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こんにちわ♪

こんにちわ♪

往診回想録

往診。


それは、患者さんたちがわざわざ診療所までやって来られないときに、獣医がこちらから診察しに行く事。


大動物のお医者さんは、今でも往診がスタンダードなスタイルだけど。
小動物のほうじゃ・
日本じゃ、最近めっきり往診をするところが少なくなりましたね。

まぁ、往診だと本当に最小限の荷物しかもっていけないので、実際できることは非常に限られているし。

だから、極力往診は避けるんだと思う。






以前診察で、とある農家を訪れた時。


その日は再診日だった上に、俺のバイクが故障してしまうという事態に陥り。



しかも歩いていくにはちょっと面倒くさいくらいの距離なので。



少し贅沢だがタクシーを使う事にした。


診療所からタクシーを拾い値段交渉もばっちり。


車の中で世間話で花を咲かしていた。



しかし突然、タクシーは動かなくなってしまった。


「おい!すぐ直るのか?」


時間に追われる俺は聞いてみた。


「ガソリンがないだけだ!」


タンザニアではガソリンを入れる金がないのと


盗まれる心配から少しずつ買う人が多い。


しかし、たった2km走っただけでなくなるとは・・


空き容器を抱えて走っていく彼の後姿を見ながら

どうしたものかと考える。


だって、ここら辺でガソリンを売っているところなんか見当たらないよ?


しかも、俺は診療に行かなきゃであせっているのだ。


でもこの町で、日本人の獣医である俺は完全に顔が割れている。


完璧にバレバレじゃんか。


日本人の名誉のために仕方なく待つことにする。



しかし、なかなか帰ってこない。



30分たった頃ようやく帰ってきた、



たった1リットルのガソリンを持って。


もうちょっと買おうよ。



それから急いで行ったら、診療所の仲間が先ほどバイクで来て治療しちゃったとの事。



なんじゃそりゃ?



いつもはそんなことすらしないくせに・・・


もう用事がなくなったので憮然として帰る。



帰りは大通りに出るとダラダラに乗れるので


それで引き返すことにする。


その支払いのため紙幣を出すと

数えてくれたはずなのにおつりが少ない。


「あと100シルは?」


憮然として聞くとコンダクターは



にやっとして100シル渡してくれた。



ばれちゃしょうがないとその顔が言っていた。












タンザニア獣医師時代。

それはほとんど往診だった。

もちろん、診療所に連れて来てもらっても良いんだけど。

診療所に来ても、たいした設備はないし、何よりみんな連れてこれる様な所に住んじゃいない場合が多い。

俺の家の近所だったら、俺が行けばいいだけのことだし。

お金持ちの人たちは、俺を迎えに来てくれたし。

ただ、時々とんでもないところから来る方々もいる。

例えば、マサイ。
やつら100km先から歩いてきやがる。

勘弁しておくれよ。


センゲレマへのバイク往診

道なき道を行く事が多いので、車ではいけない場合がけっこう多い。
そんなときはやはりバイクが便利なのだ♪




まぁ、マサイは別として。

意外と近場なのに、行くのにめっちゃ苦労したところがあるんだ。

それは、ビクトリア湖に浮かぶ小島への診療。

アラブ人のお金持ちが所有している小島があって。

そこでウシをたくさん飼っている。

そこに、時々診療に行かなくちゃならない。

そのアラブ人のおっちゃんは、ここらへんの有力者で、普段は結構忙しい。

だから、付き人を俺に貸してくれる。

アラブ人のおっちゃんは、とっても良い人なんだけど、おっかない。

診療所の連中はみんな結構怖がっていた。

アラブ人のおっちゃんは、日本人の俺には結構優しい。

それは俺が日本人であり、時間に厳しい部族と思われていたからだ。

だから彼の農場に診療に行くときは遅刻は許されない。

日本の皆さんは、アラブや中近東の方々は、結構時間におおらかだと思っているんじゃないでしょうか?

一般的には、そうなんだけど。

中には、日本人並みに、タイトな人もいるんだな、これが。

さて、そんな彼の農場に行くのは大変だ。

まず、ビクトリア湖といっても、結構沿岸部は複雑で。

その小島にわたるところに行くには、道なき道を行き。

そこから、今にも沈没しそうな小船に乗っていかなければならない。

せんげれま


写真は、そんな道なき道をクリアし、これからその小島に渡ろうとしているところ。

湖に浮かぶ島が目的地だ。

victriako

そして、小島へボートで移動の図
俺は船酔いにめっちゃ弱いのだ・・・。

牛の手術(臍ヘルニア)

目的地に着いたら、ちゃんとお仕事します(笑)
というか、これが本業なのだ!




俺の診療バッグを担いでくれているのは、アラブ人のおっちゃんの付き人の小僧。

俺は、いいよいいよ自分で持つからと言ったんだけど、おやじにどやされるからと進んで召使になってくれた。

写真で見るとさ。

めちゃくちゃ眺めがいいんだけどね。

これがめっちゃしんどいんですよ。

そんな往診の思い出でした。




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