気になる俳句「牛を食うのですか」気になる俳句・・・ここでは秀句というよりちょっと変だなあという句を取り上げます。初心者および投句者クラスの句は取り上げません。総合誌、句集などに掲載された句で、誤りを指摘するよりも、そこからなんらかの共通の問題点が見えてくる句を取り上げます。 牛を食べるの・・・? 草青む伸びきらぬうち牛食らふ 檜 紀代(「俳句」2007年2月号) この句はいくつもの問題点があります。 1、「草青む」という動詞を含む季語にこだわって、動詞が3つにもなったこと。「伸びきらぬ」の複合動詞を2つに考えると4つ。 2、そのため主体が草から牛に移動してしまったこと。しかもそれを作者が気付いていないことです。 青む&伸びきらぬ=草 食らふ=牛!と作者は書いたつもりですが、普通に「牛食ふ」といえば、人間が牛を食うことになりますね。 3、これはわざわざ「牛」を出してきた「主語病」のいい症例です。では治癒方法はといえばこれは難しい。難病です。 4、名詞+食ふ・食らふは作者にかかります。「**を食う」であって「**が食う」ではありません。 水飲むが如く柿食ふ酔のあと 高浜虚子 河豚食ふや伊万里の皿の菊模様 水原秋桜子 朝刊を大きくひらき葡萄食ふ 石田波郷 葡萄食ふ一語一語の如くにて 中村草田男 下顎を動かし食らふ熱き藷 森澄雄(鯉素) ジャンル別一覧
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