比律賓の犬と猫フィリピンはミンダナオの山奥。じいちゃんのところに居候していたとき。 じいちゃんは、犬も飼っていた。 フィリピンじゃぁ、少し前まで犬をおかずにしちゃう習慣があった。 ところが、大統領が世間体と動物愛護団体からの圧力を気にして、法律で「犬を食べてはいけません。」と定めてしまった。 う~ん、なかなかそんなのみんな守んないよね。 食べたいもんは食べたいじゃないかっ。 っていうのが、フィリピン人の意見だ。 じいちゃんも犬を飼っていたけれど。 それは食用ではない。 れっきとした「仕事をする犬」であった。 どっちかってぇとペットだけどね。 フィリピンじゃぁ、かつて食用にしていたくらいだから。 正直、犬の扱いというのはお粗末だ。 しかも、熱帯降雨林気候だから、なにやらいろんな雑菌やダニやらが繁殖したい放題で。 皮膚病で、普通の犬はみすぼらしいばっかりなんだ。 ところが、じいちゃんの飼っていた犬は違った。 丸々と太っていて。 それはそれは、明日のおかずのためなの?と云わんばかりにぷくぷくと。 そして、決して皮膚病にも冒されず。 さらに、こいつは非常に忠犬だった。 週に一度くらいのペースで町に下りるんだけど。 その時、幹線道路まで、わざわざじいちゃんのトラックを追いかけてきて。 そしてじいちゃんが町から帰ってくるのをずっと待っていたんだ。 俺がじいちゃんのところへ行く時も、こいつはエンジン音を真っ先に聞きつけて、最初にお出迎えをしてくれた。 その犬の名は、プロト。 じいちゃんに名前の由来を聞いたら。 「PULOTO」って書かれたダンボールに入ってたから。 捨て犬だったらしい。 一人山にこもっているじいちゃんの唯一信頼おける相手だったんだ。 俺の任期が終わり、日本へ帰国して。 1年ぶりにじいちゃんの所へ行った時に、プロトの姿が見えなかった。 プロトは、ちょうど俺が来る2週間前くらいに、交通事故で死んだらしい。 そうあまりの忠実さが逆に仇となってしまったんだ。 じいちゃんが、町へインターネットをしに行ったとき。 プロトはいつものようにお見送りをしてくれたそうだ。 じいちゃんが夕方帰ってきたとき、幹線道路ですでに冷たくなっているプロトを見つけた。 俺は、結構プロトが好きだったから、俺のほうが正直ショックだった。 でもじいちゃんは、まあしょうがないさ。ってな感じであっさり流していた。 プロとはまだ若かった。寿命で死んだゴダイとはまたシチュエーションが異なる。 食用のゾブラともまたシチュエーションが異なる。 下は、そんなプロトの写真。 とりあえず、迷わず成仏してくれ。 そして、じいちゃんはプロトの他にも犬を飼っていた。 名前をジョージアという。 ジョージアはプロトとは違い、鎖でつながれていた。 ジョージアはメスなので、去勢手術を受けているプロト(♂)とは異なり、放しっぱなしだとどこかの不埒なイヌどもに妊娠させられかねない。 それもジョージアが鎖でつながれていた理由のひとつなんだけど、大きな理由は他にあった。 なぜならばジョージアはおばかさんだからだ(笑)。 うろちょろと歩いているバボイの子供たちを襲いまくる。 ニワトリやウサギを襲って食い殺す。 そんなイヌだった。 外見はけっこう可愛いんだけどね。 実はジョージアももはやこの世にはいない。 病気で死んじゃったそうだ。 ジョージアには、プロトほどの思いは俺にはないけれど。 やっぱり、他界しちゃうとなるとちょっと寂しい。 写真は、そんな生前の元気なジョージア。 めちゃくちゃうるさかったんだ、こいつ。 吠えまくって。山の中でご近所がいないところだからよかったけど、町だったら大変だったろうな。 まぁとにかく成仏してくれ。 フィリピンはミンダナオで。 俺は、このネコに出会った。 この日記を立ち上げた最初の頃からご紹介していたこのネコ。 名前をトムという。 彼は、じいちゃんのところにいたけれども。 じいちゃんが飼っているプロトや、ジョージア、ヘルニーニョ、ノリオやバレンティーナのように。 飼われているという意識がなく。 そして、飼っているっていう感じでもなかった。 なんとなくいたんだ。 別に存在感が薄いわけでも決してなく。 だからといってなにかの役に立っているわけでも、立とうとしているわけでもなかった。 なんとなく、いる。 俺には、これがすっごく良い感じだった。 トムの写真を見た方から。 『トム君は、地球ネコですね。地球を見せてくれたトム君。』 というコメントをもらった。 彼の写真を見てて、そう思ったそうだ。 当の本人は、別にそんなことは露知らず。 今でも、のんびり暮らしているみたいだ。 じいちゃん曰く:『そういえば、いるよ』 そういえば、いるよ。 こんな感じの存在感、とっても素敵だ。 |