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カテゴリ:科学・文化・
国民栄誉賞作曲家の著作権が謎の指揮者に 橋幸夫が疑問の声
2011.08.29 07:00NEWSポストセブン まさに、寝耳に水の話だった――。 橋幸夫の『潮来笠』や橋と吉永小百合のデュエット曲『いつでも夢を』、フランク永井の『有楽町で逢いましょう』など、数々の名曲を生み出した作曲家・吉田正。1998年6月に77歳で亡くなるまで、実に2400もの楽曲を世に残し、同年7月には国民栄誉賞を受賞している。 没後は喜代子夫人が世田谷の自宅や著作権などを受け継いだが、その夫人が7月31日、心不全のため90歳で亡くなった。通夜には橋ら多くの“吉田門下生”がかけつけ、別れを惜しんだ。だが、そこで耳にした話に、橋は耳を疑った。 「吉田先生の著作権や自宅など、すべてを大沢可直氏が相続したらしい」――という、にわかには信じがたいものだったからだ。 大沢氏は吉田氏が亡くなった後に喜代子夫人と親しくなり、2001年に「吉田正記念オーケストラ」を設立。氏のHPによれば、1950年東京生まれで、1974年にオーストラリアに渡り、以来、世界各国で指揮者として活躍してきたという。 吉田夫妻には子どもがいなかったため、遺産を相続すべき親族はいない。そのため関係者の間では、財団を設立して著作権などを管理する形にしてはどうかといった話も出ていた。ところが、蓋を開けてみるとなぜか“赤の他人”である指揮者が実質的に全財産を相続するという、摩訶不思議な話になっていたのである。 夫人の葬儀では吉田門下生代表として弔辞を読んだ橋が、この“異常事態”について口を開いた――。 * * * 私がまず一番驚いたのは、奥様が亡くなった後、ご遺体をご自宅に運ぶことなく、病院から直接、青山葬儀所に運んでいたことです。普通なら長年暮らしてきたご自宅に戻して、せめて仮通夜をしてから葬儀所に移すはずでしょう。ところが私が関係者に問い合わせると、大沢氏から弁護士を通じて「それはダメだ」といわれたというんです。 ご自宅は奥様が吉田先生と一緒に何十年も住まわれて、一番帰りたいはずの場所。我々門下生にとっても、長年レッスンしてきた思い出がつまっている。先生の位牌の置かれた仏壇もある。そこに奥様を帰らせてあげないことは、奥様と先生を引き離してしまうことになる。 うがった見方をすれば、大沢氏はご遺体を自宅に帰してしまうと、仏となった奥様の寝ずの番をするのが大変だと考えたのかもしれない。しかし、それなら吉田門下生に声をかけてくれればいいじゃないですか。僕はいの一番に行きますよ。 しかも、葬儀の後も遺骨は自宅に戻れずに、ビクターエンタテインメントの本社内に置かれている。これでは仏様が浮かばれません。 生前はあれほど奥様の側につきっきりになっていたのに、その愛情はどこに行ってしまったのか。僕が一番いいたいのはそこなんです。 * * * 橋ら門下生にとって、大沢氏の振るまいが没義道、人の道にはずれる行為と映るのは当然のことだろう。 一方の大沢氏は、弁護士同伴で、遺言書を提示しながらこう語った。 「(ご遺体をご自宅に戻さなかったことについては)ご自宅で弔問を受け入れれば、不特定多数の方がいらっしゃいますから、お顔を知らない方がご自宅に入ってしまう可能性もあるわけです。その場合、誰が弔問を仕切るのかといった問題や、防犯上の問題なども生じますので、断腸の思いで決めたわけです。私が寝ずの番をすれば、というお話もあるようですが、そうするといかにも自分が権利を主張しているようで、差し出がましいとも考えました」 ――門下生は、説明がないことに疑念を感じている。 「私の不徳の致すところです。奥様が亡くなられた喪失感などもあり、お話をするチャンスを失ってしまった。何とか早く皆様にお会いしてご説明し、お詫びをしたいという気持ちです」 ※週刊ポスト2011年9月9日号 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.08.29 11:44:50
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