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2002年12月20日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
娘の高熱が続いて、夕べも夜中じゅうぐずり、
何度も起き出して、水を飲ませたり、
あやしたり、おっぱいを吸われたり・・・。
(春に断乳したはずだったのだが、夏ごろ復活、
 今回は特におっぱい小僧になっている!)

ろくろく眠れぬ夜を過ごした。

5時に起きて、準備をして、
6時ごろには出かけようと思ったのだが、
娘にしがみつかれて、思うに任せず、
結局、出発が6時46分になってしまった。

朝でも娘の熱は39度・・・もう3日目なので、
とても心配になる。大丈夫だろうか?
でも、私が病院へ行かないわけには行かないし
母に任せていくしかない・・・。

夕べ借りてきたビデオで、気がそれた隙に、
こっそりとうちを出る。

電車で行くことも考えたが、荷物もあるし、
車で行くことにする。
早朝だけあって、道は空き空き、信号も青ばかり。
いつも40分掛かる道のりが、正味30分ほどで着いた。

途中だんだん日が昇ってきて、
明るい空になってきた。数日続いた曇り空ではない、
今日は晴れだ。何となく気分も明るくなる。

夫のベッドは窓際にある。
(とても明るくて外も見えるので良かった。)
起き上がって、本を読んでいたが、
首から水分補給の点滴を入れていて、
座る姿が、なんだか窮屈そうに見えた。

夕べ、礼拝に通っている教会の牧師先生が、
見舞いに来て下さり、祈っていって下さったそうである。

気持ちも落ち着いているようである。
覚悟は決まったと言っていた。

私はベッド脇の椅子に座り、
何ということのない話をする。
もうあとちょっとで、切られて、胃を取られてしまうのか。
・・・なんだか信じられない・・・。

あと30分で手術室に入るという時になるまで、
静かなものだった。
横たえられ、腕に点滴が入り、
青いシャワーキャップのようなものをかぶせられる。

眼がいやにきれいに澄んで見えて、
何だか、切なく哀しかった。

5分前、毛布の下でパジャマを脱がされる。

「頑張ってね」と毛布の下の手に触れる。
私の手を、強い力で握ってくれた。

ベッドは運んでいかれた。

手術室の前で「祈ってるからね」
夫はうなずいて「行って来ます」と言う。
とてもあっさりと、夫を乗せたベッドは、
ドアに吸い込まれていった。

ぽつんと残されて、
後はただ待つだけ・・・、
うちに電話をすると、娘の熱が7度台に下がったという。
心配事が一つ減った。



手術室から看護婦さんが出てきて、
「ご主人指輪をされていたので・・・」
と結婚指輪を手渡される。
身につけるものは全て取らなくてはならないのだ。

ずっと彼と共に在った、大きな指輪。
哀しい思いで手に取る。
でも、また再び彼にしてもらわなくては。

夫のベッドがあった部屋に戻ると、
看護婦さんが、待機する部屋に案内してくれた。
3階分の吹き抜けのある、明るいアトリウム。

でも、連絡できるのは、
ここだけ(呼び出しの放送が入る)なので、
何かあった時のために、ここをずっと動くなという話。
トイレに行くにもナースステーションに断るのだという。
お昼は?と訊くと、買ってきて食べてくれとのこと。

院内のレストランくらい行けると思っていた。
昨日言ってくれたら、お弁当でも持ってきたのに。

10時台に携帯が鳴る。電源を切り忘れていた。
うちの電話が壊れたのだそうで、
母は今、外からかけているそうだ。
確かに5年、いや6年以上使ってる電話なのだが、
よりによって今日壊れるとは。
母は仕事上の連絡が出来ないとパニック状態。
そう言われても、私はここを動くことは出来ないし、
「NTTに来て貰って」と言うことしか出来なかった。


昨日の術前説明のことを思う。

私たち患者とその家族には、説明の度に、
いろんなもしも・・・。が提示される。
もしも、早期じゃなかったら、
もしも、転移していたら、
もしも、手術中に心筋梗塞や脳梗塞が起こったら、
もしも、再発したら、

もしも、そうだったとしたら、
私たちはその陰に見え隠れする死の影を、
受け容れて下さいと言われているのだ。

一つ一つがとても重い。
そんなこと、簡単に受け容れられるわけはない。
でも、医師や看護師は、当然のように、
それを口にするのだ。
精神的な動揺に対するケアはなにもない。

事実だから。
低くても高くても、紛れもなく可能性は存在するから。

・・・言うのは当然なのかもしれない。
知らせる義務、知る権利。
でも、それを聞く度に、
ひどく理不尽な扱いを受けている気がする。
こんなに暴力的な扱いを受けたことがないように思う。
一体何故なのだろう?・・・


色んな思いが頭に渦巻く。

夫は今頃、手術室の中で、
どうなっているのだろう?

1時45分ごろ、
「手術が終わりました。手術室までお越し下さい」
との放送が入る。

はじかれたように、立ち上がる。
室内にいた人たちの目が注がれるのを感じながら、
手術室に急ぐ。

昨日説明をしてくれた医師が迎えてくれた。

手術は無事に終わったようだ。

説明によれば、大体3分の2か、4分の3を切ったということだ。

予想外に広がっていれば全摘もありうるとのことだったが、
その可能性が消えて、ひとまず安心する。

「見える範囲では取り切りました」
「肉眼では転移は認められませんでした」
確定ではないにしろ、
望んでいた言葉だった。

切った胆嚢と、胃を見せてもらう。
(胆嚢を取るのは、後遺症で胆石が出来がちだからという)
夫が「写真を撮っておいてね」と言っていたので、
デジカメで写真を撮る。

胃は、思ったほど気持ちの悪いものではなかった。
ここです、と示された患部は、
よく見なければわからないほどの襞がよっていた。

(続く)







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最終更新日  2002年12月25日 00時37分17秒
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