2011/08/12(金)10:51
独身中年オヤジの部屋で見たくない物
さいきん生まれて初めてSkypeを使う機会があった。昨年買ったノートパソコンにもともとウェブカメラもSkypeも付いていたのだが、これを使って話をするような知り合いがいなかったのである。
それはさておき、Skypeにはビデオコール・スナップショットといって、話している相手の姿を静止画にして送信する機能があるらしく、会話の途中で相手が試しに撮ったそのスナップショットが送信されてきた。
Skypeを使用中のパソコン画面上では、話している相手の姿に加えて、自分の姿もリアルタイムで表示できるので、別にそのスナップショットを見たところで別に珍しくもなんともないのだが、Skype終了後にたまたまそのスナップショット画像を見返していてハッとした。背景に思いがけない物が写っていたのである。
オレはSkypeの最中にはソファに掛けていて、ソファの上にはたまたま自然公園のカヌー・マップが置かれていたのだが、この表紙がメルヘンチックで、一見すると童話か何かのようにも見える。また、ソファのすぐ後ろにはテーブルとスツールがあって、テーブルの上には消臭スプレーが2つ並んでいるが、スプレーの形状が変わっているのでちょっと見るとスプレーペイント器具や火器にも見えなくもない。また、さらにその後ろのキッチンのレンジの上に大型の換気扇が据え付けられているのだが、この形状も欧米に住んだ人じゃないと換気扇とは判別が付かず、何らかの怪しい機器にも見える。
まあ相手が昔からよく知っている友人や血縁者であれば室内画像に何が映っていようが大して心配は要らないのだが、たとえば相手が仕事上だけの知り合いだったりした場合、ウェブカメラの背景にたまたま映った室内の物品が不要な誤解を招きかねない。
特にオレみたいな40代の独身男の場合、フツウに結婚し妻子のある中年オヤジと違って、謎のベールに包まれたその私生活は人の好奇心というかノゾキ趣味をあおり易く、たまたま映った物品が相手の想像力を掻き立ててしまうこともありうる。たまたまハンガーにスカートっぽいものが掛かっていたら「彼には女がいる、しかもあのデザインからするとかなり若い」、鞭のようなモノが壁にぶら下がっていたら「アイツはSM系のヘンタイだったか」、一輪挿しの花がテーブルに飾ってあったら「ゲイ説はほぼ確定」といった感じで、いろいろ勘繰られそうである。
まあ清廉潔白なオレの場合見られて困る物は何もないが、これまで訪問した独身の知人の部屋の中に発見して哀しく切なくなったり、不気味に思ったりした物というのはある。
そこで、これらの経験を元に、独身中年オヤジの部屋に発見したらイヤだな~と思うものを、思いつくままに挙げてみることにした。
ぬいぐるみ: ソファに熊のプーさんのぬいぐるみがポツンと置かれていたり、ベッドの枕元にネコやライオンなどのぬいぐるみが置いてあったらイヤだよなあ。ちなみにそういうオレはかつてテレタビーズの小型ぬいぐるみを自宅のパソコンのモニターの上に並べていた。
ウルトラマンの塩ビ人形: ぬいぐるみはまだ抱き枕代わりの実用性があるが、中年オヤジの部屋にヒーローの塩ビ人形が飾ってあるのは孤独感を強調するよなあ。まだ仮面ライダーや超人バロム1ならプレミア狙いで部屋に保管している可能性もあり許せるが、歴代のウルトラ兄弟の塩ビ人形が並んでいたら哀しくなるなあ。
80年代アイドルのポスター: 被災地ボランティアをしてた時、50歳くらいとおぼしき独身オヤジの被災した安アパートの壁に、津波の泥を被った大沢逸美のポスターを見つけた。オレが高校生の頃のアイドルである。しかも微妙なシュミだ(笑)。ずっとファンだったんだろう。オッサンに「大沢逸美、どうしますか?」と訊いたら取り乱して「…あ~そんなの棄てていいから!」と言われた。四半世紀を経過し相当のプレミアが付いていたと思うが、後になって後悔していなかっただろうか。この年代だとミノルタだかの宮崎美子のビキニ・ポスターとか後生大事にとってる人が居そうだ(涙)。
ドラえもん全巻: これはまだ実際に見たことはないが、40歳過ぎの独身オヤジの本棚にあったらかなり哀しい。40代独身女性の本棚に見つけた陸奥A子と同じくらい哀しい。そうだなあ、ギリギリで許せるとしたら「こち亀」とか「北斗の拳」くらいか。
アルプスの少女ハイジのビデオ: これは独身オヤジの部屋では見たくない。「くりいむれもん」みたいな完全な口リビデオならフツウにヘンタイ確定だが、ハイジとかになると微妙。ハイジでなくナウシカでもちょっとイヤだよね。
偏った趣味のアダル卜ビデオ: この前日本に一時帰国した時、アコンカグアで知り会った日本在住のカナダ人独身中年の散らかり放題の安アパートに立ち寄った際、テレビの脇に黒っぽいビデオテープのケースが置いてあったのだが、その背には「剃毛妄想」というタイトルが明朝体で書かれていた。パイパン趣味だったのか。社会だとか国家だのに関する持論をオレに滔々と展開する彼を見るたびに背後にはそのケースの四文字が目に入り、オレは哀しくなるのだった。
額に入った若い頃の母親の写真: さいきん亡くなった母親の遺影とかだったら分かるが、自分の年齢より若い頃の母親の写真とかを額に入れて飾ってあったらなんかイヤだなあ。小学校の入学式で母親の手を握る5歳の自分が隣に写ってたりしたらもっとイヤだ。
額に入った自分の写真: これも上の例とは別の意味でイヤだなあ。有名人と並んで撮った写真とか、どっかの観光地で撮った記念写真ならまだ分かるが、単独でポーズをキメてるソロ写真が独身オヤジの部屋に引き伸ばして飾ってあったら哀しいよね。
ほかにも、かつて旅行した観光地のペナントが壁に貼られてたり(中学生かよ!)、たまたま床に無造作に積んであった古新聞の日付がもう10年も前のものだったりとか(いい加減回収に出せよ!)、まだいろいろありそうですが、何かにつけ独身オヤジは、とくに40歳を過ぎると周りにキモい印象を与えがちですから、常日頃から身ぎれいにしておきたいものだと思いました。