飯豊連峰(2105m 新潟県・山形県・福島県)(日本百名山76座目)
今日2016年7月17日 日本百名山76座目、東北地区では最後の百名山となる飯豊連峰の飯豊本山にソロナイトアタックです。この飯豊連峰は名のごとく単独峰ではなく疣岩山(標高1,654m)、三国岳(標高1,644m)、飯豊山(標高2,105m)のピークの他に大小のピーク、コルがあり、累計標高差約2,100m、歩行距離約28kmというロングである事が、最後まで後回しになってしまった理由です。経験上、累積標高差が2000mを越える山はキツイんです。 〔飯豊連峰を望む う~ん遠い!!〕 さいたまから下道を約280km、埼玉県、茨城県、栃木県、福島県と越境、会津坂下では磐梯山も顔を覗かせていて、思ったほど天気が悪くないのに一安心です。 午後4時過ぎ弥平四郎の林道入口に到着、ここからはややダート気味の林道を4kmをゆっくり走ります。 弥平四郎登山口駐車場に午後5時前に到着、さすがに3連休という事もあり駐車場は、ほぼ満車状態でした。 まずはナイトでいつも迷う登山口の入口からの取っ付き、下見を兼ねて探索です。長坂ルートは、ヤマレコに取っ付きの川を渡った先がわかり辛いとの事で、そこまで足を延ばしてみました。登山道入口の時代を感じる看板に、テロ・ゲリラ根絶と書かれています。こんな奥深い山でなんで?と思ってしまいます。 この弥平四郎登山道には、疣岩山手前の分岐まで、新長坂ルートと中ノ越経由の新ルートの2つのルートがあります。当初、新長坂ルートを使う予定でしたが、山と高原地図のコースタイムによれば、新コースの方が20分短い事がわかりました。ロングトレイルの為、たかだか20分、されど20分と迷わず登山届を書き換え、新ルートを使う事にしました。これが下山時、コースタイムを狂わせることになるとは予想もしていませんでした。。。 夕食は、コンビニの惣菜をツマミに、プリン体ゼロ缶チュウハイで明日の登頂成功を祈って乾杯!!3連休なので、今日は余裕で仮眠を取る時間があります。午後8時過ぎには眠りにつきました。 午前0時30分に起床です。天気が心配でしたが、雨は降っていない様子、とりあえず簡単な夜食を済ませて出発準備、午前1時30分にクライムオン。飯豊連峰は熊が多いと聞いていて、万一の鉢合わせが怖いので、熊鈴を鳴らして新ルートに取り付きます。まずは上ノ越の稜線部まで標高差約600mの急登ですが、一挙に高度を上げる事が出来るので、黙々と一歩一歩を重ねて行きます。幸い森は静まりかえり獣臭もありませんでした。上ノ越に午前3時18分に到着です。途中休憩した事もありコースタイムを約20分ぐらいオーバー。いつもの事で登りはじめはテンションが低くペースが上がらないんですぅ。 ここから先は稜線歩きになります。次に目指すのが疣岩山(1653.4m)ですが、この前に巻岩山(1578m)のピークが一つ、すなわち、この巻岩山の頂上から一旦、下って、登り返す事になります。ぼんやり白み始めた稜線部の登山道は、眺望の無い樹林帯、ほとんど眺望はありません。午前4時38分、長坂ルートとの分岐点に到着です。どう見ても新コースが20分コースタイムが早いなどと信じられないアップダウンのある登山道でした。すっかり夜も明けましたが、天気がイマイチ。時折、雨も降り始めました。加えて、羽虫が大量発生していて、口や耳に入り込んで来て、うっとおしい事この上ありません。防虫剤入りのクールミストを全身にスプレーするも、やたら体は冷え冷えするも、まったく効かず。あとで解ったんですが、防虫剤入りと思って購入したクールスプレー。なんと防虫剤入りじゃ無かったんです。(><)(写真の黒い物体は羽虫です。) 途中、遥か先にめざす飯豊本山も、ちらっと望む事が出来ましたが、その後、まずます雨が強まり、新調したゴアのレインウエアを着て先を進みます。このレインウェアは高価ですが、軽くて蒸れも気にならず快適でした。しばらくすると草刈り機のエンジン音が聞こえてきました。三国避難小屋のスタッフの方々でしょうか、登山道の笹などの刈り取り作業をされていました。エンジン動力の草刈り、さぞかし大変なご苦労だと思いました。「早いね~」と口々に声をかけて頂き、「草刈のおかげで快適に歩く事が出来ましたよ!!」と返礼。三国岳小屋に午前6時10分に到着。途中でレイン着たり、朝食休憩したりで、すでにコースタイムは40分オーバーです。遠くには磐梯山が雲海の先に望む事が出来ました。反対側には、これから登る飯豊連峰の残雪を抱いた山並みが見渡せますが、ともかくまだまだ遠い、飯豊本山は雲の中でした。 次の目標は切合小屋(標高1750m)です。途中2段のハシゴがありますが、難なくクリア。種蒔山(標高1791m)を越えて切合小屋に到着です。小屋には水場がありますが、今回は3リットルの飲料水を担いでいるので、そのままスルーしました。 その後も雨風が時折強く吹きぬけてゆく感じが続きました。しばらく歩くとガスガスの中に雪渓が現れました。ただ距離的にも200mぐらいでしょうか、傾斜も緩く軽アイゼンも不要でした。ここで10数名のパーティと今日始めて行き交いました。更に先を進むと草覆塚(標高1908m)に午前9時14分に到着です。このあたりは砂礫ののっぺりした平原になりますが、逆に登山道が不明瞭な箇所もあるので、注意して先を進みます。周辺はお花畑、ヒメサユリやハクサンシャジャン他、様々な高山植物が咲き乱れていました。天気が良ければ最高だろうなと思いました。 小ピークから少し下った鞍部には、少し怖いお顔の「姥権現」さまが鎮座しています。 いいでの伝説では女人禁制であった飯豊山に登ってみたいと思った女性が、男性の21日間の苦行の倍の42日間の苦行の末に登ったものの、この場所で石になったと云われています。なんと可哀想な山ガールでしょう。生まれた小松の人が通ると涙雨を降らせるとの事です。そんな涙雨かもしれませんが、雨風は更に強くなって来ました。 ここから御秘所と呼ばれる鎖場である岩尾根、距離は短い鎖場ですが、雨で滑り易い岩場なので慎重に登ります。 この先には御前坂と呼ばれる最後の急登が待ってます。稜線部で更に雨風は強まり、暴風雨という言葉がぴったりの天候に。急登の上、横から風で押されて一歩一歩に難儀します。ようやく午前10時38分 本山小屋(標高2102m)に到着です。 天気の回復が見込めないので、鳥居で一礼、本山小屋では休憩をせず、そのまま飯豊本山を目指します。頂上までのコースタイムは20分です。途中で20名ぐらいの団体のパーティの方々とすれ違いますが、凄まじい風で吹っ飛ばされるかと思ったと口々に皆さん。午前10時45分 無事に飯豊本山(2015m)に登頂成功です。頂上は誰もおらず、またもや独り占めですが、ガスガスの上に暴風雨、まったく眺望はありません。長居は無用と自撮りの記念写真だけして、本山小屋に戻りました。 この76座で、唯一、記念の槍以外、私はバッジは集めていませんが、この山は、東北最後の百名山、その記念として、おとめゆりと言われる「ヒメサユリ」といいでのほしと呼ばれる「イイデリンドウ」をあしらった、2つのバッジを買いました。このバッジには、本山頂上と刻印されていますが、この刻印のあるバッジは、「ここでしか買えないよ!!」との小屋のオヤジさん。本山には登って来たんだよね?と確認まで求められました。登らずには売ってくれないのかな?(笑) 相変わらず天気が悪い為、休憩もそこそこに下山を開始します。切合小屋を過ぎる頃から、青空も見え始めて夏の日差しも降り注ぎ出しました。今度は、暑いのなんのって、加えて、あの羽虫も増えて来ました。午後2時45分、三国小屋に到着。お昼も食べていなかったので、ここでカップヌードル&コーヒータイム。コーヒーは切合小屋で汲んで来た清水を利用。とってもウマイ至極の一杯で生き返った気分♪ 下山して来た方としばし談笑。 焦る下山でも無いので、ゆっくりと下山を開始。あの羽虫に悩んだ登山道には、トンボが大量に飛んでいて、あの羽虫は皆無。どうやら食虫のトンボが全部食べてくれているらしいのです。ずっと私の回りをトンボが飛んでくれたおかげで、羽虫には悩まされる事なく疣岩山まで下山。こんなにアップダウンがあったのかという程、登り下りに、もううんざり。 この先の新長坂ルートと新ルートのどちらで下山をするかを迷いましたが、結局、新ルートを使う事に。これが失敗で、中ノ越からは、午前の雨で粘土状でぐちゃぐちゃになった登山道が待っていて、さらに木の根っこも多く滑り易く、2度ほどすっ転びました。とてもではないですが、山と高原地図のコースタイムをキープなんてできません。これから登られる方へのアドバイスですが、登りは新ルート、下りは、新長坂ルートを選ぶのが良さそうな気がします。新長坂は使っていませんが歩きやすいとの情報もあります。午後6時45分、無事に弥平四郎登山口駐車場に下山できました。 確かに、ロングトレイルでアップダウンの多い連峰でしたが、これまでの経験した平ケ岳や塩見岳、厳冬期の常念岳などに比べれば体力的にラクチンでした。次は、天気の良い日に大日岳にも縦走してみたいと思いました。 【出会った花たち】 〔ヒメサユリ〕 〔イワギキョウ〕 〔ハクサンシャジャン〕 〔ハクサンシャジャン〕 〔ハクサンシャクナゲ〕 〔ハクサンシャクナゲ〕 〔ニッコウキスゲ〕 〔ヤマハハコ 〕 〔調査中〕 〔クルマユリ 〕 〔タテヤマウツボグサ〕 〔タテヤマウツボグサ〕 〔調査中〕 〔ミヤマキンポウゲ〕 〔ミヤマクルマバナ〕 〔ミヤマクルマバナ〕 〔センジュガンピ〕 〔センジュガンピ 〕 〔ヤマブキショウマ?〕 〔センジュガンピ 〕 〔イワハゼ〕 〔カラマツソウ〕 〔ノアザミ〕 〔タカネマツムシソウ 〕 【コースタイム】(休憩含む)弥平四郎登山口駐車場 ~上ノ越 ~ 疣岩分岐 ~ 三国小屋 ~ 切合小屋 ~ 姥権現 ~ 本山小屋 ~ 飯豊本山 (日帰りピストン) ・登り:9時間15分 ・下り:8時間 ・合計:17時間15分 【歩行距離】27.99km【歩数】43064歩