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カテゴリ:作家
あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。2年の春、写真部の新入生歓迎撮影会で、小平由樹枝に会う。その後、恋人関係になる。3年の夏休み、北海道無銭旅行を遂行。大学の推薦が決まった後、上高地へ出かけ二人は結ばれる。実力試しに受験したW大学に合格するも、M大学に進学する。 写真はyahooより借用 =================================== 「何にする?」 「う~ん、どうしようかなー?」 由樹枝は、美しいか顔をしかめるようにしてメニューを見ている。 「トンカツ定食にする。」 「トンカツかー、美味しそうだねー。俺はどうするかな? 別のを頼んで半分ずつ食べる?」 「うん、良いね。じゃー、八宝菜頼んでよ。」 「オーケー、八宝菜にしよう。」 お姉さんが、ビールを運んできた。 「あら、綺麗な方ねー! 妹さん?」 「いえ、違います。」 「え? じゃー、恋人?」 「はい、恋人です。長野から見学に来ました。」 「そうなの、隅に置けないわねー、こんなにきれいで可愛い恋人がいるなんて。」 由樹枝は、にこにこしながら、その会話を聞いていた。他人に恋人と紹介する悠介に喜びを感じているようである。長野では、同級生や他の人の視線を気にしていた。しかし、ここ東京では、全く気にする事はない。幸せである。 「よろしく、お願いします。」由樹枝が言った。 「こちらこそ。じゃー、誘惑出来ないわね。恋人がいるんですもの。」 「はい、監視役も、よろしくお願いします。」 「良いわよ。頼まれたからね。はい、ビール、今日は特別にお酌させて。」 お姉さんが、悠介と、由樹枝のコップにビールと注いでくれた。 「ありがとう。乾杯って言いたけど、何に乾杯かな?」 「大学入学祝いと、引っ越し祝いね。 兎に角、おめでとう!」 「ありがとう! 乾杯!」 夕食は和やかだった。由樹枝は、アパートの部屋も見て、大学も見て、さらには、外からであるが、バイトする会社のオフィスも見た。取り合えず、悠介が活動する場所は、確認できたのである。 「明後日から、又、勉強しないと・・・。」 「そうだな。頑張ってくれ。俺は、暫くは慣れるよう頑張るよ。バドミントンしたくない?」 「もうずっと、半年以上かなー? やってないよ。身体が鈍ったかな?」 「まぁ、適度に歩いた方が良いね。」 「学校の往復だけしか歩いてない。」 「それだけでも、違うんじゃーないの?」 「そうか、今は、我慢、仕方ないね。受験勉強最優先だから。」 「しかし、明後日から会えないと思うと、寂しいなー。」 「それは、勿論、私も同じよ。勉強も教えて貰えないし。」 「1ヶ月に1回は、必ず、会いに行くよ。バイトして金貯めて。」 「私も来たいけど、勉強もあるし、泊まりは難しいかな?」 「気にする事はない。俺が行くからさ。」 寂しい気持ちを抑えて、お互いに励まし合う。恋人になってから、長い期間離れるのは、初めてである。なので、不安もある。悠介は、遠距離になって関係が離れるほど、そんな簡単な愛情ではないと思っている。しかし、由樹枝は、新しい環境に身を置いた悠介に、色んな誘惑がありはしないか心配している。女性だけではない。遊びでもそうだ。どんな遊びがあるか由樹枝は知らないが、東京は遊ぶところが多くて、楽しい事が沢山あると聞いている。そんな事に溺れて由樹枝の事を忘れてしまうのではないか、とそれが心配なのである。 「手紙を書くわ。電話は高いから、手紙で話をしましょう? そして、たまには、声も聴かせてね。」 「うん、そうしよう。俺も、手紙書くよ。」 ビールを飲んで、ご飯も食べた。お姉さんに挨拶して、アパートに帰った。 「よーし、風呂に入ろう。実は、初めて入るんだ。前に泊めて貰った時は、入らなかったから。小さいから二人では無理だな。」 「先に入って。準備して、テレビでも見ているから。」 悠介は、今夜の期待に胸を膨らませている。二人だけで泊まるのは、上高地以来である。これから、離れ離れになる。何回でも、出来るだけ愛し合いたい、と思うのであった。 風呂から上がると、布団が敷いてあった。由樹枝は既にパジャマに着替えている。ピンク色の可愛いパジャマである。悠介は軽く抱いて、口づけをして、風呂に入って来な、と由樹枝を送り出した。ビールを飲んだが、酔いは醒めているようだ。もう少し飲みたい気分であるが、ビールの買い置きはないし、癖になるとよろしくないと、我慢する事にした。 =========================================== お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.07.03 10:20:02
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