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時代と「わたし」とのつながりを、見つめてみよう。 *一期一会の1冊を通じて、今を見つめる* 「波乗り編集人の波乗り人生論」はこちらから。
テーマ:今日読んだマンガは??
カテゴリ:1970年代~子供の頃
『キャンディ・キャンディ』のことを書いてから、
ほとんど忘れていた小学生時代のことを ふっと思い出すことが多くなった。 実は、そのほとんどは、 読んだ本や少女マンガのことだったりする(苦笑)。 小学生時代は間違いなく、 わたしの人生に於いて、いちばんたくさんの本を読んだ時だ。 学校の休み時間、帰り道、家に帰ってから... ず~っと本を読み続けていたような気がする。 低学年(1,2年生)のときには、 「伝記シリーズ」にハマって、図書室にある本を読破した。 ヘレン・ケラーと、キュリー夫人の伝記が、特に好きだった。 そのあとは、いぬいとみこさんや椋鳩十さんの動物モノ。 岩波少年文庫の「ドリトル先生シリーズ」も大好きだった。 しかし、ある時をさかいにして、 子供時分のわたしは、あまり本を読まなくなってしまった。 それは、少女マンガとの出会い....。 明けても暮れても少女マンガばかり読みふけっている娘を見て、 読書家の父は口をすっぱくして 「マンガはおやつ。主食(本)を食べなければ栄養にはならん!」 と言っていた。 それでも、わたしの少女マンガ熱はおさまらず、 そのうちに、少年マンガにも触手が伸び始めた。 そして、小学校3年生のある日、そんな状況を見かねた父から、 遂にひとつのおふれ?が出されることになる。 「毎週1冊、指定する本を読んで感想文を提出すること。 そうすれば、いくらでもマンガを読んでよろしい」 それまでは、おおっぴらに家でマンガを読むことができなかったので、 (怒られたときに閉じ込められる納戸の中に数冊隠しておいたり、 学校からの帰り道に歩き読みしたりしていた) 小学生のわたしは、このおふれに異論はなかった。 毎週、毎週せっせと本を読み、読書感想文を書き続け、 そのかわりにたっぷりと、マンガの世界にも浸らせてもらった。 父が選んでくる本は、『モンテクリスト伯』とか『三国志』とか、 自分では決して選ばないであろう歴史物や冒険物が多くて、 読んだ時はそれなりに面白かったのだが、 実はほとんど内容を覚えていなかったりする(笑) それでも、小学校5年生の頃まで続いた 「毎週1本読書感想文を書く」という習慣は、 確実に、文章力や編集力の向上につながったと思うし、 子供ながらに、本を熟読しなくても感想文を書く秘術?のようなものを 知らぬ間に身につけてしまった。 つまり、流し読み(かっこよく言うと速読)ができるようになったのだ。 提出した感想文は、父の批評が赤ペンで書き込まれて戻って来るのだが、 これがなかなか厳しくて、3年間で、褒められたことは数回しかなかった。 その数少ない<褒められた感想文>の中で、 もっとも印象深いものが、『ベルサイユのバラ』の感想文。 この週はじめて、 「好きな本を選んでいい。そしてそれはマンガでもいい」 と父に言われて、当時いちばん読み込んでいた『ベルバラ』を選び、 この作品についてずっと抱いていた想いを書き綴ったのだ。 たしか、「この物語の<バラ>とは、誰を指すのか?」 「マリー・アントワネットは どうしてフランス民衆の<バラ>になれなかったのか?」 というようなことを書いたような気がする。 そして、それに対する父の批評は、 「やはり好きな物語のことを書くと文章が生き生きしていますね。 もう、好きなマンガを読んでいいですよ」というものだった。 つまり、これにて、<読書感想文修行>を卒業したのである。 『キャンディ・キャンディ』と違って、 『ベルサイユのバラ』では、特定の登場人物にハマる... ということはなかった。 それよりも、マリー・アントワネットやフェルゼン伯や、 ロベス・ピエールやサン・ジュストなどの実在人物や、 壮大な物語の歴史的背景がとても気になった。 ギロチンの露と消えたマリー・アントワネットについては、 図書館へ行って、いろんな関連書を読んだ記憶がある。 (18歳のとき、人生はじめての海外旅行先には、 迷いなく「ベルサイユ宮殿」を選んだくらい... アントワネットが最後に幽閉されていたという 礼拝堂やお墓にも行った) 『ベルサイユのバラ』は、言うまでもなく、 フランス革命という歴史的事実を素材にした 著者・池田理代子さんの創作物語だ。 (男装の麗人オスカルは、 『バラの騎士』というオペラからヒントを 得たそうだ) この世に存在するあらゆる創作物語は、マンガに限らず、 何らかの素材(歴史的事実だったり、個人的な経験だったり、 他の作品だったり)を、その人なりに<編集>し直したものである。 例えば、『冬のソナタ』の脚本家が、 『キャンディキャンディ』など日本の少女マンガを参考にしたように、 そして、その『キャンディキャンディ』は、『赤毛のアン』の世界観 をベースにしているように。 それがわかると、誰でも、 自分だけの物語を生み出すことができるようになるのだが、 そのことにはじめて気づかせてくれた作品が、 『ベルサイユのバラ』だったと思う。 1972年に連載が開始した『ベルバラ』は、 30年の時を越え、大人になった今読んでも、 少しも色褪せることはない。 マンガであれ、小説であれ、映画であれ、 “かる~いスナック菓子”ではなく “どっしりと食べごたえのある主食”になりえる物語だけが、 時代も空間も越えて語り継がれていくのである。 ↓BGM付きコミックス...こんなのがあるんですね~。 どんな曲なんでしょう...聞いてみたいっ☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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