かかづのばかもやすみやすみ

　100%の確度のある情報ではない事を前提にお読み下さい。


Photo by 毎日デジタル

　本日、『黒バス脅迫事件』の初公判が行われました。遠くロシア領に近い海の向こうからは傍聴など不可能に近いのですが、黒バス事件の傍聴人のTwitterを、まとめたサイトがありました。

■『黒子のバスケ事件』初公判！　喪服「こんなクソみたいな人生やってられないから、とっとと死なせろ‼」

　アフィ目的のサイトで２ちゃんねるから出禁食らったトコなので、閲覧は自己責任で。掲載されているツイートは別物と考えます。楽天はこういうリンクの貼り方出来ないんですよね。自分が知らないだけかもしれないけど。

　傍聴人のツイートを追ってゆくと、私は自分の過去をどうしても思い出します。
　学校でいじめを受け、親の助けを得られず、いじめを告発したら担任と学年主任に進路指導室に呼ばれ、「わが校にいじめなど無い」と、いじめを受けた私に言い含める卑劣さ。
　仕事に忙しくて現状把握をせず、手酷い暴力を受けて家に逃げ帰った私を、「学校の規律、引いて社会の規律を乱した事は許せん！」とばかりに平手打ちして学校に戻らせた親。

　私がいじめを受けていた時は、本当にガキの時分なのに、社会全てが敵でした。家の中でさえ例外ではありません。あまりにひどいいじめを受け死を覚悟したことも、学校に行くのが怖くて自殺を決意したこともあります。他人と比較するのはナンセンスですが、当時の私は『私の中で世界一悲惨な少年A』でした。

　が。

　自分は創作の快楽を知っていました。小学校一年生の時、流行っていた『宇宙戦艦ヤマト』の絵を書いて、どういうわけかクラスで唯一の花丸をもらい、その絵が学年掲示板に掲示されました。私がプロのオタクへとハマる本当に最初のきっかけは、この時の記憶（快楽）に由来していると思います。

　だから、いじめを受け世の中全部が恐怖に満ちていても、私は全力で逃避しました。妄想とか創造とか真っ白なノートの中に。もし私の逃避力を100m走に転換できたなら、全盛期のカール・ルイスなんか鼻歌歌いながらぶっちぎれたと思います。まあ、授業中も必死になって絵を書いていた、教師にとって困った学生だったことは認めます。

　それでもどういうわけか成績よくて、理数系で何度か100点取ってたんですけどね。ただ勉強そのものはしていなかったので、「ここ教えて～！」系の話はまったくだめでした。

　で。

　成長し社会に出てオタク産業の一員となり、時に会社員として、時にフリーの胡散臭いゲーム屋として、膨大な敗北と極々少数の勝利を積み重ねながら、現在に至ります。年月や健康を始め失ったものは膨大ですが、本気を出さなかった事は少ないです。本気の出し方について間違っていた事も多々ありますが、道や方向や角度を間違っていても、たいていは全力疾走していたと思います。こと、問題が発生したコンテンツなどで『火消し』的な作業に従事していた時は、脳からなんか変な汁出しながら作業していた思います。

　そして、今までの自分の軌跡を思い返すと、もし自分がいじめ加害者への復讐に全精力をつぎ込むような方向へ舵を切っていたら、悲惨などというレベルではなく、酸鼻を極める事態になっていた自信があります。
　目で見なければ分からない『悲惨』など生ぬるい、まず嗅覚で血を見るような事態。加害者、教師、私を見放した級友、親、自分。何もかも『破壊』しつくし誰にも彼にも不幸な結果しか訪れない、相手を人間や生物としてすら認識しない復讐を計画し、そして迷わず実行していたと思います。

　なぜなら、それが快楽に直結するからです。

　人間は、苦痛には慣れますけど快楽には慣れません。むしろどんどん貪欲になって悪化してゆくでしょう。悪いクスリのグレードがどんどんエスカレートするように、復讐に手を染め始めた自分はきっと一瞬足りとも立ち止まらず全力で復讐の快楽を貪ったはずです。
　では、復讐の対象を全て破壊すれば止まるのか？　答えはノー。初期の目的を達し、目的そのものを失った瞬間、間違いなく暴走するはずです。

「より快楽を！」

「より、より強い快楽を！」

　この先は、自分も想像出来ません。しかし、事態は自殺的な加速度で悪化することは想像に難くないところです。そのためにどれだけの被害が出るのか、想像できないとかではなく具体的に分かりません。

　そして、この『黒子のバスケ脅迫事件』の容疑者です。
　彼は全力で逃げることも叶わず、何かに全力を傾ける事も出来ず、我と我が身で成したことも無く、もしかしたら心の底から好きになった異性も無く、心の底から失恋した事も無いのかもしれません。

　たった一つ悔いの残らないほど行動したこと、あるいは悔いしか残らなかったこと。そんな事が本当にひとつでもあれば、何かが違っていたのではないかという気がします。『傍聴人のTwitter』という又聞き情報から断片的に拾った話でしかありませんが、私にとってこの渡辺容疑者という人間は、『分岐の非常に近い平行世界の自分そのもの』です。

　もし自分が世の中に対して絶望した時、自分は脅迫だけで終われたか？　と考えてしまいます。もちろん同情の余地はありませんし、オタ業界に対して非常に迷惑な行動を行った彼のことを、私は『大嫌いだ！』と断言できます。

　しかし、彼の中に自分の姿を見た事も事実で、誤解を恐れずに言うなら、私もやはり内面に怨讐を抱えた危険人物なのだと、改めて思います。

　事件の内容からすると、死刑は無いでしょう。悪質なのでちょっと長い懲役になると思いますが、まだ若いですし、やり直すことだって不可能じゃ無い。
　ただ、いつどこでという問題はありますが、死んだ気になって犯罪では無い何かに全力を投じる、という機会が彼に訪れることを、願ってやみません。彼が持つダークサイドは、私も持っています。そして、字面では褒められない『逃避』というものに私は全力を費やし、客観的には負け犬人生でもまだ人生と向き合い、時に全力の殴り合いを続けています。

　あえて、罪を償ってこいとは言いません。何か、悪いことや迷惑なこと以外に全力を見つけて欲しい。

　ほんのいくつかの又聞き情報を見ただけなのに、どういうわけか心の底からそう思います。






　かなり不穏当なこと書いているけど、この記事は直さない。