2012/05/09(水)16:07
オレとクールビズ
暑い。5月だというのに日本はなんと暑いのだろう。
カナダ(およびアメリカ北部)に長年暮らした結果オレの身体はすっかり寒冷地仕様に変わってしまったようで、妻が外出するのにジャケットを羽織る傍らで、オレはいつも半袖シャツを着ている。
外気温が摂氏20~25度の最中にスーツ姿で外出しようものならあっと言う間に背中は滝汗、首周りはベタベタである。
さいわい日本では近年「クールビズ」とかいって綿や麻の薄手のジャケットにノーネクタイまたは簡易タイというファッションを推奨していると知り、オレもこれにあやかろうと思い妻とメンズファッションのデパートに見に行ってきた。
しかし、試着してみて、困った。薄手の生地は結構なのだが、スラックスのこの股上の浅さは何だ?さいきん腰パンとか言ってズボンをずり下げて履くのがワカモノの間で流行っているのは知っていたが、スラックスまで浅く履くのが流行らしい。いつもヘソの位置でベルトを締めているオレにとって、ようやく腰骨が載る程度のベルトの位置が妙に心もとない。あまりに落ち着かないので極力上まで引っ張り上げて履いてみたら、まるでストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』のアルバムカバーみたいに股間のシルエットがこんもりと浮かび上がり、妻も店員も困惑の表情を浮かべていた。
だいたい、股上が浅いだけでなく、ジャケットの丈も相当短いだろ?
トラディショナルなスーツやジャケットだったら股間回りが隠れる長さに設定されているが、さいきんのワカモノが着ているジャケットは明らかに“社会の窓”の位置が露出される長さだ。まるで股間のモッコリを強調するかのようなこのファッションでオレが外出したら、ケーサツに猥褻物陳列罪で事情聴取されかねないだろ。
それに、さいきんのワカモノはどんだけ脚が細いねん?
足腰に多少筋肉がついているオレなんかが履いたら、太ももも腰回りもピチピチのパンパンで、靴を履くのにしゃがみこもうとしたら、1万数千円のスラックスのケツが破れそうになって慌てたよ。多少なりとも脚を使うスポーツをしてたらフツーこんな細いの履けないだろ。つーか、こんなにピチっとしてたらせっかくのクールビズなのに内側が汗でベタベタして気持ち悪いワ。
いちばんイヤなのが、股上があまりに浅いもんで、ちょっと動くとシャツがベルトの上から出ちゃうこと。シャツが外に出なくとも、シャツのヘソ回りがモッコリ出ちゃってだらしないったらありゃしない。店員にそれを指摘したら、「そうですね、あまり激しい動きは避けられたほうがいいですね」「まあ、内勤されていたら、そんなに激しく体を動かす機会もないと思いますんで」だって。男だったら、スーツを着てても重い物を持ったり、走ったりすることもあるだろ?
...いや、そうか、さいきんのワカイモノは重い物を持ったり走ったりしないのかきっと。
だから、あんな細いスラックスでもきつくて困ることはないし、腰骨に載せて履くような浅い股上でもシャツが出るようなこともないんだろ?
つーか、これも格差社会の結果なのか?
クールビズなんて縁のない、重い物を持って走り回ってるブルーカラーのユニホーム組と、重い物を持ったり走ったりなんて金輪際縁がないホワイトカラーのスーツ組とに、役割が二極化してきているのか?