰り広げました。

 また、輸出管理適正化措置には、強い反発を示しました。
 当時、「ホワイト国除外で日本批判 「経済報復に相応の措置」=文大統領 (聯合ニュース日本語版 2019.08.02 15:57)」は、以下のように報じています。
「文大統領は「日本の措置で韓国経済は厳しい状況に困難が加わったが、二度と日本に負けない。<中略>
「素材・部品産業の競争力を引き上げ、技術覇権に振り回されず製造業強国としての地位を高める契機とみなしたい」と述べた。」

 その後、程なくして、高純度フッ化水素の国産化に成功したというニュースが、韓国で毎週のように報じられたりもしました。

 他には、GSOMIA 破棄宣言なんてのも、ありました。

 「制裁しても、損をするのは日本だぞ」というわけです。

3.4.2 韓国が想定した利得表
 韓国が想定した新たな利得表は、日本も韓国も折れない場合の利得が、日本は -200 に減り、韓国は +200 に増えた、【表4−A】と【表4−B】のようなものだったのでしょう。

        【表4−A】 日本の利得表(韓国が妄想する設定)  
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |  折れない  |
 | 日本の | 折れる  |    -50  |   -100  
 | 戦略  | 折れない |     0  |   -200  |

        【表4−B】 韓国の利得表(韓国が妄想する設定)  
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |  折れない 
 | 日本の | 折れる  |     +50  |    +100  
 | 戦略  | 折れない |      0   |    +200  
 (【出所】著者作成)

 これが成立すれば、日本には支配戦略がなくなりますが、韓国には強支配戦略が存在します。
 ゲームの解は、戦略は日本が「折れる」で韓国は「折れない」、利得は日本が -100 で韓国は +100 となります。
 これが、韓国が想定した解でした。

3.4.3 これは空脅しだ 自ら後頭部を強打した韓国
 しかし、残念ながら、韓国の想定は、妄想に過ぎませんでした。
 日本には、空脅しだとわかっていたからです。

 元々、日本経済に占める韓国の比率は、大したものではありません。

 韓国人が大好きな不買運動も、対象は、一部飲料や衣料品に限られ、医療器機やカメラ、ゲーム器等は代替品がないから今まで通り日本製を買うという、選択的不買に終わりました。
 (この選択的不買とやら、好みに合った商品を選ぶ普通の買い物と何が違うのか、著者には全くわかりません。例えば、日本人がサムスン製スマホを避けるのは、不買をしているのではなく、航空機搭乗時に持ち込みを禁止されるような、発火の恐れがあるものは、選択肢に入らないだけだと思うのです。)

 そして、飲料や衣料品の不買は、韓国内での店舗の閉鎖と、韓国人の失業につながってしまいました。

 韓国人観光客が減ったことで、日本の一部の旅行業関係者に影響があったのは事実でしょう。
 しかし、京都など、過剰な観光客に悩まされていた有名観光地からは、むしろ、韓国人がいなくなったことを喜ぶ声さえ聞こえてきました。

 No Japan 運動は、失敗に終わったのです。

 韓国が、素材などの国産化により、製造業強国としての地位を強化する試みも、残念な結果に終わりました。

 例えば、韓国が製造できる”高純度”フッ化水素は、せいぜい 5N です。
 一方、日本の超高純度フッ化水素は 12N です。
 (手前味噌になりますが、フッ化水素の純度については、私自身の説明文が、「韓国が「輸出規制」と騒ぐこと自体、日本の脱韓を促進 (新宿会計士の政治経済評 2020/06/24 12:30)」のなかで引用されています。
 再掲すると、次のようになります。
 「5Nだと、不純物の割合は、100000分の1(0 が5個並ぶ)。12Nだと、不純物の割合は1000000000000分の1(0が12個並ぶ)。つまりNが1つ増えると不純物の割合が10分の1に減る。Nが1つ減ると不純物が10倍になる。5Nは12Nと比べて不純物が1千万倍も多いということ。」)

 不純物が多い、韓国製フッ化水素を使ったことにより、「韓国部品でiPhone不良発生、やっぱりフッ化水素の国産化は困難? (ニュースイッチ 2019年12月17日)」と報じられたこともありました。
 なお、元記事は、ハングルで書かれた「daily.hankooki (2019.11.08 11:47)」だと思われます。。

 韓国では、「嘘も百回言えば真実になる」そうですが、嘘の回数が足りなかったのでしょうか。
 いいえ、百回言おうと千回言おうと、嘘は嘘。
 技術の蓄積が重要な世界で嘘が通用しないことを、日本人はよく知っています。
 
 韓国が何度も何度も国産化に成功し、精神勝利を繰り返しても、日本人は「おまエラのやってる事は、全部お見通しだ!」と、冷めた目で見ていました。
 韓国政府が繰り返し、「(旧)ホワイト国に戻せ!」と喚き続けたことも、傍証になりました。

 GSOMIA については、これがないと困るのは、日本ではなく米国です。
 米国から、きつ〜いお叱りを受け、韓国がへたれることは予想できました。
 ギリギリまで粘った挙げ句、苦しい言訳をしながら韓国が破棄を撤回したときには、正直言って、ガッカリしましたけどね。内心では、本当に破棄することを、期待していたのかもしれません。
 念のために確認しておくと、GSOMIA は、「軍事情報を共有する」協定ではありません。
 その前提として、「軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐ」 協定です。
 破棄をちらつかせるのは、軍事情報を第三国へ流すと言うのに等しい行為です。
 その時点で、韓国には機密情報を教えてはいけないと、世界中が認識したでしょう。

 韓国がやっていることは、全て空脅しだと、見透かされていたのです。

 それどころか、韓国自身へのブーメランとなって突き刺さりました。
 いや、ここは韓国風に、「勝手にすっ転んで、後頭部を強打した」と表現しておきましょう。


4. プレイヤーが変われば利得も変わる
 価値観は、人によって違うものです。
 ゲームにおいても、プレイヤーが変われば利得も変わります。
 特に、韓国の場合、国益と大統領とで、利得が大きく異なることが多いようです。

4.1 制裁予告後の文大統領の利得表
 【表3−B】は、厳密に言えば、韓国の国益を表わすものでした。
 そして、解となる戦略は、日本は折れず、韓国だけが折れるというものでした。
 では、文大統領の利得表は、どうなるでしょうか。

 韓国だけが折れるのでは、日本に負けたことになります。
 「二度と日本に負けない」と豪語し、反日を煽ることで支持を得てきた文大統領にとって、致命的な痛手になります。

 韓国の大統領を、退任後に待ち受けるのは、悲惨な末路です。
 歴代大統領のほとんどは、投獄されるか、自殺しています。
 日本に負ければ、文大統領は、任期を全うすることなく弾劾され、同じ末路をたどるでしょう。
 傍から見れば、「霊的に生まれ変わるためには、それもいいんじゃない」と言いたくなりますが、本人は、絶対に受け入れないでしょう。

 このような事情を勘案すると、日本が折れず韓国が折れる場合、文大統領の利得はマイナスで、その絶対値は桁違いに大きいことになります。
 このときの利得を、仮に -10000 として表わしたのが【表5−B】です。
 日本の利得表は【表3−A】のままですが、利便性を考えて、【表5−A】として再掲します。

       【表5−A】 日本の利得表(日本が制裁する場合):【表3−A】を再掲)
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |  折れない  |
 | 日本の | 折れる  |    -50  |    -100   |
 | 戦略  | 折れない |     0  | -10〜+500 

        【表5−B】 文大統領の利得表(日本が制裁する場合
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |  折れない 
 | 日本の | 折れる  |     +50  |    +100  
 | 戦略  | 折れない |   -10000 |   -1000  
 (【出所】著者作成)

 日本・韓国共に、強支配戦略が存在します。
 解は、戦略は日本も韓国も「折れない」であり、利得は日本が -10〜+500で韓国は -1000 となります。

 この解を文大統領が受け入れ、差し押さえた資産を現金化すれば、日本による制裁の発動条件が満たされます。制裁が発動してゲーム終了です。

 が、残念なことに、韓国が差し押さえているのは、現金化が難しいものばかりです。
 文大統領も、利得がマイナスになる結果は望まないでしょう。
 このままでは、韓国側が動かず、膠着状態が続いてしまいます。

 日本としては、こんなゲームは、さっさと終わらせたいのですが・・・


5. ゲームを終わらせるには
 最近の韓国の動きには、明らかに焦りが見えます。日本にすり寄ってみたり、強気に出てみたり。
 それでも日本が突っぱねるので、手をこまねいています。
 日本としては、韓国の相手をするなんて、無駄な時間を、これ以上費やしたくはありません。
 そろそろ膠着状態から抜け出し、こんな不毛なゲームを、終わらせる方法はないでしょうか?

 著者はあると思うのです。
 それは、「日本の制裁は空脅しだ」と、文大統領に思ってもらうことです。

 この場合、利得表は【表6−A】と【表6−B】のようになります。

       【表6−A】 日本の利得表(日本が制裁しない場合:【表2−A】を再掲)
              |      韓国の戦略     |
              |  折れる  |  折れない  |
 | 日本の | 折れる  |    -50  |   -100  |
 | 戦略  | 折れない |     0  |   -100  

        【表6−B】 文大統領の利得表(日本が制裁しない場合)
              |      韓国の戦略     |
              |   折れる |  折れない 
 | 日本の | 折れる  |     +50  |    +100  
 | 戦略  | 折れない |   -10000 |    +100  
 (【出所】著者作成)

 解は、戦略は日本・韓国共に「折れない」のままですが、利得は日本が -100 で韓国は +100 となります。
 文大統領にとって、理想的な解ではありませんか。

 幸い、韓国人には、自分に都合のよいことだけを聞き、都合のよいことだけを見て、勝手に妄想をふくらませるという特性があります。
 これを利用して、「実際には日本は制裁などできない」と吹き込めば、人気がない任期が残り少ない文大統領も、「二度と日本に負けない」と豪語した頃の自信を取り戻して、日本企業の差し押さえ資産や、日本大使館跡地の現金化に、踏み切ってくれるのではないでしょうか。
 文大統領さえ決断すれば、差し押さえ資産の評価など面倒な処理をすっ飛ばして、韓国の年金基金に現金化させることも可能でしょう。
 文大統領の決断だけが、鍵となります。

 例えば、日韓議連の日本側メンバーを通して、
「日本も選挙を控えたこの時期に、制裁なんて本当はできないんだよ。武漢肺炎で実体経済はボロボロだし、東京オリンピックの開催も危うい。この状況で韓国と制裁合戦になれば、日本経済が持たない。総選挙で野党に政権を奪われかねない。今回ばかりは、韓国側が折れてくれないか」
と持ちかければ、文大統領は制裁はないと信じ、ホルホルして、資産売却を命じるのではないでしょうか。

 何の役にも立たないかに見える日韓議連にも、使い道は残っているのです。
 「馬鹿とハサミは使いよう」、「敵を欺くにはまず味方から」と言うではありませんか。
 あっ、日韓議連は、日本の敵でしたね。
 なら一層、上手に利用して、早くゲームを終わらせて欲しいものです。

 日本は既に、安全保障・経済共に「自由で開かれたインド太平洋」へと歩みを進めており、韓国がなくても日本経済はまったく心配ないか、影響があるとしても微々たるものにすぎないのですから。

===
 次稿「ゲーム理論で考える協調関係の構築」では、韓国によるイラン原油代金踏み倒し事件を例題にして、協調関係について考えます。





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Last updated  2021.04.19 07:02:11
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