貧乏旅人 アジアの星一番が行く 世界への旅

2021/07/05(月)10:02

チェンマイに佇む男達 寺本悠介の場合 第125回 ~

作家(238)

あらすじ 悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。大学は東京のM大学である。その間、小平由樹枝と良いお付き合いをした。大学2年になりとあるコンパで飲み過ぎて矢代美恵子と深い関係となる。小平由樹枝を愛していたが、愛想をつかされ振られてしまった。その後、美恵子とは変則的な付き合いを行い、1年先輩の美恵子は就職して大学もアパートも去った。悠介は大学4年になり就職活動も終わり、希望の会社に就職も決まった。 写真はネットより借用 =================================== 「そうね。自分が教え込んだと思うと独占感が湧いて嬉しいのじゃないかな?」 悠介は、小平由樹枝を思い出してそう言った。彼女は間違いなく処女で悠介が始めてであった。その分、愛情も強いと感じられた。俺だけを愛していると思えるのだ。その点、性はぴったり合うが美恵子のように何人も経験した女性とは純粋な愛情を感じられない。悠介は男のエゴであると知りつつその考えを変えられない。 「あたしさー、もう経験があるから、処女の振りは無理よね?」 「どうなのかなー? 万が一怪しまれても、処女の振りした方が良いのじゃーないかな? 簡単に足を開かないとか、そうそう足を伸ばしっぱなしで力を入れて堪える、とか?」 「そう? 面倒臭いなー、でもその方が良いならそうするかな?」 「絶対にその方が良いと思うよ。処女か非処女かなんてやったって、分からないよ。入って来る時、あそこに力を入れて苦しそうにしていれば良いんじゃーないか? 気持ちよくても気持ち良い声をあげたら駄目だよ。少しづつ開発されたように、1回目より2回目、そして3回目と良くなった振りすれば良い。」 「難しいね。」 「でも、遊びじゃーなくて、結婚するつもりならば、それは重要かも知れないよ。俺の友人たち、そう多くないけど、みんな処女が良いと思っているから。」 「男は自分で遊んでいても、結婚相手は処女が良いんだ。勝手だね。」 「そう、勝手なんだけど、そう思っちゃうんだから仕方ない。聞いた話だけど、処女だと思って結婚したら、経験者だと分かって、新婚旅行から帰ったばかりで離婚したって言うカップルもいたんだって。」 「ふ~ん、困ったもんね。」 処女か非処女かで悠介は男性の気持ちを美恵子に詳しく説明した。誰しもが経験者を嫁さんに貰いたくない、と。他人に抱かれた女、と言う気持ちが強く全面的に愛する気持ちが薄れるのである。美恵子はもう既に性の喜びを知り尽くしているから、演技が通用するかどうか分からない。しかし、悠介は演技をしろと何度も強く要求した。 「まだ、すぐにする訳じゃーないから、ドライブで1泊旅行に行くだけよ。」 「そうだけど、どうなるか分からないから言っておくよ。」 悠介はもう一度寝る前にしたかったが、そんな話をしたら、複雑な気持になり意欲を失ってしまった。美恵子も何か考えているようである。 一寝入りした朝方、悠介は慌てて目を覚ました。もう出来ないかも知れないと思ったら、強い性欲を覚えたのである。まだ隣で眠っている美恵子を愛撫する。パンティの中に手を差し込んだら、美恵子は目を覚ましたようである。悠介を強く抱きしめて来た。それから濃厚な時間を二人で過ごした。窓からは朝の薄明かりが差し込んできている。 朝食も食べ、出かける時間になった。 「色々と世話になったね。」 「そんな事、私の方が世話になった。それに彼女と別れさせてしまったし、悪い事をしてしまって反省しています。ごめんね。」 「いや、もう過ぎた事だし、あの件は思い出したくない。その後の事を言っているのさ。泊めて貰い食事もご馳走になりセックスもさせて貰った。忘れないよ。」 「私も悠介の事は忘れないわ。アパート代も出してくれて勉強に専念出来たお陰で就職試験にも受かったし。何しろお金の心配しなくても良かったのは、心の安定に大きな事だったわ。」 「電話番号を教えておく。アパートの管理人さんが電話を入れたんだ。呼び出して貰えれば、話が出来る。何か急ぎの事や、話したい時は電話して。」 「そうね、私も電話を入れるかも知れない。彼が連絡し難いから電話を入れろって言うの。お金は出すからって。」 「へぇ、もう彼も恋人になった気持ちなのかな?」 「電話入れたら、番号を連絡するね。」 名残惜しいが出かける時間となった。きついハグをして玄関を出た。悠介はさっぱりした気持ちになれなかった。彼女が幸せを掴もうとしているのであり、心から祝福してうまく進行するように願わねばならない。しかし、俺の女、と言う気持ちが消えない。自分の腕の中で喜びの声をあげ、大きく足を広げて自分を向かえ入れた女が、他の男と同じことをするようになるのだ。割り切れない気持ちである。しかし、小平由樹枝に振られた時とは全く異なる。彼女の時は絶望の淵を歩いているようで完全に落ち込んでいた。今回の別れは、絶望はない。勿体ないと言う気持ちであろうか。 大学に出ると、新婚旅行から帰り暫く経った高橋が待っていた。家に招待するから来てくれとの事、部屋も狭いし数人しか呼べないが、披露宴に出た人も招待するって事である。勿論、喜んで参加すると答えた。 ===================================

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