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劇場通いの芝居のはなし

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2020.04.28
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大阪芸術大学舞台芸術学科演技園主tコース 新入生の皆さん

「対面授業」ができるまで、とりあえず「通信教育」を行います。これまでブログに演技訓練や演劇論、演劇史などずっと書いてきました。それをもとにして、演技のための訓練の仕方を具体的に書きます。
もちろん、「基礎訓練」は個々人が直接指導を受けて、体で身につけるものです。書かれたことを自分でおこない、疑問があればZoomでたずねてください。対面授業が始まれば、ちゃんとできているか、しっかり見てゆきます。

○練習着のことから、細かく話してゆきます。
稽古場に入るときの服装ですが、ルーティンの稽古と、上演のための芝居稽古とでは、当然違ってきます。
演出家がいる芝居の稽古の場合、基礎訓練のときの稽古着でも良いですが、なるべく黒っぽい無地のウエアで、上下は統一感があるようにします。服装で、余計な性格を感じさせないためです。Tシャツにデニムでも良いですが、あまり肌が出ない方が望ましいと思います。足元は床の状態によりますが、バレーシューズや体育館シューズのようなものが良いです。カンフーシューズなども可でしょう。厚底のスニーカーはNGです。
芝居が時代物であれば、足袋をはきましょう。靴下は、古典芸能分野では「裸足」と考えられますので、NGです。男女ともに、浴衣を着て稽古することも多いです。立ち座りするときのすその扱いなどがあるので、特に女性は着物で動くことに慣れておくべきです。
ルーティンの稽古(基礎訓練)の場合は、薄物のウエアを着ます。これは動きやすいこともありますが、身体、筋肉の動きが指導者からよく見える必要があるからです。
呼吸訓練のときに、腹筋が動いているか、肋骨の底部・腰のあたりが大きく動くか、胸呼吸をしたために肋骨が上がって、脇腹が狭まってゆかないか、また胸郭が全体に広がっているか、肩や背中が強張っていないか、見てすぐにわかるようにします。
寒いときは、身体を動かさない間は何か羽織っておいて、訓練にかかるときは脱ぐ、というのはOKです。足元も冷えますが、こちらは我慢しましょう。
上衣はだぶつかないもので、なるべく、かぶって着るものにします。ボタンやファスナーは無い方が良いです。身体の線が見えることを嫌がる人もいるでしょうが、上に述べたように、身体の各部分の動きが外から見えることは、指導する上でとても役立ちます。
ウエストはゴムの入ったものにして、ベルトはしないほうが良いです。ただ、腰に圧迫感を与えて背筋を伸ばすとか、呼吸のときに腹筋を鍛えるために圧迫を加えるという目的で、幅広のベルトをすることは、考えられます。この場合、トラウザーズのずり落ちを防ぐというのではなく、腹筋運動の補助具と考えます。その場合は、幅の狭い堅い帯のようなものが良さそうです。浄瑠璃の太夫は、晒の布を腹巻きのように巻き付けると言います。「腹から声を出す」と言いますが、伝統芸能や古典劇の発声では、下腹部の腹筋に力を入れ、声を出すときにおなかを膨らませます。そのときに、この晒が切れるそうです。この呼吸法、発声法は高度ですので、始めのうちは練習しなくて良いです。指導者の目の届かないところでやってはいけません。

足元は、床の状態によりますが、バレーシューズ、体育館シューズのように、底が平べったくて柔らかく、軽いものを履きます。
わたしはモダンダンスを勉強していたために、よほどでなければ、裸足を好んでいます。足が最も自然な状態になりますし、床の状態を感じ取り、床を「噛んでいる」と実感できるからです。コンクリート床や、あまりに冷たい床の場合は、古い足袋を履くこともあります。靴下はいけません。滑りやすいからです。ダンスに適した木の床の上で、回転やジャンプをするなら、決して靴下ばきでしてはいけません。滑りやすくて危険ですし、ちゃんとした服装でレッスンしている舞踊科生に失礼ですから。
スニーカーのように靴底が厚いもの、凹凸があるものは床を痛めます。あまり重い靴を履くと、動きづらくなります。ダメです。

稽古場には汗ふきタオルと、メモするための小さな筆記具、そして水分補給の為の飲み物くらいを持って行きます。飲み物はきっちりと蓋が出来るものに入れます。それ以外は必要ないと思います。本来、稽古場で飲食するのは、言語道断の行為です。稽古場は修行の場で、リラックスする場ではありません。
ICレコーダーなど記録用のものは、指導者・演出者に使用して良いかを確認します。携帯電話は電源を切るか、サイレントモードにします。劇場と同じです。

○腹筋の鍛錬を考えます
日常訓練として「鍛える」必要があるのは、いうまでもなく腹筋です。それも下腹部の腹筋が重要です。古武術や弓術で「臍下丹田」と呼んでいる箇所に、意識をおきます。

お臍を基準にして、その上の腹筋は「おなか」が出っ張ってくるのを防いでくれます。スタイルのシェイプアップに重要な腹筋です。シットアップが一般的な運動です。
仰向けに寝て、上半身を起こす運動を繰り返します。手は、頭の後ろで組んでも、胸の前で組んでも良いです。ヤッ、とばかりに勢いをつけて起きるのでは無く、おなかの部分にかかる加重を感じながら、急がずに上げます。呼吸とおなかの圧迫、状態の立ち上がりを連動させるように、一回毎に息を吐きます。そのとき、数を数えると、声と呼吸の関連づけにもなります。小さな動きで素早く何回も行う腹筋運動もあります。身体の引き締めにはあれが良いようです。声を出すには、良いとは思えません。あのやり方は、息を止めています。
下腹部の腹筋は横隔膜が上下するのを助けます。空気を多く取り入れたり、多く送り出したりするために、重要な役割を持ちます。声を出すのに役立つ腹筋はこちらです。
レッグアップが効果的なのですが、足を上げて保持する運動は腰に負担がかかります。両脚をそろえて上下に動かしたり、両脚を上げて「蟹挟み」のように開閉したり、足を上げて「自転車こぎ」をしたりすることで、鍛えることができます。他にも運動はありますから、運動の本を調べて、自分にあうものを見つけて下さい。
わたしは、両足をそろえて伸ばし、床から少し(20センチくらい)上げたところを「下の位置」、そこから両足を90度に上げたところを「上の位置」とし、下から上、上から下を20回ほど繰り返します。「下」「上」の位置で、必ず一度静止し、流れないように運動します。なぜか学生諸君には、この程度できついらしい。やってみると、上の腹筋運動の方が楽です。
腹筋運動をするときに、呼吸を止めず、動きに合わせて息を入れたり吐いたりしてください。アスリートではないのですから、トレイニングをするときも、台詞を言うつもりでするのが良いはずです。台詞を言いながら行う人もいます。ただ、長い音を伸ばすのは難しいので、歌うのはやめましょう。
腹筋を鍛えるのは声を出す、呼吸調節を行うためです。時々テレビの番組などで、ジムに通って、バーコードのように筋が入った腹筋を作るとか、歌の練習のためにおなかを殴って腹筋が硬くなるように鍛える、とかの様子を見ます。あれは違うと思います。わたしたちは格闘技のために腹筋を鍛えるのではありません。
そもそも、腹筋がコチコチに硬くなって動かなくなれば、空気を取り入れたり押し出したりが、うまくできなくなります。しっかりと力を感じ、大きく動く。その動きが、自由かつやわらかいことが、発声のために必要なのです。オペラ歌手や古典芸能の名優のおなかには、ボディビルダーのような筋は入っていません。相撲取りとボクサーを較べれば、歌がうまいのは相撲取りです。空手家やボクサーは、ロングトーンが苦手です。相撲取りやオペラ歌手の腹筋が弱い、と想う人はいないでしょう。ただひたすら腹筋を鍛えれば良い、というのは間違った考えです。頭を使わない(何故それをするのかを考えない)訓練はやめましょう。
腹筋だけを鍛えずに、背筋も鍛えましょう。腹筋に対して「カウンターバランス」を考え、背筋の力を弱らせないことが、健康のためにも大切です。背筋そらしの運動が適切でしょう。背筋を伸ばすつもりでそらせます。腰のところで曲げるとは思わないことです。中には腰のところで「折る」ようにしている人もいますが、これでは腰を痛めます。背筋はまっすぐだけでなく、斜めに引っ張ったりして、しっかり伸ばしてゆくと良いです。
足腰は基本ですから、声出しとは別に、普段から鍛えておきましょう。スクワットが良いようです。四股を踏むのも良いらしいです。時間がとれるならジョギングも良いですね。
胸筋を鍛えて胸郭を拡げられるようにしておくと、共鳴が豊かになります。腕立て伏せは身体を痛める危険があるらしいので、エクスパンダー(バネでなく、ゴムのようなものが安全でしょう)のような運動具を、両手で引っ張るのが良いように思われます。

○身体のリラックスを考えます 
身体が硬く強張っていては、声がでません。自由な息の流れが遮られてしまうため、肩や胸に力を入れて、無理矢理息を押し出して声にしようとしてしまいます。首や喉の筋肉も硬直していますから、声帯がうまく動かず、むしろ閉じてしまい、息が出て行きません。具体的に言えば、巨大な校旗を支える応援団員のような声しかでません。
それほどでなくても、身体が緊張していては、息がスムーズに流れないし、声帯も正しく合わさってくれないし、身体での共鳴も悪くなります。ですから、身体に無駄な、余計な力が入らない、リラックスした状態を作らねばなりません。力を入れるのは、腹筋だけで十分です。

身体の強張りをとるためにストレッチをします。ゆっくり、なるべく大きく身体を伸ばします。両手を組んで、上に伸ばします。骨盤から背筋にかけて、伸ばします。わたしは骨盤から背筋が真っ直ぐになるようにして伸ばしますが、骨盤と背骨の接合状態に会わせて、少しそるようにして伸ばす人もあります。どちらも可のように思います。
両手を胸の前で組んで、前に伸ばします。このとき引っ張られるのは、肩から背中の部分です。腕を長くする運動ではありません。背中の筋肉が後ろから前へ引っ張られる感じをつかみます。今度は、両手を後ろで組んで、後ろに伸ばします。引っ張られるのは胸の筋肉です。背中側は動きにくいので、腕は身体に直角でも、下に下がるようにしても、どちらでも良いように思います。まあ、前へ伸ばすのと同じ高さで後ろへ引っ張る方が良いかとは思いますが。腕の筋肉を伸ばすのでは無く、背中や胸を伸ばすと考えて行います。

背中や肩は、すぐに強張ってきます。緊張すると肩がすくんだり、肩甲骨が互いに迫ってきます。ですから背中や肩を拡げておきます。両手を上に上げて、腰から前に身体を伸ばし曲げて行きます。背筋がたてに伸びます。背中を横に拡げるためには、両手を胸の前で交差させるのが良いでしょう。肘を横にはって、まず背中の広がりを感じ取ってから、腕を前に持ってきて交差させます。いきなり腕を前に持ってきて交差させると、背中が十分には広がりません。背筋を伸ばすときも、骨盤から上の身体を上に持ち上げるようにしてから前に倒してゆきます。ひたすら「伸ばす」ことです。

首の筋肉はすぐに硬くなります。立っていると、上から頭の重さがかかってきますから、抑え付けられて縮んでいます。凝っています。首を前後と左右にゆっくり伸ばして、緊張をほぐします。曲げるのではなく、伸ばすのだということを、いつも意識します。最初に前に伸ばして行くとき、できるだけ伸ばして前に垂らしてやらないと、その後の伸びが十分になりません。伸ばした上に、反対側からまた伸ばして載せて行く、という感じで行います。首を回すのは、いろいろな角度で首の筋肉を引っ張るために、ひねっているのです。
首の運動の後、上体を前に垂らして、野口体操で言う「ぶら上がり」をします。上体を倒してゆくときに、力の強張りが無いかを感じ、胸にたまっている息を吐き出します。そして無駄な力を降り出すつもりで、腰を支点にして上体を(前後左右に)スイング、(上下に)バウンスします。それから、無駄な力が入り込んでこないように注意しながら、身体を起こします。骨盤から上に向かって、持ち上げます。息は止めないで。まっすぐに上がっていることを心がけながらです。

身体が立ち上がったら、口の中を大きく開けます。まず、口の上部を拡げるために、軟口蓋を持ち上げます。顔の前側、目の裏のあたりで、上あごを持ち上げるようなつもりで、あくびをするように上げます。正しく開けると、頭部共鳴が自然にできて、明るく大きな声が出ます。左右に拡げる時は、口角をあげ、斜め上に開ける感じが良いでしょう。スマイルを心がけると、この形になります。これも声を明るくします。顎を開けるときは、顔の前面で下げるのでは無く、顎のちょうつがいのところでガクッと外すような感覚で、下におろします。口の前の方で顎を下げると、後ろ側が上がってしまい、舌が持ち上がって、息の通り道を邪魔してしまうからです。口の開けは4回ずつくらいが適当でしょうか。
あと、舌の運動をしておくと良いですね。舌の先を上下に動かす。舌の中央部を持ち上げて鼻に息を抜いて行く。舌の両側を持ち上げたり、舌先から巻いてくるというのもあります。得手不得手がありますから、できなくても気にしないで。舌を前に突き出すのも良いかな。左、右に動かすのは、発音に関係しませんが、舌の付け根の運動にはなります。
声を出す前の身体の準備は、時間がかかってよいから、ゆっくり大きく行います。







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Last updated  2020.04.28 09:00:06


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