鳥海山大物忌神社 吹浦口之宮
出羽神社で参拝をした二日目の宿は、鳥海山のふもとすぐ目の前が海の吹浦という町でした。3日もいるので、鳥海山も登ろうと考えていたのですが、雨で中止に。鳥海山は月山の3倍は、気力を使うだろうな~と想定しているので連日の『登り』に体が耐え切るか…も気になりました。(笑朝起きて決めよう。と思ったら、ざぶ~んと雨なので(笑)鳥海山大物忌神社吹浦口のお宮に参拝することにしました。鳥海山大物忌神社は、出羽の國一宮です。吹浦口のほかに蕨岡口之宮もあります。ここは月山神と大物忌神が祭られています。鳥海山は、古代日本の北の境界に位置しており、神力を放って国家を守り、さらに穢れを祓い清める神でもあるといいます。大物忌の神様はどんな神様?と思って色々伺うと、倉稲魂神(うがのみたまのかみ)と同神といわれていると。倉稲魂神は豊受姫神と同神という説もあり、天照大神の御饌調進をなさる神様ですから穢れを忌み、清浄を中心としておられるのでしょう。私の感じていることは、もっと原始的な強さのある神様なのではと思うのですが。守護神仏をお調べしている時、名のある神仏ではなく、自然が神霊として守護されている…という方にめぐり合います。山が御神体になっているところも多くありますし、鳥海山は火山ですから畏れる気持ちが、より穢れを強く祓うという形で敬うことになったのではなかろうか。また、たくさんの人々がそう感じ、お祈りしていくうちに、プラスされてゆく神があったのではないか。そういう感じを受けました。全ての忌み穢れを嫌う山。火山であるが故に、災厄などを予言すると考えられた山。神社の創建を調べると、やはりもともとは信仰の対象は「山」そのものでした。鳥海山は宿世山(スグセヤマ)ともいわれ、『月山』の『死』に対し、鳥海山は『生』を受け持つ山だそうです。私の宿泊した吹浦には「手長足長」の伝説も残っており、それがまた興味深いところでしたのでちょっと載せます。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++昔々、鳥海山に手長足長という鬼が住んでおり、其の鬼は、手足が自由に伸び縮みが出来たという。手を伸ばしたり足を伸ばしたりして、時々山から麓の村に降りてきては村人を食ったりしていた。鳥海山には昔から大物忌という神様が祭られていた。この大物忌神は三本足の霊鳥を遣わして人々を手長足長の乱暴から逃れさせようとした。この有難い霊鳥は、手長足長が鳥海山の山頂にいる時は、「無耶(むや)」と鳴き、里に下りてきている時は「有耶(うや)」と鳴いた。人々はこの鳥を、有難い大物忌神の使いだといって拝んでいた。あるとき、慈覚大師が仏教を全国に広めるため旅にでていた。そして東北の地をまわっていた。慈覚大師は鳥海山の麓で、手長足長に人々に乱暴を働いていることを聞き鬼を封じ込めるため、三崎山(有耶無耶の関付近)に護摩壇をつくり、不動尊像を置いた。百日間の火散の法の満願の日、不動尊像の目からすさまじい閃光が鳥海山めがけて走り、大地は鳴り響きし、鳥海山の頂きがはじけ飛んだ。同時に手長足長も粉々に飛び散ってしまったと云う。はじけとんだ飛んだ鳥海山の頂きは海に落ち、今の飛島になったという伝説が残った。以来此処にあった関所を「有耶無耶(うやむや)の関」と云う様になったという。又「手長足長という鬼」のほか「手長足長の毒蛇」「大蛇」「手長足長の大男」という話や大物忌神が使わした霊鳥は「三本足の烏」だという話もある。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++…ここでもまた、「三本足の霊鳥」。熊野さん?wさてはて。車を降りると、雨が降り止み始めました。…どこまでも、参拝の時は雨が降らないのね(汗拝殿には入らず外からお祈りしていたのですが、中に入ったらいいと声がかかります。神職さんに確認をして、上がらせていただくと、なんともいえないいい香りがします。これは、神様の匂い。うっすらと甘い、木の香りがします。祝詞をあげ、顔を上げると、目の前にある神鏡が虹色の珠のように光っていました。目を何度こすってみても、どうやら気のせいではない…白っぽい鏡のはずなのに…柔らかい桃色の光を放つ、虹色の珠。水晶のような清らかさで、こちらを向いています。そういえば、この前こんな色のオーラですね、といわれたのだった…(この話は後日)再度深く頭をさげ、下がりました。下がると、左のほうから声がします。小さな鳥居があり、登ってゆくと、さびれた雷電社があります。お祈りをして、もうひとつ登ってゆきます。ご祈祷する社と思われるものがひとつどーんと出てきました。そのまま登ると、紅いお社(本殿)といくつかの摂社があります。私の身長よりも高いススキの間を縫って、ひとつひとつにお祈りします。もうこの時には、青空が見えはじめていました。お祈りが終わると、爽やかな雨上がりの空が広がります。さぁ、今回の旅のメイン、3つ目の山湯殿へと向かいます。