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テーマ:楽しい俳句(373)
カテゴリ:句会
第34回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ 第34回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ 松田ひろむ(代表)選 3五日はやジャングルジムに子が咲くよ 36どんど焼もう拾えないラブレター 準特選37美しい国に生れてごまめ噛む/鈴木砂紅 特選55イマジンか兵の口笛雪しまき/川崎果連 118兎まろぶ鳥獣戯画や一茶の忌 121シベリアの労役起こすもがり笛 133出来たこともう出来ないのねもがり笛 167百合根食ぶ往路復路に山の神 173大寒む小寒む軍歌きりなく口ついて 198水餅を掬う夜空を流星群 準特選200綿虫の観自在なり遊ばんか/後藤よしみ (選評)特選にいただいた55「イマジンか」の句。イマジンimagineとは「想像する」、「心に思い浮かべる」という意味。ジョン・レノンの楽曲。世界平和への願いが込められている。句は兵の口笛と雪しまき(地吹雪)と取り合せて、ウクライナへの思いを募らせている。 準特選の37「美しい国」の句。「美しい国」は故安倍首相のキャッチであった。そんな国に生まれて生きて、ごまめを噛む「幸」?。もちろん「ごまめの歯ぎしり」という言葉も重なっている。 同じく準特選にいただいた200「綿虫の」の句。観自在とは仏教語で「迷いの執着から解放された境界にあって、事物のすがたが自由自在に正しく見きわめられること。」綿虫の姿がいかにも自在に感じられる。「観自在」の言葉の発見がいい。ほっとする句。 3「五日はや」の句。なんといっても「子が咲くよ」が楽しい。いくつになっても子は希望。 30「どんど焼」の句。あっと思ったときはもう遅い。それも青春。もてもてだったときもあったのだが。鶯鳴かせたこともあった。 118「兎まろぶ」の句。鳥獣戯画は楽しい。ウサギも躍動している。ただ一茶との関係は微妙。 121「シベリアの」の句。辺見じゅんの「ラーゲリより愛を込めて」が映画化され再注目されているが、句は「もがり笛」がいかにも切ない。 133「出来たこと」の句。これも「もがり笛」。加齢の悲しみは小生も同じである。せめて頭だけは俳句でいつまでも活性化しておきたいもの。 167「百合根食ぶ」の句。箱根駅伝は五区六区の箱根の山が明暗を分ける。句の百合根は栄養価が高い。「山の神」は我が家にもいる。173「大寒む小寒む」の句。もちろん反語的な表現である。我々より上の世代は酔えば軍歌ということが多い。それも悲しいこと。「きりなく」も切ない。〈羽蟻の夜軍歌猥歌とわかちなし〉(細川加賀)という句もあった。 198「水餅を」の句。水餅と流星群が一体になった面白さ。わが家では知人からお餅をいただいたが、あっというまに黴に。あわてて水餅にして久しぶりの水餅体験であった。 石口 榮(編集長)選 3五日はやジャングルジムに子が咲くよ 104元旦や賀状終いのちらほらと 特選105コロナ五類へみそ汁に寒卵/小平湖 141去年今年笑っていないと生きられぬ 155大寒に届く荷物はクール便 163宇宙よりデートの誘い晴着の子 173大寒む小寒む軍歌きりなく口ついて (選評)特選にいただいた105「コロナ五類」の句。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が二類から季節性インフルエンザ同様に「五類」に引き下げられる。マスク着用も屋内外を問わず自由になる。そんな開放感を「みそ汁に寒卵」と日常の一齣で表白。草間時彦の〈味噌汁におとすいやしさ寒卵〉を踏まえての取り合わせの妙である。 5「五日はや」の句。テレビゲームなどで家に籠もりがちだった子供達。五日ともなると飽きて公園で遊ぶようになる。少子化の今、元気な子供を見かけるとほっとする。 104「元旦や」の句。年賀状も高齢になると、だんだん減って来る。「年賀状終い」は寂しいが終活の一つであろうか。 141「去年今年」の句。去年は余り良い年ではなかったようだ。そのことを何時までも嘆いていられない。ときに開き直りも肝心。「笑う門には福来る」である。 155「大寒に」の句。大寒だから熱い物と思いがちであるが逆転の発想でクール便と言って一句に。 163「宇宙より」の句。パソコンやスマートフォンでのラブコール。宇宙よりがお洒落である。季語「晴着の子」の措辞により一句に華やかさが出た。 173「大寒む小寒む」の句。童謡の「おさむこさむ」が浮かんだ。替え歌にすると面白い。お寒む小寒む山から小僧が泣いてきた、なんといって泣いてきた防衛費が膨らんだ」と。防衛費とは言っていないが軍歌から連想してその方が面白い。 小髙沙羅(同人会長)選 4私の中の鬼は外駄句は外 61残る歯は二十七本初鏡 79鴎座の一月号を胸に抱く 105コロナ五類へみそ汁に寒卵 131母さんの寒紅ときに認知症 特選141去年今年笑つてないと生きられぬ/中村ふみ 182口止めはされぬが秘密雪中花 (選評)特選にいただいた141「去年今年」の句。新年と過ぎ去った年に感慨を籠める季語が効いている。私ごとでも、いくつかの悲しい出来事があった。しかし泣くよりは笑うようにと思いつつ生きてきた。今年は心から笑える年であるように願っている。この句に強く魅かれたわけである。 4「私の中の」の句。「駄句は外」が面白い。 61「残る歯は」の句。人間の歯は二十八本から三十二本。八十歳で三十本という運動もある。二十七本なら上々。初鏡といって俳句。 79「鴎座の」の句。これはうれしい句。鴎座愛のある作者に感謝。 105「コロナ五類へ」の句。二類から五類がニュースになっている。さっそく一句にした手柄。味噌汁に寒卵の日常が維持できるかが問題。 131「母さんの」の句。寒紅と認知症の取り合わせは効いている。やや怖い句でもある。 182「口止めは」の句。口止めされるほど話は広がるから口止めはしないほうがいいかも。雪中花は水仙のこと。 後藤よしみ(副編集長)選 3 五日はやジャングルジムに子が咲くよ 27手みやげは四分の一の白菜 32マイナンバーカード大根の穴浅からず 特選45極寒の地に立つ炎あたれぬ火/高良和子 61残る歯は二十七本初鏡 165お元日ひとり蹴る子の日和かな 185生臭き核細き寒月出る (選評)特選の45「極寒の」句。ウクライナの戦場とも受け取れる。凍てつく大に火が上がる。戦の火。建物、町、自然を、そして命を焼き尽くす炎。火と象徴的に詠ったのが素晴らしい。 3「五日はや」の句。正月も過ぎ、学校まで間のある子には外遊びが楽しい。子が咲くという措辞がよい。 27「手みやげは」の句。スーパーでカットの白菜が並ぶ。社会そして作者との関係を上手く詠っている。 32「マイナンバー」の句。世相を客観的に詠んでいる。新しい仕組みには思わぬ大きな穴がまっている。 61「残る歯は」の句。歯は三十二本。次第に減っていくが、自分の歯は長寿の証。大事にしたい。 165「お元日」の句。元旦のコロナ下の実景。遊び相手もいない中、ボール蹴り。この子に幸あれ。 185「生臭き」の句。これも現代の危機を切り取っている。世界の終末時計は後わずか90秒である。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 14水仙に挨拶されて通勤す 33冬至風呂に顎まで健康物語 64冬菫名もなき家事のきりもなく 107大寒の朝の目薬また忘れ 135挨拶の言葉の変わる年始 特選141去年今年笑つてないと生きられぬ/中村ふみ 158雪おんな静かに家庭裁判所 (選評)特選に頂いた141「去年今年」の句。生きていれば大なり小なり色々問題は出てくるもので真面目な人ほど生きづらいはず、結局最後は「まっいいか」で終わるのだが。そして今年は笑顔で暮らせたらいいなと思いながらスタートしたばかり、「笑ってないと生きられない」は誇張であるが、なぜか共鳴する。 14「水仙に」の句。水仙の咲くころの冷たい空気感と通勤の活動的な姿が浮かんでくる。 33「冬至風呂」の句。この冬は東京でも低温注意報が出るなど冷え込んでいる。顎までの具体的な表現と健康物語で一句となった。 64「冬菫」の句。家事は手抜きも含めて要領よくと思ってはいるが確かにきりのないこと。それを「名もなき」といってことも工夫の一つ。健気な冬菫の季語が効いている。 107「大寒の」の句。元気でいても加齢と共に体のあちこちに不都合が出てくるらしい。目、歯、耳、足腰と言ったら切りがないくらいだ。寒くても忘れがちな目薬こそ忘れずに。 135「挨拶の」の句。感謝の気持ちを込めた言葉は新年のけじめ。挨拶として新鮮でいいものだ。 158「雪おんな」の句。雪女と家庭裁判所の取合せがミステリアスでドラマではないが最後まで見てしまいそう。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 3五日はやジャングルジムに子が咲くよ 22風邪ですね卵酒しかない手だて 46老人に違いないけど梅日和 特選64冬菫名もなき家事のきりもなし/川目智子 112動くたび知恵が浮かんで大掃除 149純烈が宝船に乗り四拍子 181西暦を昭和になおす余寒かな (選評)特選にいただいた64「冬菫」の句。昔から家事は主婦の当たり前の仕事と思われてきた。が現代は少しずつその考えも見直されつつある。しかし実際には女性がやっている。生活している限り家事は永遠に無くならない。本当にきりがないのだ。手抜きをしてもいつかはやらなきゃならない。そんな様子を冬菫がそっと見ていてくれているのだ。 3「五日はや」の句。ジャングルジムに子が咲くよ、がいい。子供達もお正月はあまり外へ出られなかったがもう五日だからと集まって来たのだ。その賑やかさを花が咲くと表現して素敵な一句となった。 22「風邪ですね」の句。コロナ、インフルエンザ、の流行の中風邪気味なので医者へいつたら一言風邪ですね、と言われ安心してこれは卵酒でも飲んで治すほかは無いと作者は思ったのだ。 46「老人に」の句。たしかに老人に違いないが、という気持になった経験はある。相手は何気なく言っているのだろうが言われた方は傷つくのである。梅日和がこの句の救いである。 112「動くたび」の句。無心になって大掃除をやっていると体を動かしているせいか脳もだんだん活性化していろんなことが浮かんでくる。余計仕事が捗るのだ。 149「純烈」の句。純烈のファンなので文句なくいただいた。明るくて良き中年の人達が楽しそうに唄って踊って宝船に乗った気分にさせられる。四拍子の一拍の強さに心意気を感じる。 181「西暦を」の句。病院の受付などで聞いているとお年寄りはだいたい昭和何年と答えている。私は逆に西暦の方がいい。季語の余寒にいままで生きて来た長さと重さを感じた。 鈴木 砂紅(招待)選 30寒中の乳房を温め搾乳す 36どんど焼もう拾えないラブレター 特選96おしくら饅頭パソコンのデータ消え/石口榮 111これからの二軍が長し明の春 115竹馬を降りて左翼に走りたる 131母さんの寒紅ときに認知症 200綿虫の観自在なり遊ばんか (選評)特選に頂いた「おしくら饅頭」の句は、季語とパソコンの取合せの妙に尽きる。作者が子供達と遊んでいる間にデータが消えた、ということでは無論ない。パソコンがフリーズした途端、膨大なデータがおしくら饅頭をしている様相が見えたのだ。現代俳句における季語の象徴性と諧謔を捉えた一句。 30「寒中」の句。乳房にドキリとさせ、搾乳で実体感を詠む。牛にしても人の母にしても、乳房を温める行為の奥深さが心に残る。 36「どんど焼」の句。思い切って炎に投じたラブレターは恋との決別。それがどんど焼きならば神への誓いともいえる。上品な物語性が漂う。 111「これから」の句。注目のルーキーの顔には嬉しさと不安が見える。二軍を経て飛躍の時を待つのはファンの親心だろう。明の春が明るい未来を予見。 115「竹馬」の句。竹馬も左翼も昭和の遺物だが、中核派の男が逮捕されたという最新ニュースに掲句がぴたりと嵌った。まさに令和の時事句。 131「母さん」の句。紅を差す身ぎれいな母と、言動の怪しい母。家族は二つの母の顔に慣れてゆくしかない。介護の現実を美しく実直に詠んだ句。 200「綿虫」の句。まるで禅問答のような掲句は、詰まるところ綿虫と遊ぼうよと言っているだけ。深遠な言葉の意味はいつも単純なものだ。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位3 五日はやジャングルジムに子が咲くよ ⑥鈴木ひろ子 一位32 マイナンバーカード大根の穴浅からず ⑥小平 湖 一位55 イマジンか兵の口笛雪しまき ⑥ 川崎果連 四位37 美しい国に生れてごまめ噛む ④ 鈴木砂紅 四位125全身の捻子を弛めて日向ぼこ ④ 白石みずき 四位131母さんの寒紅ときに認知症 ④ 木野俊子 四位150介護の手二本じゃ足りぬ花八手④ 百目鬼英明 四位158雪おんな静かに家庭裁判所 ④ 木野俊子 九位7 屠蘇の酔いいつしか天城峠越え③ 松田ひろむ 九位10 丸薬の転がる速さ虎落笛 ③ 磯部薫子 九位15 もぐり込む童話の世界雪の夜 ③ 岡崎久子 九位36 どんど焼もう拾えないラブレター③ 白石みずき 九位61 残る歯は二十七本初鏡 ③ 鈴木砂紅 九位73 冬日満つ懺悔の部屋の硬き椅子③ 岡崎久子 九位96 おしくら饅頭パソコンのデータ消え③ 石口 榮 九位105コロナ五類へみそ汁に寒卵 ③ 小平 湖 九位126心配の種を植えればチューリップ③ 吉村きら 九位141去年今年笑つてないと生きられぬ③ 中村ふみ 九位181西暦を昭和になおす余寒かな ③ 川崎果連 九位192明日にはと延しのばしの初詣 ③ 石黒宏志 九位194山茶花は散るために咲く曲がり角③ 岡崎久子 九位200綿虫の観自在なり遊ばんか ③ 後藤よしみ (第34回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1切干や陽ざしの香りも煮含める 1 岩渕純子 2成人の日に旅立つ娘背のリュック 0 行成佳代子 3五日はやジャングルジムに子が咲くよ6 鈴木ひろ子 4私の中の鬼は外駄句は外 1 吉村きら 5冬天よこれぞまさしく日本晴 0 津田文江 6五日はや予約通院黄水仙 0 郡楽清子 7屠蘇の酔いいつしか天城峠越え 3 松田ひろむ 8片耳か空耳か神戸震災 0 木野俊子 9初氷猫も夫も朝寝坊 0 小髙沙羅 10丸薬の転がる速さ虎落笛 3 磯部薫子 11煮丸餅二つ平らげ古里力 0 郡楽清子 12富士塚の山も社も眠りけり 0 岩渕純子 13目玉焼きへ醤油三滴スキー宿 0 安藤草太 14水仙に挨拶されて通勤す 1 渡辺すみれ 15もぐり込む童話の世界雪の夜 3 岡崎久子 16よもぎ摘む逆光にいる赤い糸 2 信岡さすけ 17静脈の浮き出し手にて枯野受く 1 後藤よしみ 18七種のパック山積み松竹梅 0 渡辺すみれ 19埋火や会ったことなき祖父に過去 1 高矢実來 20一病にもてあそばれて散る椿 2 宮 沢子 21風花や井伏夫人の腰低き 0 磯部薫子 22風邪ですね卵酒しかない手だて 1 岩渕純子 23残る虫弱気の私煽つてる 0 中村ふみ 24「今年の漢字」今年も「戦」春西風2 松田ひろむ 25歌留多よむタイムマシンに乗るように0 水島かよ子 26踏まれても踏まれてもかつ冬の草 0 宮 沢子 27手みやげは四分の一の白菜 1 白石みずき 28初明りビルの窓辺を降りゆく 0 行成佳代子 29ぴょんぴょんぴょん夜叉か菩薩か白うさぎ0吉村きら 30寒中乳房を温め搾乳す 2 高橋透水 31侘助や音なし落ちて瞬きぞ 0 神田千風 32マイナンバーカード大根の穴浅からず6 小平 湖 33冬至風呂に顎まで健康物語 1 古川塔子 34泰治描く家の傾げる諏訪湖冬 0 高良和子 35実千両一足す一は二に非ず 1 安原南海子 36どんど焼もう拾えないラブレター 3 白石みずき 37美しい国に生れてごまめ噛む 4 鈴木砂紅 38トーストにバターかりかり餅あわい0 飯島 智 39その激闘うねる歓声初場所や 0 郡楽清子 40凩の右足掬う信号黄 0 田辺 花 41初夢の母の若さよ火消壷 1 松田ひろむ 42空潤む戦場からの初メール 1 古川塔子 43マスク無き街路に色のとりどり 0 田辺 花 44文様は巫女の手になり冬の蝶 0 後藤よしみ 45極寒の地に立つ炎あたれぬ火 1 高良和子 46老人に違いないけど梅日和 1 小平 湖 47冬されば何をされても遺憾砲 0 百目鬼英明 48葱の束持って行けよと熊男 1 鈴木砂紅 49爪弾きの小銭飛び交い初戎 0 行成佳代子 50椅子と卓話す形に暖炉の火 0 岡崎久子 51出稼ぎの父に親友雪を掻く 0 川崎果連 52語り継ぐ上皇后の黄水仙 2 石口 榮 53寒紅や惜しみ惜しみて使う紅 0 翠 雲母 54楪や校庭去りし幾世代 1 行成佳代子 55イマジンか兵の口笛雪しまき 6 川崎果連 56水仙枯れいとまのごとしひと香り 1 郡楽清子 57賑やかな元旦のあとまたひとり 0 古川和美 58不良ぶる酢蛸にスルメ寒の酒 2 信岡さすけ 59初春や変わぬ影のそこにいる 0 石黒宏志 60反撃に先制まぎれ裕仁忌 1 松田ひろむ 61残る歯は二十七本初鏡 3 鈴木砂紅 62風花や塗り絵の夫の息詰めて 0 高矢実來 63二人寝のベッド抜け出し初鏡 0 安藤草太 64冬菫名もなき家事のきりもなく 2 川目智子 65夜具一枚重ね自足の雪催 0 行成佳代子 66青き踏む人を愛して愛されて 1 小髙沙羅 67むかしむかしの繰り言ぽんと実千両0 吉村きら 68すき焼の木曽路にやっと誘い出す 0 小髙沙羅 69侘助や男は持たぬ身八つ口 1 川目智子 70寒椿バス待つ親子と朝8時 0 渡辺すみれ 71天気よし兎は常にやさしくて 1 古川和美 72国民の決意赤白冬薔薇 0 水島かよ子 73冬日満つ懺悔の部屋の硬き椅子 3 岡崎久子 74浅間嶺に白黒の筋日脚伸ぶ 0 安藤草太 75老犬のかすかな寝息毛糸編む 2 望月のぞみ 76いさぎよい裸の欅初日浴ぶ 0 鈴木ひろ子 77コロナ禍の初夢ならば深追いも 1 古川塔子 78初夢に富士鷹なすび出たことなし 0 津田文江 79鷗座の一月号を胸に抱く 1 古川和美 80深雪晴チャイムへ駆けるランドセル1 安藤草太 81雪が降る地球の穢れ消すように 1 石口 榮 82息白し鷗に揉まれもう少し 0 水島かよ子 83国債は実印で買う空っ風 2 木野俊子 84春時雨良い事だけを覚えてる 0 渡辺すみれ 85骨密度こわし怖しと初翁 0 松田ひろむ 86若き日の枯野に忘れしパスワード1 磯部薫子 87白鳥のセレブの首が曲がります 1 田辺花 88ケトル鳴く母罅(ひび)の手を見ておれば1石口 榮 89山茶花の逢魔が時を詩仙堂 0 宮 沢子 90三代を映す淑気の光堂 0 神田千風 91目覚むれば三河萬歳軍靴の音 1 翠 雲母 92黴の餅捨てて昭和の後ろ指 2 鈴木砂紅 93高瀬舟かくのごときか夫の咳 0 高矢実來 94さよならのあと振り向かず冬帽子 1 石口りんご 95重力に負けてられない寒稽古 0 百目鬼英明 96おしくら饅頭パソコンのデータ消え3 石口 榮 97冬うらら素顔は乙女変面ショー 0 近田吉幸 98狐火は見ずだれ彼の咀嚼音 1 古川塔子 99初浅間一人暮らしの姉八十路 0 望月のぞみ 100節分豆歳の数など食べきれぬ 0 神田千風 101大小のつづらを背負う寒雀 0 田辺 花 102徳丸が原蝋梅の香りほの 0 津田文江 103水仙の唇遠くウクライナ 0 小平 湖 104元旦や賀状終いのちらほらと 1 津田文江 105コロナ五類へみそ汁に寒卵 3 小平 湖 106プーチンは「古木寒鴉図」如くなり0 翠 雲母 107大寒の朝の目薬また忘れ 1 望月のぞみ 108富士山を見ながら育つ黄水仙 0 小髙沙羅 109返り花未来あるなら来年も 0 中村ふみ 110東京の道端どこも霜柱 0 川崎果連 111これからの二軍が長し明の春 2 川目智子 112動くたび知恵が浮かんで大掃除 1 古川和美 113冬の朝フロントガラス輝いて 0 福島芳子 114「嗚呼うまい」今夜も熱燗君と居て0 近田吉幸 115竹馬を下りて左翼に走りたる 2 翠 雲母 116雪女赤シール貼る予定表 0 望月のぞみ 117かたきほど心あらわに冬木の芽 2 後藤よしみ 118兎まろぶ鳥獣戯画や一茶の忌 1 近田吉幸 119うどんは飲みもの春猫は液体 1 信岡さすけ 120守一の白猫といて睦月 2 宮 沢子 121シベリアの労役起こすもがり笛 1 神田千風 122伸び代は充分なんて雪女郎 1 小平 湖 123やり場無き枯蓮の景炎立つ 0 磯部薫子 124冬鷗この断崖の津波跡 0 近田吉幸 125全身の捻子を弛めて日向ぼこ 4 白石みずき 126心配の種を植えればチューリップ 3 吉村きら 127ガーベラを触ること覚え色照らし 0 福島芳子 128雪催どこかからくる鼓笛隊 1 川崎果連 129じゃがいもの毒芽ほじくり邪気払 0 飯島 智 130生真面目な不良眉間へ冬の富士 1 鈴木ひろ子 131母さんの寒紅ときに認知症 4 木野俊子 132初夢は見たかどうだか朧なり 0 津田文江 133出来たこともう出来ないのねもがり笛1水島かよ子 134門松を飾り心も新しく 0 古川和美 135挨拶の言葉の変わる年始 2 石黒宏志 136独り言に遺影が答へ初茜 0 中村ふみ 137思い出に髪を洗いて爪立てぬ 0 福島芳子 138凧(いかのぼり)ドローンのように動きたい0神田千風 139一椀へ眼鏡を外す若菜粥 1 宮 沢子 140松過ぎて賀状来ぬと心配かけ 0 郡楽清子 141去年今年笑つてないと生きられぬ 3 中村ふみ 142小正月過ぎて島にも獅子舞来 1 高良和子 143大吉の文字が輝く冬の虹 0 岡崎久子 144誰の背も追わぬひと日や冬うらら 0 高良和子 145異次元の少子化対策氷面鏡 0 古川塔子 146トラックの代りのリヤカー初荷着く0 百目鬼英明 147鉄幹の業平気取り冬銀河 0 近田吉幸 148くびれなき美の追求寒卵 1 吉村きら 149純烈が宝船に乗り四拍子 1 田辺 花 150介護の手二本じゃ足りぬ花八手 4 百目鬼英明 151初夢のゼレンスキーとプーチンと 0 白石みず 152目標は三キロ減らす着ぶくれて 0 石口りんご 153電柱に孤高の一声寒烏 0 岩渕純子 154バイク乗初思わずハミング昭和歌 0 安原南海子 155大寒に届く荷物はクール便 1 百目鬼英明 156室温を下げて白菜鍋の中 0 望月のぞみ 157湯を沸かし凍れタオルを笑わせる 1 石口りんご 158雪おんな静かに家庭裁判所 4 木野俊子 159丸四角年の初めの口喧嘩 0 石黒宏志 160三寒四温理由のなき一日 0 磯部薫子 161親ごころか迷信か寒灸二つ 0 信岡さすけ 162良縁の絵馬を弾みて玉あられ 0 川目智子 163宇宙よりデートの誘い晴着の子 1 高橋透水 164千坪を守る冬芽の屋敷林 0 安原南海子 165お元日ひとり蹴る子の日和かな 1 飯島 智 166寒林や「熊の出没要注意」 0 石口 榮 167百合根食ぶ往路復路に山の神 2 高矢実來 168クリップで挟む本元原寒波来る 0 石口りんご 169寒鯉に手を伸ばしそのまま離れない0 福島芳子 170花馬酔木ゼンマイ仕掛けの老の坂 2 信岡さすけ 171宝石の笑顔になりし合格子 0 高橋透水 172レクチャーはフラのステップ新年会0 安原南海子 173大寒む小寒む軍歌きりなく口ついて2 鈴木ひろ子 174初雨と何故に言わぬや初時雨 0 石黒宏志 175螺旋階段だんだん見えてきし枯野 1 鈴木ひろ子 176福寿草幸せ届けどこまでも 0 渡辺すみれ 177どこか血を流しつづけて枯野立つ 1 後藤よし 178探梅やまだ色持たぬ里娘 1 高橋透水 179寒晴れを衝く加農(カノン)砲松月院0 高矢実來 180諏訪湖畔に氷片生れぬ宿の朝 0 高良和子 181西暦を昭和になおす余寒かな 3 川崎果連 182口止めはされぬが秘密雪中花 1 白石みずき 183蝋梅の咲いて会いたい遠いひと 1 福島芳子 184つまりすなはちさう言ふことか去年今年0中村ふみ 185生臭き核細き寒月出る 1 木野俊子 186男坂もう紅梅が咲き始め 1 小髙沙羅 187○×(マルバツ)で応えきれない大寒波0安原南海子 188戦争に縁のなき国凧揚げる 1 翠 雲母 189ネジゆるみ日向ぼこのまま古希となり0水島かよ子 190次の子へ補助輪しまい冬木立 1 安藤草太 191ステップの少女うさぎの耳袋 0 石口りんご 192明日にはと延しのばしの初詣 3 石黒宏志 193ゆくりなく巡り逢うひと初車両 0 飯島 智 194山茶花は散るために咲く曲がり角 3 岡崎久子 195泣きたい子のひっくり返る冬座敷 0 岩渕純子 196アメ横の喧噪を詰め節料理 1 鈴木砂紅 197底冷に笛の尾の引きノーサイド 0 飯島 智 198水餅を掬う夜空を流星群 1 川目智子 199池の鯉大口明けて春を呼ぶ 0 高橋透水 200綿虫の観自在なり遊ばんか 3 後藤よしみ (第35回鴎座通信句会)投句締切=2月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023年02月03日 13時23分45秒
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