貧乏旅人 アジアの星一番が行く 世界への旅

2023/03/11(土)14:01

チェンマイに佇む男達 寺本悠介の場合 第147回 ~

作家(238)

あらすじ 悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。大学は東京のM大学である。その間、小平由樹枝と良いお付き合いをした。大学2年になりとあるコンパで飲み過ぎて矢代美恵子と深い関係となる。小平由樹枝を愛していたが、愛想をつかされ振られてしまった。その後、美恵子とは変則的な付き合いを行い、1年先輩の美恵子は就職して大学もアパートも去った。悠介は大学4年になり就職活動も終わり、希望の会社に就職も決まった。そして友人高橋の結婚披露宴も無事終了。その後新婦の友人の唐橋由美子と親しくなったが、あまりに積極的な彼女に右往左往する悠介であった。別れたいが別れさせてくれないので困っている。一方、美枝子は玉の輿と言える結婚する事になった。3月末、悠介は就職の為、神田川辺のアパートから引っ越しする。 写真はネットより借用 =================================== 「こんばんわ。待った?」 「いや、丁度料理が出来上がった所だよ、」 「ありがとう、料理作ってくれたの?」 「これが最後の夜だからね、手料理を食べて貰おうと思ってね。」 「やだー、最後の夜なんて言わないで。」 「さぁ、座って、ビールを飲もう!」 「乾杯!」 「乾杯!」 二人は其々の思惑は異なるが、表面上は幸せな恋人同士のようにコップを合わせた。そして美味しそうにビールを飲んだ、 「そうそう、これ就職祝い、どうぞ。」 「え? 悪いなー、そんなに気を使わなくても良いのに。」 開けて見ると濃紺に良く見ると細かい図柄の入ったものである。裏を見たらグッチと刺繍されている。悠介も聞いた事のある有名なブランドである。相当高いはずだ。 「こんな高い物貰えないよ。」 「何言っているの? 一生に一度の就職祝いでしょう? 私も頑張るわよ。」 「申し訳ないなー。」 悠介は別れるつもりの由美子から高級なネクタイを貰って気持ちが割り切れない。もう一つ袋があった。開けると靴下が3足入っていた。これも高級そうな品物であった。何とお礼を言って良いか分からない。このまま何も言わないで別れて欲しいと願う。揉めるのは好きではない。 悠介は行き所のない気持ちでビールをがぶ飲みした。由美子は機嫌が良い。悠介が喜ぶ姿を見て嬉しいのであろう。そう言う気持ちが良く分かるので悠介には心苦しいのである。就職先の話をしながら食事は進んだ。2~3ヶ月は試用期間で実習となる。本社や全国の工場を廻るのでどこへ行くか分からない、と説明した。それはその通りであるのだ。実習の本拠地は東京であるが、本社が大阪にあるので大阪には行くはずであった。悠介たちは、幹部候補生として入社している。それで配属はどこになるかは不明であるが、本社や支社、工場は一応全て廻る事になっている。忙しい数ヶ月になりそうであった。それをそのまま由美子に説明した。 「忙しいと言っても手紙を書く位の時間はあるでしょう?」 「どうかなー?」 「そんなに忙しいの?」 「3交替勤務もするらしい。」 「連絡がないと寂しいよ。」 連絡しないとどうなってしまうのか、不安になる。由美子の気持ちを考えると後ろめたい。しかしどうしようもないのである。結婚したくないと思うのだ。親切に優しくされても考えは変わらない。そんな曖昧な気持ちを持ちながらも楽しい雰囲気を壊さないように気遣いながら食事は終わった。風呂の時間である。その前にテーブルを片づけて布団を敷いた。寝る準備をしてから悠介が先に風呂に入った。そして順番に由美子も風呂に入った。 その後は、いつもの通り抱き合う。由美子は当分の間会えないと思っているので、初めから興奮度は大である。灯りが点いているのも構わず、全裸で布団に横たわった、悠介も習って全裸で由美子の横に並んだ。交互愛撫が始まった。 「良かったー。素敵。とっても気持ち良かった。」 終わった後、横たわって息を整えた後、由美子が言った。悠介も同様とても気持ちが良かった。結婚しないと思っていても、愛しているとも思えない気持ちであっても、身体を重ねれば気持ちが良い。そんな行為が不思議に思える悠介であった。酔いも手伝ってか、激しい交接と心地よい気持ちの中で、眠気が襲って来た。由美子も眠そうである。電気を消して寝る事にした。 朝方早くすっきりした気持ちで目覚めた。由美子は当然と言う振る舞いで悠介の股間に手を伸ばして来た。泊まるときはいつも2度以上はしているのである。悠介は昨夜も2度している。それでも触れられたら硬度が増して来た。朝も激しい行為となった。 「さぁ、起きるか? 今日は引っ越しだ。」 「あら、又、寝てしまったの? 起きましょう。」 もう8時に近い時間となってしまっている。9時に引っ越し業者のトラックが来るのだ。荷物を積み込み、悠介はそのトラックで一緒に会社の寮まで向かうのである。 ===================================

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