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貧乏旅人 アジアの星一番が行く 世界への旅

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2026.03.16
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カテゴリ:作家



あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。大学は東京のM大学である。その間、小平由樹枝と良いお付き合いをした。大学2年になりとあるコンパで飲み過ぎて矢代美恵子と深い関係となる。小平由樹枝を愛していたが、愛想をつかされ振られてしまった。その後、美恵子とは変則的な付き合いを行い、1年先輩の美恵子は就職して大学もアパートも去った。悠介は大学4年になり就職活動も終わり、希望の会社に就職も決まった。そして友人高橋の結婚披露宴も無事終了。その後新婦の友人の唐橋由美子と親しくなったが、別れたいが別れさせてくれない。一方、美枝子は玉の輿と言える結婚する事になった。3月末、悠介は就職したが、実習中に由美子が自殺未遂をしたと言う連絡を受けて真っ青になった。由美子の父親に会い、慰謝料も支払い問題は解決した。悠介は希望の鹿沼工場に配属され社会人生活が始まったが、女性問題がありタイのシラチャへの出張が決まった。シラチャーでの仕事、恋愛も順調である。2年強のシラチャ生活を終え、鹿沼に帰り2年が経過した。そして2年振りに心がときめく女性を会う。橋本千恵子と言う女性である。



写真はネットより借用

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「着いたよ、ここが黒檜山の頂上だ!」
標識の立つ山頂には、すでに数人の登山客が休んでいた。空は澄み渡り、眼下には大沼と赤城神社の赤い橋がはっきりと見える。さらに遠く、関東平野の広がりが霞むことなく続いていた。
「わぁ、本当に広い。」千恵子は言葉を失ったように立ち尽くした。
悠介も静かに景色を眺め、深呼吸をした。
「この空気、胸の奥まで届く感じがするな。」
二人は岩に腰を下ろし、しばし眼下を見下ろしていた。汗をかいていたが、そよ風がその汗をぬぐってくれるようである。

しばらく二人は言葉もなく、ただ広がる景色を眺めていた。遠くの山並みが青く連なり、風が頬を優しく撫でる。
やがて千恵子が小さく呟いた。
「悠介さん、私、この旅を一生忘れないと思う。」
悠介は振り返り、千恵子を見た。二人が初めて結ばれた旅である。悠介にとっても忘れられない旅になるであろう。
「そうか、そうだね。じゃあ、また次の旅も約束しないとな。」
千恵子も頷き、照れくさそうに笑った。

下山の道は静かだった。足元は少し疲れていたが、心は軽く、満ち足りていた。
「ねぇ、今度はどこの山に行く?」千恵子がふと尋ねた。
「そうだな? 山が良い? 山奥の鄙びた温泉でも行く?」悠介が答える。
「うん、良いねー、温泉。今夜も温泉でしょう?」
「そう。山奥ではないけど、有名な温泉だよ。伊香保温泉だ。」
大沼湖畔まで降りて来た。頂上でゆっくりしたが、出発してまだ3時間にもなっていない。意外と簡単に登ったものである。
「チェックアウトして、昼食を食べてから、伊香保に移動しよう。ホテルのチェックインが確か3時だったから丁度良いだろう。」

昼食は宿で食べて荷物を持って車まで歩く。わずか1泊の大沼湖畔であるが、忘れ得ぬ1泊である。名残惜しい。悠介は大沼湖畔を右手に見ながら、白樺林の林道でハンドルを握っている。やがて左に曲がり大沼湖畔は見えなくなった。道路は緩やかに登っている。
「ねぇ、何か話して。」千恵子が言った。
いつの間にか、自分の想いの中に浸って無言でいたらしい。
「あぁ、すまん、すまん。伊香保温泉まで1時間位だから休んでいて。」
「1時間で着くの?近いのですね。」
「そうだね、峠を越えて行くけど、意外と近いのだよ。」
峠の頂上辺りに来た。レンゲツツジの群落があるところである。残念ながら6月中旬辺りで散ってしまう。1ヶ月少々前ならばオレンジ色に染まる景色が見られたはずである。今はホタルブクロやヤマユリがぽつぽつと咲いている位である。

坂道を下って来ると、来た時に潜った赤い鳥居に来た。高さ21mもある大鳥居である。昔は赤城山全体が神の山と考えられていたらしい。その中心となる神社が 三夜沢赤城神社である。江戸時代には関東各地から参拝者が来ており、江戸(東京)、武蔵国、上州平野、から来た人たちは、まず南麓に到着し、そこから山へ登った。その参道の入口を示す目印として建てられたのが、この巨大な鳥居なのです。
昔の参拝者はそこから鳥居をくぐり、三夜沢赤城神社へ参拝し、そこからさらに山を登り、山頂の赤城神社へ行くのです。悠介と千恵子が参拝した大沼湖畔の神社です。

何か話して、と千恵子に言われたので、悠介はガイドブックで仕入れた話をぽつぽつと説明しながら運転した。その大鳥居を潜ったら右折する。渋川方面へ向かうのである。この道は大胡から渋川へ続く大胡街道と呼ばれており、鹿沼から大胡を通ってきた道である。道路は真っすぐなところはほとんどない。曲がりくねって坂道も多い。悠介は慎重に運転した。暫く走ると左前方に山が見えた。
「あの山は何と言う山?」
「どうかなー? 榛名山じゃーないかな?」
自信なさそうに悠介は答えた。下り坂を降り、左折すると大きな橋を渡る。
「これは利根川だよ。」
これは自信を持って悠介が言った。
利根川を渡り車は渋川市街へ入った。そんなに大きな街ではない。少し走ったら、街を抜けやや登り勾配の道になった。

「もう伊香保は近いのではないかな? 渋川市街を通過したし。」
「早いね。まだ2時になっていないよ。」
「そうだな。ホテルはチェックインさせてくれるかな?」
「荷物を預かって貰って、散歩しても良いでしょう?」
左手にゴルフ場が見えている。悠介はゴルフをしたことがない。誘われてはいるが何故かゴルフしたいと思わないのである。
そうこうしている内に伊香保温泉に着いた。細い道を登って行く。赤城大沼の宿と異なり大きなホテルにした。受付前のロビーも広い。

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Last updated  2026.03.16 16:56:41
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