「胸中の山水」というタイトルもなかなかいい。
十数年前に日本新党を立ち上げ、独特のプレゼンテーションと突然の政界引退で一時話題を集めた細川護煕氏。 その後、湯河原に「不東庵」と名付けて住みつき晴耕雨読の生活を始めた。そこでの作陶活動は時々報じられていたが、書や油絵の制作は知らなかった。 氏の本格的な展覧会が開かれているという情報を、この方のブログから得て、訪ねてみた。 場所は虎ノ門4丁目で、アメリカ大使館やホテルオオクラのそばにある菊池寛実記念・智美術館。こんな所に美術館があることも初めて知った。 陶淵明、王維、張継などから自選の漢詩を書にして、その情景を油絵で表すというユニークな試み。併せて、茶陶や五輪塔、陶仏などの代表作も陳列されている。 作品には氏の人柄が滲み出ていて、解説には氏の心情が書かれていて味わい深い展覧会。 それにしても「胸中の山水」というタイトル、なかなかいい。氏の人生観そのものであると感じた。