かかづのばかもやすみやすみ

2011/09/05(月)23:42

オタクを仕事にするなら

明日のための一年戦争(69)

 二次元商売とか活字商売とか、つまるところサブカルを商売に考えている人に、ぜひお勧めしておきたいことがあります。  アルバイトでいいから普通の社会人経験を積もう。  芸術家肌の人間は、奇人や変人と同義と取られる場合が多いです。それは物作りに対して採算度外視な部分が多く、ゴッホのような非業の死を遂げる場合もしばしば。映画賞ではタイトルホルダーである、映画『ベン・ハー』の監督ウィリアム・ワイラー氏も、完璧な映画作りにこだわる反面、自身が興した映画会社はあっさり倒産しています。こと『完璧さ』のために時間と予算をじゃぶじゃぶ消費するため、興行側が資金的に耐えられないわけです。  最近なら、『トランスフォーマー』のメガホンを取っているマイケル・ベイ監督が対照的でしょうか。この人のオーディオコメンタリーでは、必ずと言っていいほど「期日内に予算内で仕上げた」という言葉が入ります。今、ハリウッドで要求されているのはそういうことです。  この話をミニマムにしましょう。コンビニの店員に置き換えれば、『遅刻せずにシフトを守る』ということを呼吸するように行って、映画を見せる代わりに『気持ちよくお買い物してもらう』わけです。  んで、この程度が出来ない人が多い。すごく多い。  専門学校の講師は、授業内容について「せめてアルバイトが出来るようにしてほしい」という話を講師にするそうです。その程度の話は『躾け』の問題ではないかと思うのですが、まあ今現在教育も家庭もどうかしているようですし、卒業後はほぼ間違い無く全員『社会人』になる専門学校では、進学率とかそういう『数字』が重要になるので、せめて社会人として最低限の常識を身につけてもらう必要があります。  でも、オタクの多くは『現実(リアル)なんてクソゲーだ』と思っていて、社会を軽視することおびただしい。後で膨大なツケを払うことになるのですが、生涯親のスネをかじれるのでもなければ、いつか現実世界に足を踏み入れることになります。というか、例えばマンガでも小説でも『作家』という仕事についたら、税金の話はもう四六時中付きまとうことになります。ついでに言うと現実世界の『人気』というものもまとわりつきますし、そこで編集さんや読者とコミュニケーション取れないと仕事として破綻します。  『オタクを相手にする商売』というのは、めっぽう難しいです。なにせ趣味思考の世界の話で、なおかつ同じ作品やキャラクターを違う趣味思考で共有するため、感情的な対立が激しいです。これは、例えば同じ社内でまったく違う派閥の上司が同席に居るのと同じ。上司でも部下でも、使う方や使われる方からすると大変です。  ならせめて、アルバイト程度はこなせる社会性は持って欲しい。というかその程度出来ないと、下積みすら出来ません。圧倒的な天才的才能が無ければ。  オタク商売はわりと非常識と隣り合わせなのですが、非常識を知るには常識を知らないと出来ません。ことラノベは最近SFやファンタジーですらない非常識がまかり通っていますが、長く続けられるのは『商材』として適切に扱えるかどうかという部分がけっこうあります。  あとTwitterでやらかす人はディープな業界人ではあっても、常識人や商売人として成立しているかというと滅法疑問。非常識人であっても成立する場合はありますが(TIGER&BUNNYのスカイハイみたいに、周囲から「天然」と認知されているとか)、基本的にレアケースなのでそこに気遣わないのは間違い。  一般社会として、定型の仕事を定型通り出来るカタギと違い、一切マニュアルのない仕事をするなら、カタギの世界とオタクの世界、両方知らないと結構どうしようも無いわけです。  現実はなかなか自由になりませんが、結局どこまで行っても現実を相手にしないとならんので、両方の世界を積極的に両立させましょう。でないと結局生涯の仕事には出来ないので。  『社会に通じるかどうか』というのは、作品の前の話だと、個人的には思います。

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