ラジオスターの悲劇☆Video Killed the Radio Star(2)
Video killed the radio starビデオがラジオの人気者を殺した。I heard you on the wireless back in Fifty TwoLying awake intent at tuning in on you.If I was young it didn't stop you coming through.Oh-a ohボクは1952年(プレスリーのデビュー年)、初めて人気者のラジオ番組を聴いたんだ。そのころは寝ても覚めても、ボクたちはラジオの話題で首ったけだったものさ。もしボクが若々しく魅力にあふれていたら、キミたちがボクを置き去りにするなんてことはなかったのにな。ああ、何てこった。They took the credit for your second symphony.Rewritten by machine and new technology,And now I understand the problems you can see.彼ら日本人は、キミたちアメリカ人の美しい文化を奪い取ってしまったんだ。VHSビデオ・マシーンと新しいテクノロジーで次から次に録画してしまうんだ。そして今、ボクたちラジオは君たちも先刻御承知の通り、時代おくれのポンコツ野郎なのさ、わかってるよ。Oh-a oh I met your childrenOh-a ohWhat did you tell them?ああ、何てこった。ボクはキミたちの子どもたちに出会ったよ。ああ、何てこったい。キミたちは次の世代の子どもたちに、何を伝えようとしているのかい。Video killed the radio star.Video killed the radio star.Pictures came and broke your heart.Oh-a-a-a ohビデオがラジオの人気者を殺したんだ。日本のVHSビデオが、アメリカのラジオ・メディアを破壊したんだよ。映像の洪水が襲ってきて、キミたちの想像力はメチャメチャになってしまった。何てこった。ああ。And now we meet in an abandoned studio.We hear the playback and it seems so long ago.And you remember the jingles used to go.そして今、ボクらは棄てられ荒れはてたラジオ・スタジオの中で出会ったのさ。ラジオ番組の全盛時代の記憶は、本当に遠く遠くのかなたに消え去ってしまったように思えて。そしてキミは思い出す。昔の流行歌の、あの楽しい旋律を。Oh-a ohYou were the first one.Oh-a ohYou were the last one.ああ。キミは最初の大切な人だったのに、ボクは棄てられた。ああ。キミは最後のかけがえのない人だったのに、ボクは見はなされた。Video killed the radio star.Video killed the radio star.みんなビデオに吸いつけられて、ラジオのディスク・ジョッキーは棄てられちまった。ビデオがラジオの人気者を殺したんだ。In my mind and in my car, we can't rewind we've gone to farOh-a-aho oh, Oh-a-aho ohVideo killed the radio star.Video killed the radio star.ボクの思い出の中にも、ボクの自慢の車の中にも、もはや引き返すことができない遠い遠いところに、ボクたちは行き着いてしまったんだ。ああ、何てこった。ああ、何てこったい。VHSビデオが、アメリカのラジオ・メディアを破壊したんだよ。ビデオがラジオの人気者を殺したんだ。In my mind and in my car, we can't rewind we've gone to far.Pictures came and broke your heart, put the blame on VTR.ボクの思い出の中に、ボクの自慢の車の中に、もはや引き返すことができない遠い遠いところに、ボクたちは行き着いてしまったのさ。映像文化の洪水が襲ってきて、キミたちの想像力はメチャメチャになった。VTRの呪術の中に無理やりに押し込められてしまったのさ。You are a radio star. You are a radio star.Video killed the radio star. Video killed the radio star.Video killed the radio star.キミはラジオの人気者、キミはラジオのスターなんだ。ビデオが、アメリカのラジオ・メディアを破壊したんだ。みんなビデオに吸いつけられ、ディスク・ジョッキーは棄てられた。ビデオがラジオの人気者を殺したんだ。You are a radio star. You are a radio star.Video killed the radio star. Video killed the radio star.Video killed the radio star.キミはラジオの人気者、キミはラジオのスターなんだ。ビデオが、アメリカのラジオ・メディアを破壊したんだ。みんなビデオに吸いつけられ、ディスク・ジョッキーは棄てられた。ビデオがラジオの人気者を殺したんだ。___________☆要するに、こういうことだ。ビデオ文化の侵略、ラジオ文化の危機、ラジオ局がつぶれて失業した人々の悔恨、そしてレクイエム・鎮魂歌なのだ。日本から輸出されたビデオ文化に圧倒され、カーター政権末期の不景気もあって、アメリカ各地のラジオ局がまっさきに倒れていったんだ。根こそぎといっていいほど、あちこちの田舎(グラス・ルーツ)で町のラジオ放送が止まった。アメリカ文化を代表するGMやフォードの自動車工場もどんどん閉鎖になった。本当に破産して自殺した元人気ディスク・ジョッキーもいたんだ。でも、ここには「日本」という言葉は一つも出てこない。当時はVideoといったら、家庭用ビデオは日本製(今は韓国製?)がほとんどだったから。ブルース・スプリングスティーンの『ボーン・イン・USA』は「黄色い野郎どもを叩き出せ★ビート・アップ・イエロー・メン」という歌詞がある。もちろん、これは慣用語で「弱気な心を叩きなおそう」という意味にもとれる。ハリウッドでは、インベーダー(侵略者)や、ビジター(宇宙人)を主役・悪役にするSFもたくさん製作された。こういう刺激的な歌詞やテーマが、アメリカ人の自信喪失を物語っていた。本当の意味がわかると、この歌を嫌いになる人もあるかもしれない。でもね、これはアメリカのことだけじゃないんだ。ホリエモン騒動があって、ニッポン放送はただマネー・ゲームの舞台としてひっかきまわされた。でも、ラジオは生きのびた。ダチ仲の小暮がオールナイト・ニッポンをやっているんだからなあ。そして閣下は今、アルプス越えの急行列車の中で、この歌を何度も聞いて、青春時代の思い出にひたっている。