|
カテゴリ:作家
あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれた。大自然に囲まれて、素直にすくすくと育った。二人の姉にも可愛がられた。優秀な子供で、高校は地元でなく、長野県でも進学校である長野高校に進んだ。榊原ルミの撮影会があった翌年、写真部の新入生歓迎撮影会に参加した。2か月後頃、突然、小平由樹枝と付き合っているか? と怖い先輩に言われて驚く。 =================================== 「ええー?」 「だから、小平由樹枝と付き合っているのか、って聞いているんだ。」 「どうして、そんな事、聞くんだ?」 夏休みになる前、上級生に呼び出されて、同じことを聞かれたことを思い出した。あの時は、とっさに付き合っていると答えたが、その後、何もなかった。 「どうしてって・・・。 そう言う噂があるんだ。」 「噂がある?」 悠介には、何でそんな噂があるのか、さっぱり分からない。桜の木の下で少し話しただけなのである。あの上級生と言い、関根と言い、どうしたのであろうと、首を傾げるばかりである。 しかし、今度は、見知らぬ上級生ではない。親友とまでは言えないが、友人の少ない悠介にとって、数少ない友達と言って良い同級生である。正直に答えるべきか、前回のように、付き合っていると答えるべきか、躊躇いを感じた。しかし、どこからそんな噂が出たのかも知りたいし、嘘を言う必要もないと思った。 「付き合ってなんかいないよ。」 「そうなのか?」 「だって、あんな綺麗な子が俺と付き合う訳がない。」 「そうなのか?」 「そうなのか? って、嘘言っても仕方ないだろう?」 「う~ん。」 「どこから、そんな噂を聞いたんだ?」 関根は、写真部の上級生が、そのような話をしているのを聞いた、と言う。関根も彼女に興味を持っていたので、聞き耳を立てて聞いたと言うのである。多くの高校生が彼女にアプローチしたが、ことごとく断られた、と言う話しをしていた。そして、どうも誰かと付き合っているらしいと言う。その相手が、悠介ではないか? と言う事なのである。 「寺本悠介、って、どんな奴だ、2年生らしいぞ、そんなら、関根に確認させよう」、と言った経緯があり、関根に白羽の矢が立ったのである。関根には、それをを裏付けるような出来事に遭遇している。彼女は、写真部である。部室でたまに会う。特に親しい会話をしたことはないが、彼女から話しかけられた事があるのだ。 「寺本さんって、写真部ではないのですか?」 「どうして?」 「え、別に。でも、あの撮影会以来、部室に来た事がないみたいだから。」 「あぁ、そうだな、彼は写真部ではない。」 「誘わないのですか?」 「写真部は沢山いるし、彼も、そんなに熱心じゃーないからね。」 「そうなんですか?」 たった、それだけの会話であったが、何故、彼女が悠介の話題を出したのか気になった。そんな事があってから、上級生から、付き合っている、との話を聞いたので、関根は、実際に付き合っているのではないかと、思っていたと言うのだ。 「へぇ、そんな事があったんだ。」 悠介の知らない所で、自分の話題が出ていることに、驚いた。自分でも目立たない生徒であると自覚している。運動もしていないし、文化活動もしていない。学校と叔母の家の往復だけである。少し成績が良いと言う位しか目立った処はない。 「ほんとに付き合っていないのか?」 「あぁ。付き合っていないよ。」 「じゃー、先輩に、そう答えて良いのだな?」 「あ、ちょっと待って。」 「なんだ?」 あの上級生に呼び出された事が気になった。あの時は、何故か分からないが、付き合っていると答えた方が良いと思ったのである。その事を、関根に事実に基づいて話した。 「そうか、そんな事があったのか。それで、付き合っていると言う噂になっているんだな? しかし、その上級生、どうして、そんな話をしに来たのかなー?」 「分からないよ、全く根拠なしだ。」 「じゃー、どうするか? 先輩に付き合っていないと、言ったら、その上級生に答えたのと矛盾するぜ。」 「そうだなー?」 「お前さー、本人と会ったらどうだ?」 ================================= 本日は、黒海の町オデッサから、モルドバのキシナウに移動だけで、内容もありません。 で、「寺本悠介の場合」、の、第8回をアップしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[作家] カテゴリの最新記事
|