怪人Yの館

2006/09/07(木)11:41

分からない。止まらない。直せない。・・・それでも、尚

 レールを、歩く。  安定した道を、歩く。  長い間、レールを歩いてふと気づく。  「あれ?ぼくの道ってこのレールだけ?」  首を廻し見れば、無数の獣道。  舗装されていない、とてつもない数の道。  あぁ。  気がついてしまった。  レールから目を離さなければ見えなかった道に、気がついてしまった。    後悔。  そして・・・それと同時に抱いた、外への羨望。      ―――飛び出る。  不確かなまま、・・・後悔すると知りつつも、絶対に後悔すると知っていながらも、飛び出る。  不安定な足場。    獣道を、歩く。  不安定な道を、歩く。  後悔しながら、歩く。    舗装した道を飛び出ていながら、舗装した道に郷愁の念を抱く。  「あぁ、やっぱり・・・。」  予想通りの後悔を以って、懐かしき舗装道を脇見見る。  至る所に雑草が生え、レールにヒビが入り、所々錆付いた道を見る。  ・・・涙した。  ながく、ながく、ながく、嗚咽しながら泣き続ける。  ああ、ならばこそ。  「せめて、この獣道を歩き終わらねば。」  壊れたレールを見て、後悔しながらも突き進む。  ―――「それでも、進むと決めたから」  距離が分からないまま走る。早く終わるようにと祈りながら走る。走る。走る。走る。走って、そのまま居なくなればいいと心の底から思った。

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