水中翼船様から・ザックラss「クーラーウードー? 何やってんだ?」「別に……。薬飲んでるだけだけど」 「ふーん、薬ねぇ……。薬……。薬ぃ?!」 herb medicine 「吐き出せ! クラウド吐き出せ今すぐに!!」 血相を変えて詰め寄るザックスに、クラウドは右手に水の入ったコップを持ったまま、わけが分からないと言う顔で言い返した。 「はぁ?! 何言ってんだよ、あんた!」 「そんな若いうちから薬だなんて! まだ酒も煙草もダメな歳なのに! オレはお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!!」 「……」 バシャッ! 「奇遇だな、俺もお前に育てられた覚えはない」 頭からぽたぽたと水を垂らしているザックスに、クラウドは空になったコップを手に持ったまま言った。口元がうっすら笑っているが、目は完全に呆れている。 「クラウド……。お前オレが風邪ひいてもいいのか……?」 「何とかは風邪をひかないって言うから、ザックスなら絶、対、に、大丈夫だ」 力を込めて言い切ったクラウドのセリフに、ザックスはがくっと肩を落とした。 「これは漢方薬だよ。最近のどの調子がおかしくて、それを言ったらバラッドが分けてくれた」 「バラッド…って、タークスのバラッドか?」 「うん。ちなみにバラッドはレノって先輩からもらったって言ってた」 「!! なら尚更吐き出せ!! レノが飲んでたものなんて、怪しいに薬に決まってる!!」 「ほー、ずいぶんなことを言ってくれるな、と」 ばすっとザックスの頭に書類が叩きつけられた。 「何すんだよ、てか何の用だよ、レノ」 振り返ると、そこには書類を手に持ったレノが立っていた。 「そっちの書類がこっちに紛れ込んでたから、わざわざ届けてやったってのに、ザックスってばサイテーだぞ、と。これだから愛しのクラウドちゃんに水ぶっ掛けられるんだよ、と」 なー、とクラウドに同意を求めると、クラウドはコクコクと頷いた。 「クラッ……! ひどっ、この赤毛の肩持つの?!」 「ザックス、自業自得って言葉、知ってる?」 「そーそー、ザックスが悪い」 んじゃ、書類置いとくぞ、と。ハリネズミ。 そう言うと、レノはさっさとドアのほうへ向かったが、部屋を出る前にピタッと止まった。 「そういやその薬、オレにくれたのはツォンさんなんだぞ、と。で、ツォンさんは副社長にもらって、副社長はお宅の英雄さんにもらったらしいぜ」 ニヤッと笑って言うと、レノは固まった二人を残して、タークス本部へと戻っていった。 「……セフィロスが?」 一体どうなっているんだ、タークス情報網。そう思ったとき、ドアが開いて噂のセフィロスが帰ってきた。 「二人とも、何固まっているんだ?」 衝撃的な情報に驚いているザックスとクラウドに、セフィロスは眉根を寄せて言った。 「へっ? あぁ、いや、何でもない! と、ところでセフィロス、今、何か薬飲んでたりするか?」 「? あぁ、風邪気味だから飲んでいるが……。そういえば、今日の分はまだ飲んでいないな……」 机の引き出しから薬を出して、コップに水を注ぎ、「苦い」と顔をしかめながら飲む英雄の姿を見て、ザックスはこれを写メったら結構いい値段で売れるんじゃあないだろうかと、頭の片隅でふと思った。 (水中翼船さんのあとがき。) ザックス、それ犯罪だから。 漢方薬は食前か食間に飲むものらしいです。すさまじく苦いが、実は私の持病の薬も漢方だったりする(本気で苦い)。 herb medicine=英語で漢方薬(多分)。 |