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切符収集記&登山行記

切符収集記&登山行記

霧島の峰々へ

霧島の峰々へ

旅行期間:平成17年12月8日~11日
訪問標的:霧島登山、霧島温泉駅訪問

【プロローグ】

11月に大きな仕事があり、天気の良かった11月の日々を奪われてしまいました。このままでは悔しいのと自分自身へのご褒美ということで、泊付きでどこかへ行こうと考えはじめました。12月初旬であれば地域を選べば山に登れるだろうと思案の末、最初は静岡エリアを考えていました。うちからだと車でも電車でもそこそこの時間で行くことができるので手軽に行けるだろうという考えがありました。
が、嫁さんから長期の旅行に出てもよいという許可がおりたのと、休みがとれたということで状況が一変。せっかくなので遠くへ行こうということで、霧島連山登山をメインに据え、霧島温泉駅の軟券特急券をおかずに出かけることにしました。九州南部なので積雪からはほど遠かろうという安易な考えがあったのですが、出発の前の週に、えびので積雪15cmのニュースが。ま、大丈夫だろうというのが失敗の始まりだったのですが・・・。

【1日目】

今回のアプローチは九州往復割引切符使用で、行きは「なは(車中泊)→つばめ」帰りは「つばめ→のぞみ」という行程です。出発日の晩に早退しようかとも思ったのですが次の日に休みをもらうこともあり言い出しづらく、「なは」の大阪発に間に合うかが初日のポイントでした。
幸い、突発の仕事もなく定時退社。電車も順調に乗り継げ、無事、「なは」の人となります。それにしても、大阪駅の発ホームは寂しいもので、通勤電車の利用者が大半をしめ、寝台列車利用者は数人パラパラとホームにちらばっているだけでした。
列車に乗ってしまえば、あとは寝るだけ。翌日に韓国岳登山を予定しているので、姫路に着く頃には寝ついていました。

【2日目】

熊本には定時到着。一夜の宿となった「なは」に別れを告げます。朝飯を用意してこなかったのでどうしようかと思いましたが、さすが県都の駅。改札内にパン屋や立食いスタンドなどがそろっています。今日は韓国岳山頂で昼食の予定なので、パンも多めに仕入れておきます。
7時55分発の「リレーつばめ33」号で熊本を発ち、新八代で「つばめ33」号に乗換え。九州新幹線は初乗車だったのですが、車内に入り目についたのはふんだんに使われている木材。木の色が明るい感じがして、従来の鉄道車内のイメージからだいぶ明るい感じがします。
九州新幹線はトンネルが多いと聞いていましたが、初乗車ということからか結構車窓を楽しむことができました。鹿児島県にはじめて来たということもあったかもしれません。
鹿児島駅で乗り換え時にこんな珍客が。ラッキー。

鹿児島本線

鹿児島からは特急「はやとの風」号で霧島温泉へ向かいます。と、車窓に白い頂が見えるではありませんか。その姿から韓国岳のような気がして不安が胸をよぎります。「はやとの風」は改造車両のチープさは否めないものの、車内の乗務員さんも親切丁寧で好感がもてます。古い駅舎で有名な嘉例川駅では5分ほど停車時間がとってあり、お写真をどうぞとのうれしいサービスが。
霧島温泉駅で降りたのは私ひとりで、車内精算のやりとりなんかを聞いていると吉松まで行く人が大半だったようです。が、なんだか駅の様子がへんです。「この制服って警察みたいだな」と思いつ駅にいた人に「切符を買いたいんですけど」と申し出ると、やはりその方は警察官でした。駅で業務をされている方が脇にいて話してくださるには、駅に泥棒が入ったので現場検証を行っているとのことです。それが終わるまでは駅事務室に入ることができず、当然切符を売ってもらうこともかなわず思わぬハプニングになりました。旅行していると、こんなこともあるんですなあ。
駅前に停まっているバスで韓国岳のふもとをめざします。バスの乗客は私ひとりで、運転手さんと話をしながら歩を進めます。運転手さんの話だと、道が凍結していたため昨日までバスは奥のほうまで入っていけず、私が降車予定の大浪池登山口までは行けなかったとのことです。今日から復旧で、しかもひさしぶりの晴天とのことで、こいつはついています。
大浪池登山口バス停には11時半過ぎに到着。11時40分、体をほぐしていよいよ登山開始です。が、石畳の道に雪がだいぶ残っており「これは行けるのだろうか」とちょっと心配になります。
大浪池避難小屋12時10分着発。だいぶ雪が残っております。アイゼンを持っていない自分自身がうらめしくなってきますが、雪をいだいた韓国岳が紺色の大浪池を手前に従えこれは素敵。嬉々として写真を撮ります。

韓国岳

ここから東回りで韓国岳避難小屋まで大浪池を半周するのですが、灌木が雪の重みで登山路にしなだれかかり、身をかがめて灌木のトンネルを全身することになります。足元の雪道とあいまって非常にしんどく、これ以降そこそこがんばったつもりが結果的にはコース標準タイムで登っていくことになります。韓国岳避難小屋13時05分着発。ここから本格的な登りです。雪は深く踏み跡は付いているものの、時々踏み跡をたどりそこね、そこまで追ってきた足跡が途切れふと横を見ると本道と思しき踏み跡からそれていることが判明したりします。本道に戻ろうとして横へ踏み出し、ずぼっとふくらはぎまで雪に埋まったりしながら登ります。私は雪山の経験がなく装備もたいしたことがないので本当にしんどかった。反省しきりです。が、晴れ渡った景色は美しく、霧氷というんでしょうかこんなの見る機会はめったにないと自分を奮い立たせます。
13時55分、韓国岳山頂着。周囲の眺望がひらけ素晴らしいのですが、風が強い。私の他にも4、5名ほど登山者がみえます。登り終えた感動にひたるも帽子を強風に飛ばされたりして、ほうほうのていで下山します。
下山はえびの高原へ向かいました。このコースは積雪があるものの、雪はよく踏まれており50分ほどで降りました。宿泊予定のえびの高原荘が16時からチェックイン可ということで時間があまったので、駐車場付近の展望台から韓国岳を眺めたりしました。快晴で、すっきりと姿をみせてくれしばしみとれていたのでした。
霧島温泉駅からのバスの運転手は、「この前の台風で温泉が飛ばされて、市営露天風呂は使えないらしい。えびの高原荘に泊まるの?温泉がつかえなくて、いいことないと聞いたけど」と暗雲たれこみまくりのことを言っていましたが、ふたを開けるとそのようなことはなく、えびの高原荘は温泉もあり快適にすごしました。

【3日目】

今日は縦走チャレンジです。積雪が心配ですが、とりあえず韓国岳を目指し、そこから状況を判断して引き返すなりすることとします。
8時10分、えびの高原荘発。駐車場があるあたりから登山道への歩道がわかりづらいのですが、うろうろしながら見覚えのある道へ。韓国岳山頂までは昨日、下りに利用しているので不安はありません。昨日よりは雪も解けているようですが、高度が上がってくると、かたい雪道状態であることには変わりはありません。
9時16分、韓国岳山頂着。昨日はフィルム切れで風景をあまり撮ることができませんでしたので、今日はしっかりと撮影。
なんとかなるところまで縦走路を踏んでいくことにして、9時22分発。獅子戸岳を目指します。稜線をたどっているあたりは良かったのですが、下りに入ると雪が解けかけたずるずるの道が私を苦しめます。また、陽があたらないところは深い雪が残り、しばし踏み跡を見失いそうになります。足跡の数が少なくなってきて「おかしいな」と思うと数メートル横によく踏まれた歩きやすそうなルートがあったり、ルートファインディングに一苦労です。高千穂河原からのバスに間に合うかが気になっていたのと、午後は天気が崩れると聞いていたことから、気が焦ります。獅子戸岳10時29分着発。韓国岳頂上から2人しかすれ違いませんでした。
続いて新燃岳には10時51分着。途中、大幡山への道を分けますが、道は踏まれておらず、分け入って行くとえらいめにあいそうです。

記憶が定かでないのですが、一時姿をかくしていた高千穂峰がこの辺で再び姿をあらわします。火口のへりを渡って中岳を目指しますが、ガイドブックに書いてあったほど狭い道ではなくホッとします。火口から階段を下りるあたりは平原が広がり、新緑の季節はさぞ美しかろうという風景が広がります。雪もなくなり、このあたりでは中岳方面から来る登山客とすれ違うようになります。湯之野コースを分けるあたりに木の机とベンチがあったので惣菜パンで昼食とします。焦って歩いてきたので結構しんどいです。11月後半に風邪をひいて体力ダウンしていた影響もあるのでしょう。考えてみれば登山は11月上旬の御在所山以来です。
中岳には11時46分着。すらっとした姿を見せる高千穂峰に「これから登ってやるからな」と誓います。整備された道をなかば走りながらひたすら降り、12時19分、高千穂河原着。えびの高原からちょうど4時間で着きました。ゆっくり休憩したいところですが、15時50分のバスに乗らねばならないので、おたおたしてられません。ここまで来たら、すべて登りつくすのみです。
高千穂河原からは森の中の「ゆるやかコース」だったかで高千穂峰の登山路を目指すのですが、「ゆるやか」がくせものでコンクリ道の坂の急なこと。疲れきった体にむちをうってくれます。あまりにもしんどいので、途中の東屋で10分ほど休憩。
ガレた道があらわれ、本格的な登山路の始まりを感じさせてくれます。行く手をさえぎる樹木がないためこれから登って行く坂がよく見え、疲労感を高めてくれます。この辺では何組かの下山客とすれ違い、「スタートが遅い」とよけいに気が焦ります。火山岩が転がり歩きにくいことこのうえないのですが、ガイドに書いてあった「古い溶岩の上を歩くと良い」という言葉を思い出し、灰色っぽい固まった溶岩の上を歩くと足元もしっかりしてラクでした。しだいに増していく高度感にちょっぴり恐怖感を覚えながら上がっていくと、前衛の山にさえぎられていた韓国岳山頂が姿をあらわしてきます。自分が登った山が見えるというのはうれしいものです。「おれはあそこにいたんだ」と思うと爽快感がわいてきます。
ぜえぜえ言いながら御鉢火口壁に13時12分着発。ここから傾斜がゆるやかになります。御鉢は独特な風景でしばしたたずんでみます。大雪山系に行ったときもそうでしたが、火山帯の独特さにしばし言葉を失いながら眺めてみます。
馬の背の鞍部までは山頂を眺めながらゆっくり進みます。「いま登ってやるから待ってろ」と勝手な思いでえっちらほっちら進みます。
鞍部からはいったん下った後、一気に山頂まで上がります。この道が傾斜がきつくてこわいこと。高所恐怖症の私は足がすくんでしまいそうになりながらじりじり登ります。木の階段があるのですがところどころ流されておりルートが見つけにくく、数10メートル先を行くパーティーの後を追います。が、このパーティ、下山時に気付いたのですが、えらいルートを取ってくれていたのでした。岩を腕の力だけで登る頃には「これはおかしい」と気付いても遅く、歩きやすそうな踏み跡が数メートル左を走っているのでした。
13時50分、高千穂峰山頂着。着きました。これで登りきりました。しんどかったけど、来てよかったとの思いにひたるひとときです。広い山頂から雄大な景色を眺めます。ところで、私は普段着のような服を着てきているのですが、セーターが暑くって袖口や背中は汗をかいてしまっています。そこへ風がびゅうびゅう吹いてきて寒いこと。個性的なおじさんがデジカメのうんちくを大声で話しはじめてこわいので、巻き込まれる前に退散しましょう。ちなみに私のカメラは20年近く前の銀塩カメラです。
山頂からの下りは道もわかりやすく、滑りそうになりながら無事下山。15時17分、高千穂河原へ戻りました。ここからは路線バスでJRの駅へ向かい今晩は鹿児島泊です。路線バスは土日のみ運行の周遊バスで霧島市が運行してくれているのですが、ありがたいサービスにもかかわらず乗客は私ひとり。運行取りやめにならないことを祈ります。
霧島神宮駅から鹿児島駅へJRの特急で移動し、市電で街中へ。私は他地区の市電やバスに乗るとそのシステムの違いへの恐れからどきどきなのですが、さして混雑していないおかげで無事、下車。繁華街の中のビジネスホテルが今日の宿ですが、温泉の大衆浴場が付いており快適です。3回入らせてもらいました。

翌日は鹿児島駅から新幹線経由で帰宅。無事に旅行を終了することができました。



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