系譜
おはようございます、紙太材木店の田原です。昨日は梅雨の中日で晴れ。体が暑さにまだ慣れてないので夕方になるにつれ、体が重くなっていきました。加えて夜中には蒸し暑さで目が覚める始末…少しだけエアコンをかけました。日曜日の日経新聞には日経スタイルという特集記事があります。先週と今週は吉村順三のモダニズム建築記事に書いてあることと私の考えのご紹介ですが詳細は記事をご覧ください。建築家の藤森照信さんが「空間の流動性はモダニズム建築の条件」と言ってますが、一般の方には?でなんやそれ?記事ではそれをふすまや障子で仕切った流動的な間取りむき出しの柱を使うなど素材の美しさを生かすこと基準寸法があること日本の伝統的な建築と20世紀に欧州で成立した合理性を重んじるモダニズム建築には実に驚くほど共通点がある吉村順三はこのことに着目し日本の木造建築とモダニズムを融合させ独自の世界を切りひらいた一人だと解説してます。更にその前に内と外をつなぐ。吉村が日本の伝統建築から学び取り入れてきた手法だ季節の移り変わりが室内に映り込み西洋建築にはない「おおらかな気分」が生まれると効果を語っている。言葉ではなんとなく理解できると思いますが実際の建物を見るほうが理解しやすいと思います。記事で紹介していたのは八ヶ岳高原音楽堂ですが(たためる椅子があります)吉村順三の住宅で画像検索していただくと多くの住宅がご覧になれます。それをご覧になると恐らく気づくことがあると思います。なんだか最近どこかで見たような…吉村さんの系譜には中村好文さんや伊礼智さん永田昌民さんなどがいますし、吉村さんはレーモンド事務所に在籍していました。実は、私も含め設計事務所や工務店の多くは意識するしないに関わらず、かなりの影響を受けています。室内空間のデザインを考える時そちらに行ってしまうと言ったらいいでしょうか。意識しなくてもそちらに引き寄せられていくような感覚です。アーキテクトビルダーと呼ばれる工務店がありますが、彼らの施工写真をご覧になるとお判りいただけると思います。そんなことを意識しながら施工写真をご覧になると漫然と気に入った画像を見るだけでは得られなかった楽しみが増えます。同時にそのような写真を見ると間取りから考える図面の限界のようなものが見えてきます。吉村さんは「建築は、はじめに人間の生活があり、心の豊かさを創り出すものでなければならないそのために、設計は奇をてらわず、単純明快でなければならない」これから新築を建てようと検討されている方の多くは間取りや動線に意識が行きがちになりますが、それだけではない別の視線もあります。建ててしまえば性能と同じで簡単には変えられません。知らなければそれはそれで済んでしまうことですが、設計者に全てお任せではなく建築の基礎知識として意識しているとご自分の住まいにより豊かな空間が生まれる可能性があるのではないでしょうか。