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かめおかゆみこの≪表現するからだとことば≫塾

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かめおか ゆみこ

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2017.06.26
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カテゴリ:カテゴリ未分類
※このメルマガバックナンバーブログは、過去に、一度削除されたことがあり、
 この記事が残っていなかったことから、再掲載しました。


2007年2月26日発行
「今日のフォーカスチェンジ」第1214号より


★今日のフォーカスチェンジ♪

「もう、終わらせていいの」



無力感や喪失感に
さいなまれているひとのこころには、

もしかしたら、賽の河原が
あるのかもしれません。

あなたが石を積んでいると、鬼がやってきて、
すべてをくずしてしまうのです。

どれほど懇願しても、無情にくずしていくのです。


積むたびに、鬼はやってきます。

来るたびに、くずしていきます。

荒涼たる賽の河原で、
何度でもそれは繰り返されます。


深い絶望のふちにあって、
あるとき、あなたの胸に、
ふと、こんな思いが湧き起こります。

鬼は、なぜやってくるのだろう…と。

ここに来て、はじめて胸に浮かんだ問いです。


その日も、石を積み上げると、
鬼がやってくるのが見えました。

あなたは、
鬼をまっすぐに見て、問いかけました。

「なぜ、あなたは、ここに来るのか」と。


鬼は、けわしい表情で、こたえました。

「それが、自分のつとめだからだ」

あなたは、胸のなかに、
何かがつきあげるのを感じました。

「いつから?」

「永遠の過去から」

「いつまで?」

「永劫の未来まで」

「これだけを繰り返し?」

「繰り返しだ」

「なぜ?」

「それがつとめだからだ」


あなたの目から、不意に、涙がこぼれました。

今度は鬼が問いました。

「なぜ、泣く?」


なぜ、涙が出たのか、
あなたにもわかりませんでした。

でも、あなたの口から、
思わずこんなことばがこぼれました。

「あなたが、かわいそうだから」


言ってしまってから、
あなたは、とまどいました。

そんなことは、
思ってみたこともなかったからです。

鬼も、沈黙しました。

そんなことは、
言われたことがなかったからです。


あなたは、鬼を見ました。

これまで何千回、何万回と、
この鬼に、積み上げた石を
くずされてきたのでした。

どれほど、この鬼を、
憎みつづけてきたでしょうか。


けわしい表情のなかには、
喜びややすらぎのかけらを見出すことは、
まるでできませんでした。

当然です。

鬼が、この仕事をやりつづけることで
得られるものは、
ひとびとの涙、恨みの声、
そして、のろいのことば…。


喜びもやすらぎも何一つ知らずに、
鬼は、課せられたつとめを、
やりつづけてきたのです。

あなたが、石を積むかぎり、
ひとが、石を積むかぎり、
鬼の仕事は、けっして、終わることはないのです。


あなたは、鬼を見ました。

鬼も、あなたを見ました。

涙は、止まることなく、あふれつづけています。


鬼の目のなかに、あなたがいました。

その鬼の目に映るあなたの目のなかに、
鬼はいました。


鬼は、泣いていました。

いえ、泣いているのは、あなたのはずなのに、

あなたには、
鬼が泣いているようにしか見えないのです。


あなたの口から、
ふたたび、ことばがこぼれました。

「もう、終わらせていいの」

鬼の表情が、かすかにゆらぎました。

「終わらせる、だと?」

「そんなに苦しいことを、
 そんなにせつないことを、
 もう、繰り返さなくていいの。

 そんなことを繰り返して、
 自分をいじめなくていいの」


言いながら、
あなたは、思わず鬼の手にふれました。

はじめてふれる手でした。

ごつごつと岩のように硬く、
冷たくこごえる手でした。 


「終わらせる、だと?」

鬼が、もう一度、問い返しました。

「終わらせていいの。
 あなたの苦しみを、
 もう、終わりにしていいの」


あなたは、うなずき、
しっかりと、鬼の手をにぎりました。

その手に、あなたの涙が、
はらはらと、こぼれました。

 

…。

気がつくと、あなたは、花咲き乱れる草原に
ぽつんとすわっているのでした。

あたたかい日の光が、
空一面から降り注いでいます。

ここちよい風が、吹き抜けていきます。


賽の河原は消えていました。

鬼は、どこにもいませんでした。

ほおに手をやると、
涙のあとが、うっすらと残っていました。


顔をあげると、
草原の向こうに光が見えました。

あなたは立ち上がり、
その光に向かって、歩き出します。


胸のなかに、なにかあたたかいものが
湧いてくるのを感じました。

そのなかで、こぽこぽと、
何かがちいさくつぶやく声が
聴こえるような気がします。

あなたはそのさざめきに
静かに耳を澄ませます。


「ゆるされたよ」

聞き覚えのある声でした。

「ゆるされたのね」

あなたもこたえました。

「終わりにできたよ」

「終わりにできたのね」

「ありがとう」


声は、それきり、ふっつり途絶えました。

でも、あなたには、もうわかっていたのです。


それは、かつて鬼であったものでした。

それは、あなたが生み出し、
あなたが育てたものでした。

だからこそ、あなたが、
終わらせなければならなかったのです。

あなたにしか、
終わらせることはできなかったのです。


あなたは、しずかに、
胸のところに、手をやりました。

声はもう聴こえませんでしたが、
あたたかい泉は、湧きつづけていました。

これからも途絶えずに、
いつまでも湧きつづけるのです。


光はもう目の前でした。



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Last updated  2017.06.26 06:01:33
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