インド洋に浮かぶ小島、モーリシャス諸島。
このモーリシャス島1507年ポルトガル船の船乗りによって発見された。
それから約500年後の現在のモーリシャス島は。『インド洋の貴婦人』の愛称でよばるほど高級リゾート地として有名だ。
夏のシーズンには長期休暇で遠くは北欧からバカンスに多くの人が訪れる。
実はそんな島にけっこう有名な、しかしながら現代人では誰も生体を見た事がない鳥が棲んでいたのだ。
それは
ドードー。
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ドードー
ドードーがいた1600年代もまた、モーリシャス島に多くの人が訪れた。ただしマリンスポーツやカジノをしにくるセレブな人たちでない。
長くつらい航海の途中に休憩に立ち寄った海の荒くれ者たちだ。
海の男たちなんて言っちゃえば聞こえはいいけれども。
アジアの各国を植民地にしちゃおうなんて、まぁぶっちゃけ強盗団だ。
ちょうどこの時期はスペイン・オランダ・イギリス・フランスが貿易と植民地を広げるためアジアを中心に世界中の海をかけまわっていたのだ。
ヨーロッパからアジアに行くのに一番近いルートが大航海時代にバスコ・ダ・ガマがみつけたインド航路で、アフリカ南端の喜望峰(きぼうほう)通る道だった。
モーリシャス島は海の男たちにとってはコンビニか温泉スパのような疲れを取り、間単に食料を調達できるとってもコンビニエンスな夢のアイランドだったのだろう。
せまい船で何日も長い海の旅をしてきた海の荒くれ者たちは、久しぶりの陸に喜んだ事だろう。
食料の補給と休息が目的によってた島だが、たぶん旅のストレスを発散していたのだ。
そんな島に、飛べなくてしかもきびきびと走れないのろまな鳥『ドードー』はわんさかといる。
人間を恐れる事はなく逃げる事もしなかった無数にいるのろまな鳥は、そんな海の男たちの格好の獲物になってしまった。
海の男たちはただドードーを殺すだけでなくゲームとして殴り殺していた。
ストレス発散としか思えない行為。
殺したドードーはそのまま食料にもなる、航海のための便利な食料として毎回200羽ほどのドードーを塩漬けなどにして保存食にした記述があるのだ。
殺すだけではなくコレクションや見せ物として生きたドードーをヨーロッパに持ちかえったりもした。
ヨーロッパに持ち込まれたドードーは注目をあびた、商売としても成り立っていたと考えられる。
かつてロンドンでは、ドードーに釘や石ころなんかを食わせて見世物にしていた業者も存在した。
『不思議の国のアリス』にも登場するドードー。
アリスに指輪なんかあげちゃっているけれど。
かつて『大航海時代』の名の下に。
アジアを植民地化しようという野望に魅せられたヨーロッパの野蛮人どもに。
あまりにも無防備なその生物は、あっという間に食い尽くされてしまった。
そんなドードーの剥製が2体だけ、ロンドンの自然史博物館に展示されています。
数十年後にはひょっとしたら。
今はおなじみの生物も。
こんな風に、ドードーの隣に陳列されちゃうかもしれません。