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貧乏旅人 アジアの星一番が行く 世界への旅

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2017.10.21
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カテゴリ:作家
あらすじ
山川純一は、東北の寒村で生まれ、育ち、中学卒業と同時に東京へ出た。
夜間高校を卒業、不動産会社に就職し、懸命に働き、24歳で家を購入、
26歳で結婚する。29歳で、会社設立、念願の社長になる。
女性関係も多く、事業も順調、二人の子宝にも恵まれた。しかしながら、
長女、長男共に、学業優秀であるが、覇気がないのが、純一の心配であった。
40歳代半ばで、バブルに遭遇し、幸運もあり、バブルを乗り切り、資産を残す。
だが、息子は事業を継がないと言う。息子は独立し、妻娘と3人暮らしの、
67歳で、大震災を経験し、妻が体調を壊す。医者の誤診で妻はあっけなく
天国に旅立った。それから半年、娘と息子夫婦が居酒屋で話している。



=================================

栄美が続けて言った。
「私が、85歳まで生きるとして、そして60歳まで働いたとしたらね、
年金を貰うまでの5年間、1年300万円かかるとして、1500万円。
それから、年金なんて、月に10万円位しか貰えないとすれば、20万円ほど
不足。65歳から85歳までの20年間で、4千万円は必要。病気だとか、
施設に入るとか、そう言う費用なしでも、5千5百万円要るわね。」

「よく緻密に計算したなー・」
角一が、ビールをごくりと飲んで感心したように言った。

「だからね、わたしには、お父さんからの遺産が必要なのよ。」
「お父さんが、そんなに持っていて、相続税を払っても1.5億円も貰える
なら、姉さん、全然問題ないじゃないの?」
「そう甘くはないわよ。これは、推定で言っているだけ。もし遺産が半分しか
なかったら、手取り7千5百万円でしょう? さっき、85歳まで生きるのに、
5千5百万円必要って言ったけど、それは最低生活する分よ。海外旅行に
行ったり、家の、リノベーションしたり、もしもっと長生きしたら、それだけ
余分に必要でしょう?」

栄美は、純一と家でも、お早うとか、あいさつ程度しかしていないが、父親の
資産や預金を推定して、自分が生涯、結婚もせず、優雅に暮らすことを考えて
いたのである。親の資産を目当てにするならば、もっと父親に優しくしても
良いと思える。そんな大金を貰おうとするならば、食事も、洗濯も、掃除も
してあげても罰は当たらないはずだ。

全く自分勝手な栄美である。それには、少し理由がある。
これも彼女の一方的な言い分であるのであるが、彼女の風貌は父親似である。
目は垂れ気味であり細い。頬も膨らんでいる。愛嬌があると言えば、そうも
言えるが、器量が良いとは言えない。ブスの部類である。栄美は、その自分の
風貌が他の人より劣ると気が付いたのは、中学生の頃だった。
そして、それは、父親のせいであるとも気がついた。母親は、口数は少ないが、
器量よしで、仕草も優雅であった。

「どうして、お母さんに似なかったの?」、と一人ベッドで泣いた夜もあった
のである。それ以前も、母親と話をすることが多かったが、その後は益々、
父親から遠ざかり、彼に対しては、寡黙になって行った。
好きな男性も出来たが、鏡を見るたびに自信を失い、全く積極的にはなれず、
親密な男性とはなり得なかった。

恋愛や結婚に、風貌も関係すると思われるが、それだけではなく、勿論、
性格や、行いに関係するであろう。しかし、栄美は、それを全て父親のせいで
あると思ったのである。母親似であったならば、全く別の人生があったはず、
と確信しているのだ。父親のせいで、生涯独身であるのだから、親の遺産を
貰っても、当然と思うのであった。

「それでね、角一、お父さんの財産が幾らあるか分からないけど、私はね、
今、説明したように、手取りで1億円は欲しいの。基本的に、角一と半分ずつ
で良いけど、もしも推定した財産が少なかった場合、私が1億円を貰う。
残りを角一の分として良い?」

「1億円あれば、毎年500万円使っても、20年か? 良いなー。」
角一は、始め、お金は要らないと言っていたが、栄美の話を聞く内に、欲が
出て来たようである。角一は考えた。今すぐに、栄美の提案をokするのは
得策でないと。仮に、遺産が少なくて、栄美が1億円を取った残りを角一が
貰う結果になったとしても、栄美に有難味が残らない。貰って当然と考えるに
違いない。だから、今、返事をする必要はないと考えたのである。

「ちょっと待って。お父さんの財産が分からない今、そう言う結論を出すのは
良くないと思うよ。財産相続は、遺書にも左右されるって事もあるしさ。」
「え? お父さんが、角一に有利な遺書を残すとでも言うの? あなたは、
親を放って早くから家を出た癖に。私は一緒にずっと住んでいるのよ!」
一緒に住みながら、何の世話もしていない栄美が言えた義理ではないが、一緒
に住んでいるのは確かである。

栄美が見る上では、父親の純一は、控え目に見ても、角一よりも、栄美を優遇すると思うのである。娘の強みが一つ、一緒に住んでいるのが一つ、それに
純一似は自分であり、角一は全く純一に似ていない。母親似であるのだ。
一緒に並んだとしても、全く親子とは思えないほどであるのだ。
しかし、万が一と言う事もあるので、純一にそれとなく、機会を見つけて、
遺書の事、財産の事を聞いておかねばならないと思った。

続く





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Last updated  2017.10.21 09:38:46
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