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テーマ:楽しい俳句(373)
カテゴリ:句会
第29回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ
![]() <第29回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 16山梨で迎火のはず東京で 特選41新涼や吊り広告の無き車内/安藤利亮 58曖昧な明日へ伸び行く凌霄花 69雑談をはみ出す本音秋扇 79八月のマトリョーシカは銃抱く 110にぎり飯刈田に礼を言いながら 149夏の風邪遠慮しながら咳をする (選評)特選にいただいた41「新涼や」の句。端から端まで吊り広告があると車内も鬱陶しい。吊り広告のない電車が走っているのだろうか。吊り広告が無いことの発見。車内を通り抜ける風が心地良い。正に新涼である 16「山梨で」の句。コロナ禍で帰省出来なかったのであろう。故郷への思慕と祖先崇拝はつづくが、それも東京でというのは切ない。 58「曖昧な」の句。明日のことは誰も分からない。だから人生は愉しいのだ。凌霄花は上へ上へと伸びる。花言葉は「名声」「名誉」。曖昧と言いながら未来は明るい。 69「雑談を」の句。雑談も長いと本音がぽろっと出る。その本音を隠す秋扇だろうか。 79「八月の」句。ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上になる。兵不足がマトリョーシカにまで銃を抱かせた。八月は重く色々な出来事と重なる。 110「にぎり飯」の句。嫌みのないサッパリした句。今食べている握り飯も昨年、目の前の田圃で取れた物。感謝の気持ち。 149「夏の風邪」の句。コロナ禍にあって人前で咳をするのも憚られる。咳は冬の季語であるがこの場合は気にならない。 小髙沙羅(副編集長)選 26コロナ禍の海の日山の日持て余す 53音ばかりの花火だけれど背を押され 100ひらがなの暮し朝顔は水色 107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日 特選193流れ星白河の関いま越せり/後藤よしみ 209夾竹桃が嫌いでしたね志乃さん 214見えそうで見えぬ晩年烏瓜 (選評)特選の193「流れ星」の句。白河の関はいうまでもなく東北の古代の関所。今年の高校野球、甲子園では仙台育英高校が優勝し、始めて優勝旗が白河の関を超えた。忘れられない感動の一句。季語の流れ星は希望の星の象徴。 26「コロナ禍の」の句、たしかに「海の日山の日はなんだかぴんとこない日。 53「音ばかりの」の句。明治神宮の花火は音だけと思っていたが、よく見るとなんと我が家からも見えた。音だけだけでもわくわく。 100「ひらがなの」の句。ひらがなの暮しは平穏の意味だろう。朝顔も平凡な水色がいい。 107「黒薔薇一輪」の句。黒薔薇がなにげなく八十過ぎを表している。「過ぎも」の「も」に思い。 209「夾竹桃が」の句。夾竹桃は焦土の花と いう。志乃さんを忘れないやさしい作者。 214「見えそうで」の句。明日も晩年もまったく見えない現代。納得。烏瓜もぶらぶら。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 9酔えばすぐ突撃という生身魂 32関係は確かにあった黄金虫 37新涼や手抜き料理もそろそろに 69雑談をはみ出す本音秋扇 128閣僚に鳥語の混じる秋初め/高橋透水 158敗戦忌私も語り部のひとり 174暑すぎて書いてまた消す予定表」 (選評)特選にいただいた128「閣僚に」の句。安倍晋三元総理がテロによりなく亡くなられ、その直後から連日報道されている閣僚などと宗教団体との関係。釈明会見の閣僚の歯切れの悪さ。それを「鳥語」とは面白い表現、季語の「秋初め」の斡旋もいい。 9「酔えばすぐ」の句。七十七年前の戦争で九死に一生を得た老人の辛い記憶は生涯忘れることはないのだろう。 32「関係は」の句。この句は謎解きのようだが、今なら国会議員と宗教団体との繋がりだろう。それを黄金虫にも聞いてみたい。 37「新涼や」の句。暑い日が統くと少し手抜き料理になることもある。季語は「新涼や」でこれからは食欲の秋美味しく作り美味しく頂きたい。 69「雑談を」の句。扇で口元を隠しつつときどき本音が、だから雑談は面白いのだ建前ぱかりじやねえ。 158「敗戦忌」の句。終戦は私が一歳の時なので戦争の記憶はないが、子供の頃を思うと言いたいことは当然ながら戦争は絶対反対だ。 174「暑すぎて」句。今年の夏は危険な暑さで何度も予定を変更した作者、書いて消すに実感。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 56夏草やふるさと背負い甲子園 特選73ウクライナの水は澄まない水の秋/石口りんご 162グラジオラス結婚指輪は回らない 172秋澄むやマスクをそっと外す時 176さみしさは鶏頭のせい君のせい 193流れ星白河の関いま越せり 201国葬も癒着もすべて霧の中 (選評)特選にいただいた73「ウクライナ」の句。こんなに長い戦いになるとは誰も想像していなかった。当たり前の生活が大きく崩れ水澄む気持のいい秋を迎えることが出来ない。本当に気の毒で他人事とは思えない。 56「夏草や」の句。自分が生まれ育った土地は意識しなくても愛しているのだ。だから自分のためだけではなく頑張っているのだ。夏草が球児の瑞々しさを象徴しているようだ。 162「グラジオラス」の句。素直に指が太くなったと取った。きっと幸せ太りで指輪がきつくて回らないのだろう。グラジオラスもちょっと意地悪そうにのぞいているのだ。 172「秋澄むや」の句。なんでもない句だがそっと外す時に今の現実感があってわかる、わかると言いたい句。 176「さみしさは」の句。さみしさを鶏頭の花のせいにしたり君のせいにしたり秋だから詠める句。 193「流れ星」の句。みちのくの玄関と言われながらも地味な存在だった白河の関。このたび仙台育英高校の快挙によって注目された。千年の扉を開いたような季語の流れ星がよく効いている。 201「国葬も」の句。すべて霧の中、言い得て妙。一読してわかるが怒りも収まらない。 鈴木 砂紅(招待)選 31メメントモリ熱帯夜なら北枕 75骨上げの待合室に日焼けの子 79八月のマトリョーシカは銃抱く 100ひらがなの暮し朝顔は水色 116冷房の微温微風という時代 特選151未草そろそろお茶のアリスだわ/磯部薫子 206健在の百の味蕾や新豆腐 (選評)特選に頂いた「未草」の句。いつものお茶の時間が、突如不思議の国のアリスの奇妙なお茶会に変貌する瞬間の鮮やかさ。実体のないワイン・解けない謎解き・退屈な話の果てに一滴のお茶も飲めないアリスの姿は、作者自身の姿に重なる。妄想の様でもあり、日常への真摯な問いかけとも読める。 31「メメントモリ」の句。北枕は「死を忘れるな」という警句と呼応しているようで、実は熱帯夜を涼しくする方便。俳諧風の諧謔が愉しい。 75「骨上げ」の句。実景を飾りなく詠んで、生と死を明るく描いて見せた。 79「八月」の句。入れ子作りのマトリョーシカは、開けても開けても銃が出て来るばかり。正にそれがロシアという国の本質。 100「ひらがな」の句。下町の気取りのない暮しへのオマージュとして読んだ。ひらがなと水色の取り合せが粋。 116「冷房」の句。現代を象徴する「微温微風」に思わず笑う。お陰様で人間は長生きにり、人生を持て余す。 206「健在」の句。新大豆を使用した本物の新豆腐は絶滅したと思っていたが、検索したらネット販売されていた。現代人の飽くなき味蕾の健在に脱帽。 松田ひろむ(代表)選 5別れ際のふいの抱擁霧深し 特選9酔えばすぐ突撃という生身魂/川崎果連 77客先の角切り西瓜フォーク付き 84夜蝉鳴くさくっと後期高齢者 122頼朝が船出のみなと青蜜柑 133どの傘も骨を透かせて原爆忌 準特選151未草そろそろお茶のアリスだわ/磯部薫子 182敗戦日大本営誰がいなくなる 184秋桜ときどきジャンプしたくなる 186再放映の「ひまわり」ゆれて戦禍の地 特選216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ/高矢実來 (選評)特選にいただいた94「酔えばすぐ」の句。「突撃」は戦争体験者の叫び。私の父も朝子供が寝ていると突然「起床!」と叫んだ。生身魂と言われても記憶は残る。 準特選の151「未草」の句。未草は古来の睡蓮。未の刻 (午後二時) に花が咲くための名。そんなお茶の時間だがアリスと違ってお茶を楽しむ作者。不思議の国のアリスは不条理な童話だが俳人必読。頭が軟かくなる。 同じく準特選216「蟬時雨」の句。特攻隊の発進基地はあちこちにあるが知覧が著名。句は易しく「飛んだ」といってかえって思いを深めている。 5「別れ際」の句。映画のワンシーンのような句。「霧深し」で二人の前途を案じている。 77「客先の」句。「角切り」「フォーク付」はていねいな描写。西瓜も高級に感じる。 84「夜蝉鳴く」の句。「さくっと」のオノマトペが効いている。夜のセミを聞きながら自然体の作者が頼もしい。 122「頼朝が」の句。この港とは真鶴の浜のこと。青蜜柑は再起の象徴のよう。 133「どの傘も」の句。「骨を透かせて」はビニール傘かも知れないが、骨をといって原爆忌と響き合う。 182「敗戦日」の句。たしかに敗戦のときには、いわゆる「大本営発表」もなかった。 184「秋桜」の句。コスモスとジャンプは軽妙。倒れやすいコスモスを踏まえている。 186「再放映」の句。映画ひまわりは平和を希求したもの。それもいまは揺れに揺れている。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 1位102梨むいてつくづくここは水の星⑨ 石口りんご 2位69雑談をはみ出す本音秋扇 ⑥ 岡崎久子 3位8 頬赤く白河を超え新松子 ⑤ 田辺 花 3位58曖昧な明日へ伸び行く凌霄花 ⑤ 岡崎久子 3位84夜蝉鳴くさくっと後期高齢者 ⑤ 増田萌子 3位158敗戦忌私も語り部のひとり ⑤ 中村ふみ 3位201国葬も癒着もすべて霧の中 ⑤ 百目鬼英明 8位9 酔えばすぐ突撃という生身魂 ④川崎果連 8位75骨上げの待合室に日焼けの子 ④安藤利亮 8位79八月のマトリョーシカは銃抱く ④後藤よしみ 8位107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日 ④松田ひろむ 8位133どの傘も骨を透かせて原爆忌 ④川目智子 8位154国葬やもり蕎麦ですかかけですか④荒井類 8位214見えそうで見えぬ晩年烏瓜 ④白石みずき 15位5別れ際のふいの抱擁霧深し ③望月のぞみ 15位17さらさらと重陽の日の米を研ぐ ③宮 沢子 15位31メメントモリ熱帯夜なら北枕 ③古川塔子 15位32関係は確かにあった黄金虫 ③小髙沙羅 15位41新涼や吊り広告の無き車内 ③安藤利亮 15位43耳熱くしてささやきを待つ芙蓉 ③岡崎久子 15位100ひらがなの暮し朝顔は水色 ③小平 湖 15位128閣僚に鳥語の混じる秋初め ③高橋透水 15位133どの傘も骨を透かせて原爆忌 ③川目智子 15位162グラジオラス結婚指輪回らない ③磯部薫子 15位164鈴虫に耳を盗られて帰れない ③小平 湖 15位172秋澄むやマスクをそっと外す時 ③高矢実來 15位193流れ星白河の関いま越せり ③後藤よしみ 15位203さよならは秋が似合うという女 ③高橋透水 15位210仙人掌の花救急車待機中 ③翠雲母 15位216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ③高矢実來 (第29回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1脚を抜き糠床深く茄子の牛 1 安藤利亮 2挨拶すかすかな秋をおりまぜて 2 郡楽清子 3清流も濁流も恋秋のバラ 1 松田ひろむ 4干肉(ほしじし)喰った師の反戦句集滑莧0 翠雲母 5別れ際のふいの抱擁霧深し 3 望月のぞみ 6ピオーネの二粒入るお弁当 1 田辺 花 7蜻蛉追うペダル踏んでも追いつけず 0 渡辺すみれ 8頬赤く白河を超え新松子 5 田辺 花 9酔えばすぐ突撃という生身魂 4 川崎果連 10八月の認識票へピースと記す 0 後藤よしみ 11「川ガキ」が欄干に立ち夏の雲 1 行成佳代子 12言葉です吹きとばしたるビール泡 0 信岡さすけ 13ぞっとするものの一つに夏の蠅 0 国井 梢 14爽やかや足下透ける観覧車 1 近田吉幸 15千葉の梨と花積んでる移動花屋 0 渡辺すみれ 16山梨で迎火のはず東京で 1 古川和美 17さらさらと重陽の日の米を研ぐ 3 宮 沢子 18猫じゃらし口三味線に乗らぬ主義 1 吉村きら 19久かたに名前で呼ばれ更衣 0 武田俊信 20堕ちて来る炎天からの粗大ゴミ 2 百目鬼英明 21名月や崖の上まで車椅子 0 川崎果連 22青年の魔羅の哮(たけ)るや栗の花 0 荒井 類 23秋立ちぬアンネが日記つづるとき 1 後藤よしみ 24蚊柱や団体票は欲しくって 2 磯部薫子 25もろこしは戦の匂いウクライナ 0 石口 榮 26コロナ禍の海の日山の日持て余す 1 安原南海子 27老老のタイムマシーンいわし雲 1 信岡さすけ 28枝豆柔らかく憲法二十条 0 木野俊子 29銀漢や老いらくの恋もてあそぶ 0 望月のぞみ 30テレビ見ていたはずなのよ昼寝覚め1 岩渕純子 31メメントモリ熱帯夜なら北枕 3 古川塔子 32関係は確かにあった黄金虫 3 小髙沙羅 33かの医師のお目玉食らう夏の風邪 0 国井 梢 34無欲という欲のそろそろ浮いてこい2 古川塔子 35確証を得て霧は山に湧き出して 0 福島芳子 36九条が大事母の声秋の声 1 宮 沢子 37新涼や手抜き料理もそろそろに 2 白石みずき 38龍淵に潜む心臓病おだやか 0 木野俊子 39子を二人電動チャリの初嵐 0 信岡さすけ 40大蟻の吾を恐れぬおそろしさ 0 国井 梢 41新涼や吊り広告の無き車内 3 安藤利亮 42泥水をすすりし戦夏の蝶 1 福島芳子 43耳熱くしてささやきを待つ芙蓉 3 岡崎久子 44つくつくし熱はワクチンのせいかしら0 岩渕純子 45手踊りの小指の先や秋の蝶 0 荒井 類 46独り言いつまで続く寝待月 0 望月のぞみ 47沈黙は戦争支持や秋の蝉 1 高矢実來 48瘡蓋の剥がれる処暑の欅かな 1 百目鬼英明 49髪洗うメール返信明日にして 0 小平 湖 50少年の夢が弾ける種茄子 1 石口 榮 51マスク国人目無視して月涼し 0 石黒宏志 52赤とんぼ弁天池に五円玉 2 安藤利亮 53音ばかりの花火だけれど背を押され1 古川和美 54泣き上戸笑い上戸に夏逝けり 1 川目智子 55黙祷に加わる蟻のふくらはぎ 2 小平 湖 56夏草やふるさと背負い甲子園 2 津田文江 57真葛引く昭和の時代理研跡 0 行成佳代子 58曖昧な明日へ伸び行く凌霄花 5 岡崎久子 59健康のための絶食耕衣の忌 0 鈴木砂紅 60施餓鬼寺孔雀の小屋のあったはず 0 小平 湖 61抗体の缶は空っぽ三尺寝 1 百目鬼英明 62容疑者へドローンのような赤とんぼ0 高橋透水 63涼新た化粧地蔵に会いたくて 0 宮 沢子 64玄関に人なく呼び鈴盂蘭盆会 0 岩渕純子 65切り通し葛は自在に綱渡り 1 安原南海子 66名月や君の黒子が食べたいよ 0 高橋透水 67ひとしきり昔語りや白玉食む 0 郡楽清子 68秋を買う籠の山盛り道の駅 2 近田吉幸 69雑談をはみ出す本音秋扇 6 岡崎久子 70汗ひっこむ原発やめると言ったのに1 鈴木ひろ子 71今朝の秋優勝旗は仙台へ 0 斎藤 藍 72魔女狩りを唱える烏瓜の花 1 磯部薫子 73ウクライナの水は澄まない水の秋 1 石口りんご 74夜が明けて見えた日本よ藤村忌 0 石黒宏志 75骨上げの待合室に日焼けの子 4 安藤利亮 76ぬいぐるみ抱く難民に秋の風 1 岡崎久子 77客先の角切り西瓜フォーク付き 1 渡辺すみれ 78マスクして行くにはつらい遠花火 0 国井 梢 79八月のマトリョーシカは銃抱く 4 後藤よしみ 80精霊路墓のありかを探しおり 0 石黒宏志 81タクト振る物の在るかに蟬しぐれ 0 金丸菜斗 82点滴にお頼み申す夏痩せて 0 鈴木ひろ子 83マスカット妹と銀座の映画館 0 渡辺すみれ 84夜蝉鳴くさくっと後期高齢者 5 増田萌子 85雨落ちてドラマとなりぬ運動会 0 川崎果連 86女教師の浅草甘味貸し浴衣 0 高矢実來 87鰯雲じっと見ているホームの母 0 翠 雲母 88機会なく仕立おろしの芭蕉布 0 津田文江 89カサブランカ鳥羽一郎に似合わない0 白石みずき 90散りてより地べた華やぐ百日紅 1 鈴木ひろ子 91自意識のいつしか消えて茗荷の子 0 宮 沢子 92戸田の朝学生ボートの遠近法 0 高矢実來 93傘寿過ぎて新調のあっぱっぱ 1 中村ふみ 94秋茄子紫の色目に涼し 0 斎藤 藍 95公園の櫓なつかし盂蘭盆会 0 武田俊信 96雲海や魁夷絵画を遠景に 0 神田千風 97戦没者追悼の黙祷山中で 0 高良和子 98縄文の女神の土偶櫟の実 0 近田吉幸 99下書きは今日も三B台風来 1 古川塔子 100ひらがなの暮し朝顔は水色 3 小平 湖 101ロマンスは無けれどグレー秋初め 0 川目智子 102梨むいてつくづくここは水の星 9 石口りんご 103旧姓は蝉の抜け殻不発弾 0 宮 沢子 104羽抜鶏にらめっこしましょあっぷっぷ0 石口 榮 105銀河へ送信コスタリカは自由都市 1 翠 雲母 106祝電はお礼のつもり秋まつり 0 小髙沙羅 107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日 4 松田ひろむ 108妄想のいちじく太る袋掛 0 鈴木砂紅 109昔の事ばかり自慢羽抜鶏 0 石口りんご 110にぎり飯刈田に礼を言いながら 1 金丸菜斗 111盂蘭盆会僧はバイクでやってくる 0 岩渕純子 112何もない何もしないの赤とんぼ 0 神田千風 113退院に軽トラの出迎へ夏木立 0 高良和子 114国家大事のときにトマトずぶ濡れ 0 翠 雲母 115肌寒や風邪用心の薬のむ 0 斎藤 藍 116冷房の微温微風という時代 1 古川塔子 117虫籠の買うでもなくて長い息 0 田辺 花 118神楽舞ふみちのく夏がかけて来る 0 神田千風 119鳴く声も骸となりぬ秋の蟬 0 石黒宏志 120鳩吹の一番だった日の暮れる 0 田辺 花 121秋めくや子規の句集と格闘す 1 望月のぞみ 122頼朝が船出のみなと青蜜柑 1 武田俊信 123月の夜に太郎と花子すべっちゃった0 高橋透水 124里若葉爺婆たちの孫自慢 0 津田文江 125ランウエイなんなく乗り換え秋の蝶1 安原南海子 126良妻愚妻の一味違うとろろ汁 2 吉村きら 127猫じゃらし一人になりたい日もあって0 石口 榮 128閣僚に鳥語の混じる秋初め 3 高橋透水 129拒否しても拒否してもなほ暑さ来る1 中村ふみ 130現在地はここ郭公のいるところ 0 石口りんご 131依存症退院の日にまうビール 0 百目鬼英明 132自転車のブレーキぷつんと百日紅 0 高良和子 133どの傘も骨を透かせて原爆忌 4 川目智子 134バゲットや厄日の腹を割って見せ 1 川目智子 135百合一輪傾ぐ街道無縁仏 0 鈴木ひろ子 136ままごとのいつもお母さん秋の声 0 白石みずき 137陸奥の国涼し浴びたる大湯かな 0 神田千風 138パン屑を鳩に与える敗戦日 2 石口 榮 139稲の花鬱という字をばらばらに 1 松田ひろむ 140秋の浜三線聴きつ水牛車 0 近田吉幸 141秋澄むや好きなところに腰かけて 2 白石みずき 142朝霧や君はおとめ座われ獅子座 0 安原南海子 143みちのくの七夕祭や三年(みどし)ぶり0 神田千風 144若きらやデッキブラシで墓洗ふ 0 中村ふみ 145立秋や掌に受ける宗祇水 0 行成佳代子 146イダイなる人のコクソウおけら鳴く1 荒井 類 147聞き初めし力の限りを蝉時雨 0郡楽清子 148秋暑し「戦争と平和」とプーチン世代0 斎藤 藍 149夏の風邪遠慮しながら咳をする 2 津田文江 150飽きもせずまた目覚めけり今朝の秋1 川崎果連 151未草そろそろお茶のアリスだわ 2 磯部薫子 152新涼を感じるほどにはあらぬ朝 0 岩渕純子 153居心地のよきに溺れてさざえさんは0 福島芳子 154国葬やもり蕎麦ですかかけですか 4 荒井 類 155涼新た外の空気の心持ち 0 古川和美 156名月なら接続詞不要の二人 0 吉村きら 157いくたびも檜扇の朱を見つめ居り 0 郡楽清子 158敗戦忌私も語り部のひとり 5 中村ふみ 159虹色の青春捨し妹恋し 0 福島芳子 160白き夜の銀河鉄道銀木犀 0 近田吉幸 161初恋の交換日記虹は虹 0 松田ひろむ 162グラジオラス結婚指輪回らない 3 磯部薫子 163サザン聴く犬の吐息や星月夜 0 望月のぞみ 164鈴虫に耳を盗られて帰れない 3 小平 湖 165てのひらに残る桃の香宵の口 0 古川塔子 166花火滓朝の潮の運び去り 0 安藤利亮 167核禁条約うねりのなかの遠青嶺 0 木野俊子 168真葛原領土拡張力尽く 0 金丸菜斗 169種失せし二百十日の菜果かな 1 川目智子 170ヘッドライト常より眩し夏の雨 0 武田俊信 171故郷の原風景に蛍舞う 0 古川和美 172秋澄むやマスクをそっと外す時 3 高矢実來 173断捨離はもうする気無く髪洗ふ 0 津田文江 174暑すぎて書いてまた消す予定表 1 小髙沙羅 175引き返す波はまだまだ法師蝉 0 増田萌子 176さみしさは鶏頭のせい君のせい 1 吉村きら 177愛情は常に平等きりぎりす 0 小髙沙羅 178一朝の交信からす瓜の花 0 行成佳代子 179枝豆の空室多しでも旨い 0 中村ふみ 180ひまわりの画描き日の思い出と 0 斎藤 藍 181「爆心」に「心」のありや原爆忌 0 荒井 類 182敗戦日大本営誰がいなくなる 1 石黒宏志 183打ち水のカメラ目線は五歳にて 0 田辺 花 184秋桜ときどきジャンプしたくなる 2 増田萌子 185軽薄はとんぼう属の誇りかな 1 信岡さすけ 186再放映の「ひまわり」ゆれて戦禍の地1 高良和子 187蟬の穴のぞいてプーチンを叱る 1 金丸菜斗 188白桃や被曝三世の祈り 1 木野俊子 189身ほとりの風によろめくきりぎりす0 川崎果連 190止ぬウクライナ峠へ流れ星 0 木野俊子 191夜の桃二病三病持ち歩く 1 安原南海子 192郡上踊夜がな夜っぴて下駄響き 2 行成佳代子 193流れ星白河の関いま越せり 3 後藤よしみ 194背高泡立草月日ばかりの瓦礫にて 1 増田萌子 195肩書きは欲しいカルトの立葵 0 磯部薫子 196自句自解不要西瓜の種飛ばす 2 鈴木砂紅 197熱中症がこわい庭草伸び放題 0 古川和美 198反戦の声絞り出す秋の蝉 2 岡崎久子 199夏休みセーフアウトがおもしろい 0 小髙沙羅 200細腰の夏水仙の自律かな 1 鈴木砂紅 201国葬も癒着もすべて霧の中 5 百目鬼英明 202朝採りの茄子をG線上に置く 0 鈴木砂紅 203さよならは秋が似合うという女 3 高橋透水 204追伸で全てちゃらです星月夜 1 吉村きら 205河童忌や行けど戻れど元の場所 0 武田俊信 206健在の百の味蕾や新豆腐 2 信岡さすけ 207開け放つプールの窓より夏蝶来 0 高良和子 208緋のダリア真昼の孤独補って 0 増田萌子 209夾竹桃が嫌いでしたね志乃さん 1 石口りんご 210仙人掌の花救急車待機中 3 翠 雲母 211よっしゃよっしゃと蝉鳴く山添拓が勝つ1鈴木ひろ子 212水底へ秋を投げ入れ銀の匙 1 後藤よしみ 213滝ごうごう偶には力抜くらしい 1 国井 梢 214見えそうで見えぬ晩年烏瓜 4 白石みずき 215月見酒ダイエットには程とおく 0 渡辺すみれ 216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ 3 高矢実來 217朝顔をたくさん咲かせて誘われて 0 福島芳子 218母はまだ二十代にて蛍呼ぶ 0 松田ひろむ 219今は昔多彩多形の百日草 0 郡楽清子 220川岸の浮葉の列や秋初め 0 金丸菜斗 (第30回鴎座通信句会)投句締切=9月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。 画像はバラ星雲(by ウイキペディア) 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2022年09月01日 14時57分36秒
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