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テーマ:楽しい俳句(372)
カテゴリ:句会
第20回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ新型コロナウイルス感染症はなんとオミクロン株まで登場。COVID-19との闘いはまだまだ予断を許しません。俳句で免疫力アップです。
第20回鴎座通信句会は42名208句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ 〈第20回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 6 日本列島感染ゼロへ黄落期 14ずかずかと来る誕生日竜の玉 25冬紅葉わたしの噓はあなたの噓 特選31返り花人差し指でささないで/小柳梓 78自分史に林檎の蜜を少し入れ 139手の届きそうなところに烏瓜 191ゆびきりは噓のはじまり日記買う (選評)特撰にいただいた31「返り花」の句。返り花とは「二度咲」「狂い咲き」などのこと。ここでは老境に入った作者自身のことであろうか。しかし、そんな「返り花」と指を差さないでよ。私はまだまだ元気ですよというのであろう。そんな作者の思いに共感した。 6「日本列島」の句。コロナ感染者数が激減し、収束かと思われたが新たに感染力の高いオミクロン株が出現した。今後の第六波が懸念される。「黄落期」が減少と響き合う。然り、感染ゼロになって欲しいもの。 14子供の頃に比べ晩年の一年は早い。作者の年齢は特定されていないが「ずかずか来る」が容赦のない実感で、ある程度のお年が伺える。竜の玉で明るい老後となるのだ。 25「冬紅葉」の句。まさに以心伝心であり諧謔性あり。噓の内容にもよるが怖い一句でもある。 78「自分史」の句。自分史に事実を誇張し面白く語ろうと言うことか。あるいは今迄の人生を振り返ると何ごとも頑張り過ぎた。これからの人生はのんびり楽しみたいと言うことか。「蜜を少しいれ」で優しい句となった。 139「手の届き」の句。烏瓜を取りたいが、もう少しの所で手が届かない。そんなもどかしさが良く出ている。ちなみに烏瓜の種を財布に入れて置くと金運の御利益があるとか。 191「ゆびきりは」の句。幼い頃、誰もが経験したであろう指切りげんまん。約束を果たせなかったことも数々あった。そんな思いが噓の始まりとは言い得て妙である。真っ白な日記には何と書かれるのか想像が膨らむ。 小髙沙羅(副編集長)選 4女子会の夫を肴にきりたんぽ 39蜜柑むくもっとも暇な小指かな 99秋刀魚焼くただ焼くだけと言いながら 100草もみじ土竜除けには悩まされ 122外は木枯らし期限の切れた非常食 134カップ麺カップ焼きそば文化の日 特選201一陽来復八十過ぎもサユリスト/松田ひろむ (選評)特選にいただいた98「一陽来復」の句。一陽来復とは陰が極まって陽にかえる。悪いことの後の幸運、冬が去り春が来るなど、実に目出度い。サユリストは何歳になっても少女役が似合う彼女のファンなのだろう。そんな小百合と青春時代をともに過ごした作者がここにいる。いまの八十代はまだまだ若い。老いを忘れさせてくれる一句に共鳴。 4「女子会の」の句。女子会に紛れこんだ夫なのだろうか。「肴」といいつつ愛されている夫と分かる。 39「蜜柑むく」の句。いわれてみれば「暇な小指」に納得。 99「秋刀魚焼く」の句。確かに「ただ焼く」だけで旬のごちそう。ただ不漁つづきが心配。 100「草もみじ」の句。土竜除け、鼠除けは知恵比べだが、なかなか人間は勝てない。 122「外は木枯らし」の句。非常食の期限切れならちょっとうれしい。非常食の出番はいらない。この場合の非常とは木枯しである。 134「カップ麺」の句。すっかり定着したカップ麺。そんな文化の日の日もいいが、作者はそれを批判的に考えているのかも。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 3紅葉狩頭を空にする時間 69舌頭に生まれる一句薬喰 78自分史に林檎の蜜を少し入れ 139手の届きそうなところに烏瓜 144初霜や天気予報士季語を添え 163紅葉散る真・行・草に変異株 特選203花に替へ散歩帰りのほうれん草/高良和子 (選評)特選に頂いた203「花に替へ」の句。生活感覚のホウレンソウの斡旋が見事。コロナ禍のいまホウレンソウの緑や赤に元気がもらえそう。 3「紅葉狩」の句。コロナ禍も六五〇日が過ぎた。紅葉を愛でながら頭も気持ちもリフレッシュしよう。そんな時期に来ているかも。 69「舌頭に」の句。季語の薬喰いで自ずと秀句が生まれたのだろう。「舌頭に」とは芭蕉の「句調はずんば舌頭に千転せよ」(『去来抄』)を踏まえていることはいうまでもない。大胆な句。 78「自分史に」の句。ありのままでは、物足りないちょっと小説的にしようなんて。隠し味の林檎の蜜が効いている。 139「手の届きそうな」の句。取ろうと思って近づくと、ほんのちょっと届かない。手にれるまでは宝石に見えるのだ。そんな烏瓜の在り方を確かに捉えている。 144「初霜や」の句。四季と気象と季語は密接である。テレビ俳句というものの、素直な感動に拍手。 163「紅葉散る」の句。「真・行・草」という表現が斬新。変異株との取合せの飛躍にも共感した。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 47一握の鬱煮大根のほっこりと 特選74計るたび縮まる体あんぽ柿/小髙沙羅 109白秋忌孫の来て良し帰って良し 123人間に臍じゃがいもにクレーター 151老うたびに打算が消える鰯雲 173風花や好きな服から捨ててゆく 203花に替え散歩帰りのほうれん草 (選評)特選にいただいた74「計るたび」の句。人間年を重ねれば皆同じ思いだろう。先日白内障の手術のため身長を計ったら三センチ縮まっていた。小学六年の時は学校中で一番大きく朝礼など並ぶ時は膝を軽く折っていた。それがいまではちょっとなさないことに。季語のあんぽ柿がそれを救ってくれている。明るく前向きに老いていけそうな句である。 47「一握の」の句。鬱は鬱でも自分だけで思っているようなたいしたことのない鬱なのだ。大根を煮ているだけで心がほっこりするから。 109「白秋忌」の句。実感としていただいた。来た時はかわいい、夢中になって遊んであげる、自分も勿論楽しい、が帰った後はぐったり、大人が二人ハ―とため息が出る、その繰り返しである。ただ季語の白秋忌は動きそうに思える。 129「人間に臍」の句。人間にお臍は当たり前だが、じゃがいもにクレーターが発見である。じゃがいものくぼみを包丁で削り出すのは結構たいへんだ。包丁の端で丁寧にとる。生活感たっぷりの句である。 151「老うたびに」の句。一口に言えば年をとると仏様みたいになるということか。競争心もなくなりむきになって喧嘩もしたくない、ただただ穏やかにと願っている。鰯雲のように、爽やかな気分で過ごしたいのだ。 173「風花や」の句。普通は嫌いな服から捨てるものなのに逆を言っているところが面白い。作者はやはり嫌いな服から捨てていくと思う。風花がはかなげで捨てられるにぴったり。 203「花に替え」の句。本当は花を買って帰ろうと散歩中は思っていたが新鮮なほうれん草に出合いこれは買わなくてはと急遽替ってしまったのだ。さすが主婦。 鈴木 砂紅(招待)選 13オリオンの数式を解く霜夜かな 74計るたび縮まる体あんぽ柿 78自分史に林檎の蜜を少し入れ 114縁側の息の合わない蜜柑二個 148不景気をおかめが笑ふ酉の市 160逆さまの箒勤労感謝の日 特選186白鳥を数え喪中欠礼を数え/松田ひろむ (選評)特選に頂いた「白鳥」の句。喪中欠礼葉書は亡くなった人の数。白鳥は生きる命の数。両方の数を目で確認しつつ、作者は自らの生死と向き合う。映画「ノマドランド」で、余命宣告を受けた女性が、岩場の穴から巣立つ無数の若鳥を見つめるシーンが甦る。 13「オリオン」の句。オリオン座に関する難しい数式のあれこれを解こうとする作者。その愉しげな妄想に付き合うのも俳句の醍醐味。 74「計るたび」の句。目・歯・髪の衰えと共に、身の丈の縮む哀しさには大いに共感する。それにしても皺の寄った「あんぽ柿」は旨い。 78「自分史」によくある記憶違い、書き間違い、ささやかな修飾。人生にはちょっぴり蜜が必要だ。 114「縁側」の句。二個の蜜柑を前に、何だか息の合わない老夫婦。その風通しのよさが長続きの秘訣かもしれない。 148「不景気」の句。嘲笑ではなく、苦笑でもない。酉の市に集まる人々が求めているのは福を呼び込む温かな笑い。 160「逆さま」の句。長居の客を撃退する逆さまの箒。それを「勤労感謝」の証と言い換えた作者の巧みなトリックが愉しい。 松田ひろむ(代表)選 準特選13オリオンの数式を解く霜夜かな/磯部薫子 14ずかずかと来る誕生日竜の玉 特選28白障子開けてやんごとなき自由/鈴木砂紅 32ハンドルもブレーキもなく枯野ゆく 40火に油お詫びメールや十二月 41暦買う我は一村夫はモネ 60靖国の英霊水漬く背美鯨 78自分史に林檎の蜜を少し入れ 134カップ麺カップ焼きそば文化の日 準特選168陽の匂い地べたの匂いふかし芋/古川塔子 191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う (選評)特選の28「白障子」の句。白障子ならぬ皇室から脱出した方のことと読んだ。「やんごとなき」は高貴または已むに已まれぬの意味。白障子一枚を開けると違った景が見えてくる。自由はまた大いなる困難を覚悟することでもある。 準特選にいただいた13「オリオンの」の句。冬の星座には大三角などいといろな「数式」がある。霜降る夜であるが、作者はそんな数式に挑戦している。それはまた俳句に賭ける決意のようでもある。 おなじく準特選にいただいた168「陽の匂い」の句。ふかし芋であるから室内の厨だろう。したがって「陽の匂い」「地べたの匂い」は芋そのもののに籠められているのだ。なんといっても地べたへの共感が心地いい。 14「ずかずかと」の句。時は容赦なく流れ、誕生日も目出度いだけではないが、竜の玉が作者の思い。 32「ハンドルも」の句。自動車の自動運転を思った。しかし未来は枯野なのだろうか。 40「火に油」の句。危機管理が出来ないとまさに火に油を注ぐことになる。だれにでもあることだが某都議や某大学の理事長のことかも。それも年の瀬である。 41「暦買う」の句。一村は田中一村のこと。 奄美を主題に独特の画風を確立したが、画家としては「売れない」ままであった。そんな一村に心を寄せる作者である。 60「靖国の」の句。季語はセミクジラ。絶滅危惧種である。「水漬く」はたちまち屍を呼ぶ言葉。英霊といっても水漬く屍である。 78「自分史に」の句。自分史といっても、ちょっとは蜜がないとねという句。惜しむらくは下五が連用形であること。ここは終止形にしたかった。 134「カップ麺」の句。日本の文化もカップ麺ほどの軽さになったのか。それは作者の嘆きでもある。 191「ゆびきりは」の句。最近の子供も指切りをするのだろうか。前句の自分史と同じように日記にも蜜が欲しいもの。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位78 自分史に林檎の蜜を少し入れ ⑧宮 沢子 二位14 ずかずかと来る誕生日竜の玉 ⑤増田萌子 二位143また変える座右の銘や神の留守⑤川崎果連 二位201一陽来復八十過ぎもサユリスト⑤松田ひろむ 五位13 オリオンの数式を解く霜夜かな④ 磯部薫子 五位39蜜柑むくもっとも暇な小指かな④ 石口 榮 五位74計るたび縮まる体あんぽ柿 ④ 小髙沙羅 五位91一日が短編小説雁渡る ④ 小平 湖 五位160逆さまの箒勤労感謝の日 ④ 小平 湖 五位191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う④ 増田萌子 十一位1朝寝朝風呂勤労感謝の日 ③ 吉村きら 十一位28白障子開けてやんごとなき自由③ 鈴木砂紅 十一位79寂聴逝く憲法に似る丸き顔 ③ 木野俊子 十一位114縁側の息の合わない蜜柑二個③ 吉村きら 十一位122外は木枯らし期限の切れた非常食③翠 雲母 十一位165銀杏降り積む自分史は袋綴じ③ 鈴木砂紅 十一位168陽の匂い地べたの匂いふかし芋③ 古川塔子 (第20回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1朝寝朝風呂勤労感謝の日 3 吉村きら 2七五三金精神(こんせいじん)の斎庭(ゆには)にて0荒井 類 3紅葉狩頭を空にする時間 2 小髙沙羅 4女子会の夫を肴にきりたんぽ 2 石口りんご 5旧家とはトイレ遠いよ冬が来た 0 中村ふみ 6日本列島感染ゼロへ黄落期 1 安原南海子 7過ぎゆきてまた気にかかる帰り花 0 岩渕純子 8富士からの入日遮り芒原 1 安藤利亮 9冬ぬくし先考の居る庭木立 0 岩渕純子 10「お風呂沸きました」立冬の電子音1 石口 榮 11ときどきは団栗に貸す掌 0 小平 湖 12夕暮れてワイングラスで新酒汲み 0 津田文江 13オリオンの数式を解く霜夜かな 4 磯部薫子 14ずかずかと来る誕生日竜の玉 5 増田萌子 15丹精を父に教わる菊の花 0 川崎果連 16甘党が揃い茶の花日和かな 0 川目智子 17股倉に似たる大根まだ売れず 1 安藤利亮 18現世はジグソーパズル斑霜 0 須田正子 19小抽斗し隅のルージュを宇津田姫 0 飯島 智 20暮の秋喪中はがきの少なからず 0 津田文江 21守口漬の大根なんと二メートル 0 古川和美 22マトリョーシカ厚着の過去が解されて1 行成佳代子 23耳鳴りも長き付き合ひ残る虫 0 中村ふみ 24人呼べば犬がふり向く冬の道 1 福島芳子 25冬紅葉わたしの嘘はあなたの嘘 2 木野俊子 26金木犀芳香放てる微風かな 0 清子 27かわたれに子規の目線の白障子 1 近田吉幸 28白障子開けてやんごとなき自由 3 鈴木砂紅 29ぜったいに動かぬ目高冬の水 0 福島芳子 30寝て起きて動いて食ふて十二月 0 百目鬼英明 31返り花人差し指でささないで 2 小柳 梓 32ハンドルもブレーキもなく枯野ゆく1 川崎果連 33ひだる神落葉浄土の道なりに 0 古川塔子 34十六夜月雲間めがけて走る走る 0 清子 35チェーンソーに風花おりる里の山 1 磯部薫子 36本当は来たくなかった枯野かな 1 川崎果連 37縞馬の縞の法則林檎熟る 1 須田正子 38枯れ野きてメダカを道連れしたくなる0 翠 雲母 39蜜柑むくもっとも暇な小指かな 4 石口 榮 40火に油お詫びメールや十二月 1 百目鬼英明 41暦買う我は一村(いっそん)夫はモネ 1 森谷路子 42柿食らう風天の猿人滅ぶ 0 信岡さすけ 43一葉の絶たれた恋路照紅葉 0 磯部薫子 44今日からは暖房点けてお湯出して 0 白石みずき 45雪女淋しいときは甘えてよ 2 石口 榮 46挨拶よりまずは一献温め酒 0 白石みずき 47一握の鬱煮大根のほっこりと 1 古川塔子 48どこまでも漂う軽石そぞろ寒 0 白石みずき 49銭湯に富士をかくまう神無月 0 川目智子 5幸せは空一杯のいわし雲 0 高良和子 51紅色に光を変えて落葉風 0 石黒宏志 52山茶花の垣根を高く心にも 0 岡崎久子 53短景や雨戸の穴の逆さ富士 0 宮 沢子 54ほどかれてゆく冬帽子細き指 0川崎果連 55退屈な手足日向ぼこの子猫 0 岡崎久子 56ロシア風のマフごすろりの女の子 0 栗原かつ代 57母の晩年われの晩年烏瓜 1 増田萌子 58どぶろくをミルクと幼な飲みたがり0 白石みずき 59柚子実る十三年は短くて 0 高良和子 60靖国の英霊水漬(みづ)く背美鯨(せみくじら)1荒井 類 61冬はじめ黄色の薔薇を探索に 0 斎藤 藍 62国破れ物乞ひマスクし道に座す 0 飯島 智 63見においでぶどう紅葉と富士の山 0 小髙沙羅 64掘り返す浅間泥流雪蛍 1 近田吉幸 65空残し寒灯入る石畳 1 飯島 智 66修繕の足場に揺らぐ寒昴 0 行成佳代子 67式部の実思いでぽろぽろ飛び出して0 小林則子 68捨てられし人形(ドール)ぷかぷか冬の海0荒井 類 69舌頭に生まれる一句薬喰 2 鈴木砂紅 70倦怠と無聊を隠すマスクかな 0 荒井 類 71ぜんざいの甘味さっぱり冬うらら 0 荻野樹美 72寝で待ちて病棟ロビー冬曙 0 森谷路子 73寒けれど芋チップスに恋の列 0 近田吉幸 74計るたび縮まる体あんぽ柿 4 小髙沙羅 75雪椿海坂藩の母ならば 1 松田ひろむ 76高速と新幹線に売る冬田 0 川目智子 77おでん煮るまた筆順を教えつつ 0 増田萌子 78自分史に林檎の蜜を少し入れ 8 宮 沢子 79寂聴逝く憲法に似る丸き顔 3 木野俊子 80骨のみにあらず煮凝のするどきは 0 後藤よしみ 81挨拶はまだまだだけど蜆蝶 0 小柳 梓 82銃口の遠き照準烏瓜 2 後藤よしみ 83甘酒屋昼から人の声むせて 0 福島芳子 84まほろばのチャペルの鐘や憂国忌 0 飯島 智 85現世とあの世の境日向ぼこ 2 磯部薫子 86喜寿過ぎて遊びせんとや雪蛍 0 近田吉幸 87混じり合う鯨の涎汚染水 0 後藤よしみ 88地下街の人も鼠も冬支度 1 百目鬼英明 89フライパンオムレツ作り今朝の秋 0 斎藤 藍 90山粧う針葉広葉織りなせり 0 荻野樹美 91一日が短編小説雁渡る 4 小平 湖 92梟や俳句の知恵を借りました 0 翠 雲母 93ウェディングフォトの一団芒原 0 森谷路子 94百均の暮らしに慣れておでん鍋 1 宮 沢子 95真知子巻どんな海苔巻冬ぬくし 0 石黒宏志 96どうしても金の溜らぬ冬の鵙 1 木野俊子 97菊花展そっとスマホに持ち帰る 0 小髙沙羅 98シャリシャリと米研ぐ音の新しき 0 清子 99秋刀魚焼くただ焼くだけと言いながら1 石口 榮 100草もみじ土竜除けには悩まされ 1 古川和美 101七五三親子とけあう第一歩 0 吉村きら 102古里の秋継ぐや継がぬや修行僧 1 安原南海子 103連ドラの盛られし初回おでん鍋 0 信岡さすけ 104手袋のどの掌たりとも皆違う 0 後藤よしみ 105川音を塗り替えて行く錦秋 0 岡崎久子 106鳩居堂に香を求め時雨傘 0 斎藤 藍 107寒き朝体に響く骨の音 0 石黒宏志 108新牛蒡母の匂いの台所 0 小柳 梓 109白秋忌孫の来て良し帰って良し 1 安原南海子 110最終便風邪のウイルス乗って来る 0 百目鬼英明 111映えという言葉あやつりカイロ貼る0 信岡さすけ 112秩父夜祭口が見上げる屋台かな 0 行成佳代子 113冬の雷妻の言葉を聞き違え 1 安藤利亮 114縁側の息の合わない蜜柑二個 3 吉村きら 115幾度の寒雷胸に白寿尽く 0 行成佳代子 116枯芙蓉甘え上手になれぬまま 1 吉村きら 117黒海鼠掴めないけど食べられる 1 栗原かつ代 118油揚がうどんに二枚冬に入る 0 石口りんご 119秋がない取り越し苦労のひまもない0 小髙沙羅 120飴一つ喉のムズムズ咳止める 0 百目鬼英明 121アララギの歌人の書斎冬ぬくし 1 荻野樹美 122外は木枯らし期限の切れた非常食 3 翠 雲母 123日の短か腰痛のあり頭痛あり 0 木野俊子 124古包丁の切れ味勤労感謝の日 0 行成佳代子 125無数のガス漏れ十二月八日 0 木野俊子 126一葉忌過ぐ珈琲は粗挽き派 0 小平 湖 127帰る子に蜜柑もたせる日曜日 0 石口りんご 128手袋の拳の形崩さざる 0 後藤よしみ 129人間に臍じゃがいもにクレーター 1 石口りんご 130晩年といわるるは死後シクラメン 2 松田ひろむ 131マンモスの吐息連山紅葉す 0 須田正子 132クエ鍋に誘われて父若返る 0 松田ひろむ 133生きるとは好きで嫌いで着ぶくれる1 磯部薫子 134カップ麺カップ焼きそば文化の日 2 石黒宏志 135耳痛く風からからと枯芭蕉 0 田辺 花 136尾白鷲子は仰向きて口を開く 0 中村ふみ 137天神様朱の太鼓橋池に映え 0 清子 138来る秋を信じつつじの伸びさかん 0 高良和子 139手の届きそうなところに烏瓜 2 増田萌子 140レトルトのおでんの夕餉夫の留守 0 森谷路子 141煮凝や先の見えない頼りなさ 1 岩渕純子 142冬のメダカ確かめに来る原発廃炉 0 翠 雲母 143また変える座右の銘や神の留守 5 川崎果連 144初霜や天気予報士季語を添え 2 安原南海子 145太陽を浴びて自由な赤とんぼ 0 古川和美 146やわらかきギターの調べ落葉降る 1 荻野樹美 147印影の縁(ふち)の欠けたる憂国忌1 石口 榮 148不景気をおかめが笑ふ酉の市 2 須田正子 149寄せ鍋に今日一日を語り出す 1 古川和美 150七五三パーテーションでお参りし 0 斎藤 藍 151老うたびに打算が消える鰯雲 1 小柳 梓 152少年は解を求めて冬銀河 1 栗原かつ代 153わさわさと息しらしら枯蓮 0 古川塔子 154眼を病んでこころ開いて石蕗日和 0 宮 沢子 155ややこしい姉妹であれば花八手 1 田辺 花 156ぐずる児も黙る太鼓や七五三 0 安藤利亮 157マスク以外なんにもせずにひと日過ぐ0 荒井 類 158錦木の昭和が消せぬ男の背 1 小柳 梓 159髪巻きて夜長の老いをさらしけり 0 中村ふみ 160逆さまの箒勤労感謝の日 4 小平 湖 161点滴と二人三脚冬温し 0 川目智子 162枯蟷螂愛が無償になる前に 1 栗原かつ代 163紅葉散る真・行・草に変異株 2 須田正子 164冬温し病気自慢を聞いてやる 1 小林則子 165銀杏降り積む自分史は袋綴じ 3 鈴木砂紅 166改憲の闇が咳き込む冬の雷 0 翠 雲母 167幼子のつぶらな瞳冬帽子 0 津田文江 168陽の匂い地べたの匂いふかし芋 3 古川塔子 169四苦八苦人はときどき凍蝶に 0 吉村きら 170焼き芋の二分の一の熱さかな 1 白石みずき 171針穴をゆっくり通り冬の富士 0 福島芳子 172日向ぼこここが夫との指定席 0 小林則子 173風花や好きな服から捨ててゆく 1 鈴木砂紅 174病棟の小さな鏡冬の揺れ 0 小林則子 175風呂吹は自己流だけど夫婦の日 1 小平 湖 176奪衣婆も一息つくや小春空 1 近田吉幸 177冬青空二十三区を走る猿 0 鈴木砂紅 178校舎よりブラスの響き冬銀河 0 森谷路子 179後ろ手にエプロン結び鰤起し 2 信岡さすけ 180冬帽子一寸斜めに町に出る 2 斎藤 藍 181冬温し老犬ひがなうとうとと 0 岩渕純子 182立冬や朝の薄茶の旨かりき 0 津田文江 183ネーミングで勝負している冬苺 1 宮 沢子 184ひとつとして同じものなき朴落葉 0 岩渕純子 185見せられぬ素顔マスクが外せない 1 岡崎久子 186白鳥を数え喪中欠礼を数え 1 松田ひろむ 187都心へ通う禅寺塒の冬鴉 0 安原南海子 188身にしむや散歩の道も人避けて 0 中村ふみ 189日記果つ小さな文字まで読み返し 0 小林則子 190中傷の北窓塞ぐNETの世 0 石黒宏志 191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う 4 増田萌子 192我が魔女に毒りんご焼く妙な老い 0 信岡さすけ 193日向ぼこAB型の五黄の寅 0 岡崎久子 194冬の陽に牛のゲップのメタンガス 0 飯島 智 195あるときは人に疲れて七五三 0 古川塔子 196味見する栗の入りし菓子の数 0 古川和美 197皇帝ダリアすっとく立ちて咲きにけり0 清子 198補聴器をはずししじまの深き秋 1 高良和子 199黄葉にぽつり踏切現れぬ 0 荻野樹美 200枯芙蓉喧嘩するよう枯れている 0 福島芳子 201一陽来復八十過ぎもサユリスト 5 松田ひろむ 202小春日のスロージャズなら踊る猫 0 栗原かつ代 203花に替へ散歩帰りのほうれん草 2 高良和子 204毛糸玉は地球のひ孫そのひ孫 2 石口りんご 205デイサービスのバスを降ろされ冬夕焼0 安藤利亮 206熱燗や荘内なまり心地よく 1 津田文江 207湯豆腐の静まりに息動かざる 0 田辺 花 208首里城の散骨めきて神の旅 1 川目智子 (第21回鴎座通信句会)投句締切=12月26日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年12月07日 02時53分34秒
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