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カテゴリ:作家
あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。2年の春、写真部の新入生歓迎撮影会で、小平由樹枝に会う。翌年、高値の花と思っていた由樹枝と付き合う事になった。デートするまで進展し、手を握り、さらにキスするまでの仲の恋人となる。3年の夏休み、北海道無銭旅行を遂行後、由樹枝と受験勉強する。大学の推薦が決まった後、上高地へ出かけ二人は結ばれる。 写真はyahooより借用 =================================== 「そろそろ、、汽車の時間かい? 出かける?」 お金は、悠介が支払った。由樹枝も親から、お金を貰って来ていたが、宿代と交通費以外は、悠介は出してあげたいと思っていたのである。汽車の中でも、二人は黙々と勉強した。昨夜、愛し合った仲とは思えない。二人とも、とても真面目であり、目標に向かって努力する素質を持っている。悠介は、受験勉強が面白いと感じる。今までやって来たことの復習であったからだ。沙漠の砂が水を吸い取るように知識が吸収されているようである。 長野駅に着いて、電車を乗り換えた。ここから、信濃吉田駅がおばさんの家のある駅である。その後、由樹枝とデートした小布施駅があり、さらにもっと先に、由樹枝の家がある信州中野駅だ。従って、悠介が先に降りる順番である。送って行きたかったが、送ると、遅くなりそうなので我慢して信濃吉田駅で降りる事にした。 「次、いつ会える?」 「日曜日? 家に来るでしょう?」 「うん、じゃ、1週間だ。もっと会いたいけど、勉強があるからね。」 「楽しかったよ、上高地。ありがとうね。」 「いや、痛い思いをさせてごめん。」 「いやらしい。」 お互いに、じゃー、と言い、握手して別れた。 1週間はすぐに過ぎ去った。悠介も由樹枝も、今まで以上に勉強に集中出来た。心より愛し合う恋人がいると言う心の安定と満足感が集中力を増幅させているようである。幾日待てば、又、会えると言う楽しみも待っていた。 悠介は学校で関根に会った。級友とは普通の雑談はするが、友人と呼べるほど親密な友達はいない。関根は唯一の友人と言えるかも知れない。受験勉強と写真部の活動で相変わらず忙しそうだ。 「久しぶりだなー、元気?」 「あぁ、まぁまぁだよ。推薦決まったそうだね、おめでとう!」 「ありがとう、やっと決まってほっとしている所だよ。」 クラスメートは、推薦に関して全員が知っていたが、別のクラスまで噂が流れていると悠介は知らなかった。 「六大学だからなー、大したもんだ。俺は、六大学クラスの学校に受かりそうもない。」 「まだ、時間がある。頑張れよ。」 「いや、俺は、大東亜帝国辺りを目指すよ。ところでさー、小平とは、上手く行っているの?」 悠介は、全部話してしまいたい誘惑に駆られてしまった。由樹枝との仲を、誰かに言ってしまいたい誘惑である。しかし、思い留まった。由樹枝との秘密の仲である。二人が知っていれば良い出来事なのだ。 「あぁ、付き合いは、続いているよ。」 「どう? もうキスしたのか?」 「いや、そう言う仲じゃーないんだ。受験勉強を一緒にやっている。」 「そうなの? だって、もう1年以上、付き合っているんだろ? キス位しなきゃー、おかしいよ。みんな、やっているらしいぜ。」 「仲々、そんなに上手く行かないよ。」 親友に真実を伝えられないもどかしさと、嘘を言わねばならない申し訳なさに関根の目を見て話せない。 関根も、今は、写真部の活動を制限し最小限の事だけやっているらしい。受験に専念せねばならない。その点、悠介は、推薦を勝ち得たので、気楽である。一応、W大学は受験するが、腕ならし、実力試しで、合格しても不合格でも、進む道に関係はしない。 翌週の日曜日、由樹枝の家に出かけた。北海道のアルバムを持参である。由樹枝には是非、見て欲しかった。悠介の18年の人生で最大のイベントである。振り返っても、良く行ったなー、と思う。あんな旅は、今後も出来ないのではないかと思うと、今更ながら、行って良かったと思うのであった。 「これ、北海道のアルバム、勉強に疲れた時にでも、見て。」 由樹枝は、ぱらぱらと、アルバムをめくった。 「凄いね。全部、コメント付きね。後で読ませて貰うわ。」 「出会った人とか、全部書いてある。」 「分かった。楽しみだなー。」 この日は、勉強して、又、両親と昼食を食べた。午後から夕方まで勉強して、悠介はおばさんの家に帰った。悠介は、抱き合いたかったが、両親も近くにいるので、それは出来なかった。キスしただけで別れたのである。 =================================== お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.05.28 08:05:07
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